未来への絆 【江戸っ子畳職人物語】

この物語は畳の仕事や日々の暮らしを通し
      家族の愛と信頼を
  余すところ無くブログ化したものでる。

大和の国に受け継がれし素敵な錦祭り。

2009年03月10日 18時56分50秒 | 有職畳 特殊材料 祭り

 

【緑地小葵本大和錦】

一目みて感動しました。古の先人達はこの様な素敵な文様をいくつも受け継がれながら

現代に至るまで、残っている事、素晴らしいの一言に尽きます。

待ちに待って、やっと本日手に入れる事が出来ました。三重県の伊勢市より

お届け頂きました大和錦です。赤地の大和錦とは又違った、風合いが見て取れ

頭の中で、イメージしながら、徐々に現実にすべく、歩んでいる所です。

以前も綴りましたが、やりたい事とやらねばならぬ事、やらなくては行けない事を

達成してから、前進したいと考えています。なにはともあれ、材料は整いました。

おこづかいも底をつきました。一安心の一不安。頑張ります。

【 Road to the gosinza 】


京都御所紋縁物語。(ただただ感謝致します。)

2008年11月05日 19時08分45秒 | 有職畳 特殊材料 祭り

その畳縁を始めて見た時に、その神々しい輝きと、得も言えぬ深みに、引き寄せられました。

遠い昔から、畳の縁は、身分の違いをあらわす事が見てとれます。その中で「小紋高麗縁」

は公卿の位に位置されるともいわれます。そんな「小紋高麗縁(九条紋)」は九条紋ともいわれ、

京都御所や二条城など古くから格式のある座敷に使用されています。

三代目の大将(師匠)は京都御所出入りの畳屋様で、三代目は修行時代よく、

御所の畳と触れ合えたそうです。京都御所の数多くあるお部屋の中に「小紋高麗柄」

の畳縁が付いていますが、御所の畳縁は、素材が違います。

素材はしょうけん(絹)で出来ており、その風合いは、とても素晴らしいです。

 

他の九条紋と何が違うのか?素材もさることながら畳縁の製織の仕方も違います。

簡単に言えば、両面、畳縁として使えます。(製作可能な見解です)

普通、畳の縁は、(無地縁をのぞき)、裏と表がありますが、裏を付ける事は出来ません。

この御所紋縁は、特殊な製織をされている畳縁です。素敵です。

(詳細画像ついております)

 

普通の九条紋(綿素材)と比べてみました。糸の違いがみてとれます。

この御所紋縁は数十年前まで、他では使用禁止でした。法律が改正され、使用可能な

現在に至っても、希少種の為、ほとんどみられません。

そんな希少な畳縁を使えるお仕事を、三代目の大将(師匠)から受け継ぎ

心を込めて、師匠の名に恥じぬよう、製作させて頂きました。

 

(詳細画像ついております)

書院と名の付く、お部屋にて、御所紋縁の高貴な風合いと、

職人の魂が込められた、お部屋です。未熟な四代目ですが、心を込めて製作させて

頂きました。

 

製作には、とても時間がかかります。悩みどころも多々あります。

 

大きな事も言えませんが、点と線の競演です。ただただ勉強になりました。

 

(詳細画像ついております)

奥が深い仕事です。自身が畳に向き合う時に、素直な気持ちを持たないと、うまくいきません。

自分は、未熟者でした。より一層、深く、畳と御所紋縁と向き合えるよう、強く胸に刻みます。

数年後、違った自分で、このお部屋に向き合えるよう、感謝の気持ちを忘れずに、

頑張って行く所存です。本当に(お客様、大将、三代目)ありがとうございました。

物語はいつまでも続きます・・・

 

 


最高級畳縁【本高宮畳縁】祭り。

2008年11月04日 21時27分44秒 | 有職畳 特殊材料 祭り

こんばんは。今日は、夕方、「金井畳店大祭り」仕事のお礼に、お寺様にご挨拶に伺いました。

「ご苦労様」のお言葉を頂きまして、少し、肩が軽くなりましたが、これからも季節の移り変わり

と共に、こまめに対応し、見つめていきたいと思います。

そんな本日は、「金井畳店大祭り」でお仕事をさせて頂きました、あるお部屋に使った

畳縁のお話をさせて頂きたいと思います。

「どんな柄が良いかしら?」お客様にとって縁選びは楽しみでもあり迷うところでもあります。

そんな時、お客様にお伝えしたいのが、畳の持ち味の一つに「触感」や「風合い」があります。

触ったり、目で視た時に、「肌触りがよい」とか「暖かみを感じる」とか「安らぎを感じる」等、

いわゆる質感が良いということが畳が持つ特性であり、好まれる理由の一つかと考えます。

これは畳が自然素材がゆえに得ることができる特徴の一つです。

今現在、お客様のライフスタイルも多様化し、色々な好みに応じて、

畳縁をご紹介し、ご提供させて頂くのが、一つですが

ご使用先の品位や趣きに合わせて絹、麻、綿、化繊、など色々なお素材を

ご紹介させて頂いてます。そんな中、今回のお仕事で使用させて頂いた畳縁です

 

