僕が少年・青年時代を送った家で、一番本をよく読んでいたのは僕だと思っている。
博識だった一番上の義兄は高校を出ると会社の寮に入り、その後結婚して独立したので、一緒に暮らした時期は短かった。
二人の兄も高校で全寮制の学校に入り、卒業後は遠方の会社に入社し、家に戻ってくることはなかったので、中学生の頃などに貸本屋で漫画を借りていた以外に家で本を読んでいる姿はあまり見なかった。
そんな風なのに、なぜか家には僕が購入するはずのない本がいくつもあった。
まず不思議なのは聖書があったこと。きちんとした体裁の聖書で、どうして我が家にあるのか不思議だった。一度「キリストの物語」を読もうかと思って、十字架の話は普通の本では最後の話なので「聖書」の最後のページあたりにあるだろうと思って開いたのだが、一向にそんな話は出てこない。さりとて最初から読もうとしたら、最初の数行で挫折してしまった。
(もちろん、今は、旧新約聖書を版を変え何度も通読してはいるが)
「下村湖人集」という分厚い本があった。誰が読んでいたのやら。
ちょうど当時NHKの連続ドラマで「次郎物語」をやっていて、最初の方は難しくて見てはいなかったが、主人公次郎少年が中学生になった頃からドラマにはまりだし、ちょうど家にあった「次郎物語」を、最初の用は読まずに、TVで放映していた頃の部分から読み始めて、とうとう最後まで読み通した。もっとも最初の方はいまだに読んではいないのだが。
「氷点」も家にあった。内藤洋子という少女がTVの主役に抜擢され評判になった頃で、これも読んだ。同じ作者で「塩狩峠」もなぜかあって、これは後に大学時代に薦められて読んだが。
内藤洋子が他のドラマに出演した石坂洋次郎のシリーズ物の本もなぜか家にあってこれも数冊読んだ。もっとも彼女が出演したドラマの原作は読まずじまい。TVも見ていなかったのだが。
そして一番不思議なのが、当時TVでは画期的だった、田村正和主演の眠狂四郎シリーズ。この原作本である「眠狂四郎無頼控」の文庫本が最終巻以外全部あったこと。だからTVでやっている背景から知ったり、TVは原作を適当に省略したり、設定を変えたりいじったりしていることがよくわかった。中学生の何も知らない純情な頃ではあったが、ドラマより原作の方がずっと良いなと感じていた。
最終的にこれらの本は引越のどさくさで無くなってしまったが。
博識だった一番上の義兄は高校を出ると会社の寮に入り、その後結婚して独立したので、一緒に暮らした時期は短かった。
二人の兄も高校で全寮制の学校に入り、卒業後は遠方の会社に入社し、家に戻ってくることはなかったので、中学生の頃などに貸本屋で漫画を借りていた以外に家で本を読んでいる姿はあまり見なかった。
そんな風なのに、なぜか家には僕が購入するはずのない本がいくつもあった。
まず不思議なのは聖書があったこと。きちんとした体裁の聖書で、どうして我が家にあるのか不思議だった。一度「キリストの物語」を読もうかと思って、十字架の話は普通の本では最後の話なので「聖書」の最後のページあたりにあるだろうと思って開いたのだが、一向にそんな話は出てこない。さりとて最初から読もうとしたら、最初の数行で挫折してしまった。
(もちろん、今は、旧新約聖書を版を変え何度も通読してはいるが)
「下村湖人集」という分厚い本があった。誰が読んでいたのやら。
ちょうど当時NHKの連続ドラマで「次郎物語」をやっていて、最初の方は難しくて見てはいなかったが、主人公次郎少年が中学生になった頃からドラマにはまりだし、ちょうど家にあった「次郎物語」を、最初の用は読まずに、TVで放映していた頃の部分から読み始めて、とうとう最後まで読み通した。もっとも最初の方はいまだに読んではいないのだが。
「氷点」も家にあった。内藤洋子という少女がTVの主役に抜擢され評判になった頃で、これも読んだ。同じ作者で「塩狩峠」もなぜかあって、これは後に大学時代に薦められて読んだが。
内藤洋子が他のドラマに出演した石坂洋次郎のシリーズ物の本もなぜか家にあってこれも数冊読んだ。もっとも彼女が出演したドラマの原作は読まずじまい。TVも見ていなかったのだが。
そして一番不思議なのが、当時TVでは画期的だった、田村正和主演の眠狂四郎シリーズ。この原作本である「眠狂四郎無頼控」の文庫本が最終巻以外全部あったこと。だからTVでやっている背景から知ったり、TVは原作を適当に省略したり、設定を変えたりいじったりしていることがよくわかった。中学生の何も知らない純情な頃ではあったが、ドラマより原作の方がずっと良いなと感じていた。
最終的にこれらの本は引越のどさくさで無くなってしまったが。