タマリの 希望・日常・幸せブログ あ~今日も一日おもろかったい

すっとこタマリのこれでもビジネスブログです。食卓の風景とともに,じわっと笑顔を届けます。

死者への回想

2013-09-22 08:19:18 | おもろかったい
寺に居た事がある。

一度は7歳の時で、次はちょうど20年後の27歳の時。

今から思えば、季節も同じ、初めは1月から4月まで。

2回目はもう少し長く。

凍える中で芽を内包しつつ、そうか、私は死者と暮らしていたんだなあと気づく。

幼いころは学校から帰ってくるのが怖かった。

どこを通っても必ず、どこかしら一カ所は墓の横を通らなければ、住まいである寺に帰り着かなかったからだ。

ひとりぼっちの部屋に帰るのがいやで、7歳の私はランドセルをしょったまま友人と遊びほうけている。

やがて、こどもは一人へり、二人帰り、私は結局最後に残される。

夕焼けに燃え立った後のこの世は薄暗く、今にも何か禍々しいものが現れて、地の底に引きずり込まれるのではないかと思われた。

20年後、今度は自分の意志で訪れた広島の山寺は、山のてっぺんの本堂につくまでの参道の両側に延々と墓が続く。

「あの日」原爆で被災した人々が次々と登って来たと言うそこは、死者たちの静かな吐息に満ちていた。

しかし、不思議と恐ろしさを感じなかった。「原爆」という底知れない恐ろしさの現実が、死者がかつてまぎれもなく人間であった事実を思い起こさせ、自分自身に引き寄せて感じたからだと、今では思う。


それから、墓や死者は私にとって忌むものではなくなったように思う。

やがて、私も赴く世界の住人たちに敬意を表する事にしよう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