「本高宮縁 本麻一疋(ひき) 畳縁」

滋賀県の高宮で作られた麻縁です。繊維が細く最高級の上布を藍で染めた縁を紺高(紺の高宮縁の略です)と言い、一疋(ひき)の高宮縁は○○万円以上します。一から何畳分、畳縁としてとれるか?それには特殊な技法を用い、畳縁に自ら、成型します。

そのお部屋はお茶室なのですが、お茶室に名前が付いているほど、品位に満ち溢れた

お部屋でした。

 

(クリックで詳細画像です)

麻糸の、不揃いな太さが、何ともいえぬ、光沢感を生み出します。

 

この一匹で、何畳の畳の縁に成型出来るか?高価なお素材にて、特殊な工法を用います。

 

(クリックで詳細画像です)

素晴らしいお部屋でした。畳が用いる魅力に、さらなる風合いを加える事が出来る

本高宮畳縁。その魅力に酔いしれました。この様なお仕事に携われることに、ただただ感謝し

いつか又、触れ合える日を、心より、望んでいます。

P.S

 

(クリックで詳細画像です)

こちらの畳縁?も違うお部屋で使用させて頂きました。素材はやはり「麻」です。

着物の反物のような素材ですが、これも畳縁に成型します。

「麻」魅力的な素材です。未知なる可能性が詰まっていると、感じています。


最高級畳床【丹波裏稲ワラ畳床】(たんばうらいなわら畳床)祭り。

2008年08月19日 23時59分11秒 | 有職畳 特殊材料 祭り

今宵もブログな一時。宜しくお願い致します。

連日の材料のご紹介にあたりまして、日々仕事をする中で、めったに出会う事のない

畳達と触れ合える事に、感謝の気持ちで一杯です。広く多くの皆様方に、色々な材料・畳を

お伝えしたく、ブログを綴ります。若輩者で、余りに無知な見識も多々ありますが。自分なりの

感じた事や、思いをお伝え出来ればと思います。

そんな本日は、今回畳のお仕事をさせて頂いている

お寺様に現在使用されている畳床のご紹介です。

今回のお仕事は、多種多様、色々なケース(新畳入れ替え・表替え・裏返し・ジロ替え)

のお仕事をさせて頂いていますが、今回ご紹介する畳床には深い繋がりが存在致します。

遡る事、数十年前。三代目師匠であらせられます大将が、このお寺の新築時に総数

数百枚にもなります新畳を御納入されました。よって材料や工法など、京都の趣きで

染まっています。現在は、当社金井畳店が、引き継いでいますが、材料、工法、なんら変わり無く

現在に至っています。普段、関東地方にいる当社にとって、珍しい材料などにも巡り合い

畳職人として光栄の至りですし、とっても勉強になります。沢山の材料や美しい畳達

と出会えて、感謝の気持ちで一杯です。そんな材料の中の、素晴らしいお素材のご紹介。

最高級畳床【丹波裏稲ワラ畳床】(たんばうらいなわら畳床)

 

 

京都の丹波地方でとれたイグサを畳床の下(床と触れ合う部分)に

敷き詰め、畳床を製作しています。

 

「稲ワラ床」は、約40cmの厚さに層になるように縦横に積んだ乾燥したワラを

機械で約5cmに圧縮して縫い上げたものです。配列層を多くし、

縫い目間隔が細かくしたものほど高級品です。

その中でも、裏にシュロを編んだものやゴザ(丹波裏)を使ったものが

最高級とされています。ワラ床の特長は、力強い弾力性と

優れた耐久性を備え、心地よい足触りと快適な気分を与えてくれることです。

上記説明の通り、稲ワラ畳床の部類の中では、最上級に位置され、その趣きや風合い等

素晴らしい存在感です。滋賀県の畳床屋様が製作し、特徴としては(自主的見解も含みます)

京都丹波地方でとれたいぐさを使用することによって、より畳床としての調湿機能を高める

役割をを持つと考えます。畳床としての機能を考えた時に、より自然に近い状態で

お部屋と向き合えるのではないでしょうか?そしてこの関西地方で作られた畳床には

いくつかの特徴も見られます。細かい説明は、難しいので、簡略的にご説明致しますと

関東地方の畳床とは若干構造が違うようです。専門的に申しますと(キリワラ)が

ほとんど存在しないため、非常に畳針を通した時、縫い易いです。しかもこの畳床は

製作者の限りない、力を感じ、ほとんど、段差がありません。手に触れて幸せを感じた

畳床でした。この畳床がほとんどのお部屋に入っています。全て檜の板が畳の角の

部分に縫い付けてあり、一枚一枚、縫って止める作業の他に、畳のひずみや、細部にわたる

微調節を繰り返します。畳は限りなく長方形に近い方が望ましいと考えますが、この畳床

には、そんな希望や夢を持たせてくれるお素材だと感じます。(自主的見解でのご紹介でした。)

 

P.S

畳床に畳の場所を位置する裏書ともいえるものがあります。この裏書によってその畳の

場所を把握し、敷き込むときの目安になりますが、京都(現在は違うかもしれません)

大将のお店では、この裏書が関東地方と書き方が逆になります。畳の框の部分に

その畳の場所を書くケースも多いです。同じ日本の中で、色々な工法、知識などがあります。

とっても勉強になります。 


最高級畳表【熊橋備畳表】(ゆうせんびん畳表)祭り。

2008年08月18日 23時50分18秒 | 有職畳 特殊材料 祭り

お盆休みも過ぎ、夏もオリンピックも残りわずかなこの時におかれまして

皆様いかがお過ごしでしょうか?本年も後四ヶ月。しっかり頑張りたいです。

久方ぶりにブログを綴りますは、本業の大切なお話。

今宵も、分かり易くご紹介出来ればと思います。

畳表とひとえに言っても、色々な種類やグレードがあります。正確にお伝えすれば、いぐさの

品種から、畳表に生成される産地などによっても、色々な区分や種類、又グレードが存在

致します。畳表のグレードの違いを簡単に説明するとまず、い草の長さやイグサの畳表に対する

本数などで違いが見れます。(簡略的に説明しています)

長いイグサのいい所取りの部分を使い、いぐさの本数が多いほど重量感のある

畳表の風合いを見てとれます。(簡略的に説明しています)

畳表の見比べ方等、当社HPでご説明させて頂いております。ご参考までになれればと思います。

現在お仕事をさせて頂いている所は、お寺になりまして、一般の住宅の畳とは違い

畳替えのサイクルに、時間がかかります。よって使用頻度にもよりますが、丈夫で長持ち

のする畳表を使用致します。さらに、使って頂けるのはもちろんの事、お部屋自体を

観て頂ける、芸術性の高いお部屋も数多くあり、見た目や、風合い等も重要な一つになります。

今回のお仕事をさせて頂くに辺り、以前よりお付き合い、させて頂いております

最高級畳表【熊橋備畳表】を使用する事を検討し、早速、熊本の生産者「橋口様」

に見本を織って頂きました。以前、使わせて頂いたのが、4年前。何も変わらず、さらに

パワーアップしている感がありました。早速生産を依頼したのが、今年の初め頃でした。

 

  

 

【数多くある商標には裏書・裏印があります。印字なき商標は無効になります。】

枚数を200枚位、使用する為、一番長い草をそれだけ保有する事も驚きですが、その畳表を

製作するに辺り、一日に4枚程度しか織れず、しかも夜遅くなってから織り始めるとの事。

その品質管理にいたる生産者の畳表に対する愛情には、ただただ敬服致しますし

とっても感謝の気持ちで一杯です。

手塩にかけた畳表を、さらに表現豊かにするべく、日々奮闘しています。

 

 

【写真では見図らいですが、右の写真は普通の畳表と熊橋備畳表との比較です】

この「熊橋備畳表」は首相官邸や迎賓館など数多くの、場所で使用され、その品質は

数多くの人々に、愛されている所です。こだわりにこだわりぬいた畳表。

「熊橋備畳表」・・・千曲川の清流で育まれ作られた畳表は、キメが細かく

滑らかな肌触りで絹の様な、畳表です。生産者の橋口夫妻の愛情と魂のこもった畳表。

本当に素晴らしいです。橋口様ありがとうございます。

真心と温もりを込めて製作致します。詳しくはこちらにて・・・

P.S 畳表繋がりでのご紹介。

このお寺は数多くの床の間があります。床の間に使われる畳表「龍鬢表」(りゅうびん表)。

初めから、綺麗な焼き色が付いているのが特徴で、大目、小目とあります。

当、お寺にも大目、小目の床の間があり、両方、高麗べりの紋縁を使用しますが「龍鬢表」

の目の大きさによって、高麗中紋縁白、高麗大紋縁白を使います。

特殊な制作方法などを用いる箇所もあり、後日ご紹介出来ればと思います。

 

【右の畳は9尺(2メーター70位)あります。】

 

【「龍鬢表」。左の写真が大目で右の写真が小目です。】

注)分かり図らい表現等、多々あったと思います。勉強不足な点も否めません。

申し訳ございません。頑張って励みます。