未来への絆 【江戸っ子畳職人物語】

この物語は畳の仕事や日々の暮らしを通し
      家族の愛と信頼を
  余すところ無くブログ化したものでる。

色々な畳に触れ合えて祭り。

2011年10月24日 03時29分54秒 | 今日の祭り

幸せです。タイトルからのひと綴り。色々な畳と触れ合える事はとっても畳職人として

幸せな事です。常々に同じ畳などはなく、様々な用途やお使い頂く、お客様の環境で

色々な畳が存在し、その美しさや香り、感触や風合いなど、素敵な魅力が満載です。

日本人に生まれて良かったと想う事が、畳を通じて感じえる事が出来ます。今宵はそんな

畳の魅力を少しずつですがご紹介させて頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。

   

この畳表は大分県国東半島で栽培され織られた畳表で、大分琉球畳表(七島表)と言います。

     七島表は、カヤツリグサ科に属する多年性草本、「七島イ」
     原料として作った畳表で、
「七島イ」「琉球イ」「三角イ」

     とも言われ普通のい草の断面が、丸いのに対し
  
   三角形の断面を持ち、これを半分に裂いて乾燥させ
     選別した上で麻糸を経糸に織り上げます。
     この表は
耐久性があり火気に強いため、琉球畳表(青表)を
     使用した琉球畳は昔から柔道畳や農家作業場、呉服屋の
     畳にヘリをつけずに使われていました。
     現在では、デザイン的に半畳のへり無し畳に使われる事が
     多くなりました。                ※(株)金井畳店HP参照

近年畳のへりがない畳を琉球畳と呼ぶことが多いですが、本来琉球畳というのは、この畳表を

使用した畳のことをさします。しかし、大分県なのに、何故、琉球畳表なのか?

この名前の由来は、江戸初期の豊後の商人がトカラ列島で栽培されていた琉球イを豊後に

持ち帰り全国に普及するようになったことからこの畳表を琉球畳表と呼ぶようになりました。

ほかにも、豊後表、青表など、色々な名前で呼ばれてきました。上記説明のとおり、強度が

高いために、江戸時代の庶民の暮らしにはこの七様イの敷物が多く使われていました。

現在に至り、素朴な手触りと、どこかなつかしい風合いが、素晴らしいお部屋を演出します。

現存生産者様はかなり少なくなってしまいましたが、この温かみを伝えたくて記事にしています。

香りがあたたかい。手触りが心地よい。荒々しさの中に、ぽっと落ち着ける様な表情をしています。

外国産琉球畳表が台頭するなか、心にしみる国産琉球畳表。これからも表現して参ります。

御注文頂き、誠にありがとうございます。

   

大紋高麗べりを使った畳台の製作です。上面四辺。側面四辺。一つの紋が見て取れます。

畳の大きさも京間サイズなので、関東間サイズの畳よりはるかに大きいです。

お坊様がお座りになるとの事で、製作させて頂きました。高貴な空間を表現出来ると考えて

います。様々な用途で使用可能な「畳」。こんな畳もあるんだ。あんな畳もあるんだ。

普段、生活の基盤として活躍する畳も、表現の仕方によっては、様々なカタチで、空間を

表現することも出来ます。そんな「畳」をこれからも沢山の人に、少しでも伝えていけたらと

考えています。お仕事を頂きましたお客様。誠にありがとうございました。

   

一言。香りの大合唱です。すがすがしい香りが、我も我もとせまって来ます。この香りを嗅いだ時

日本人で良かった。畳屋さんでよかったと感じることも多いです。

いつもお仕事でお世話になっていますお寺様の増改築にともない、広間の畳を表替えさせて

頂きました。いつもありがとうございます。心より感謝申し上げます。

国産畳表がもつ力の中にこの香りがあります。外国産では表現できない、甘い

すがすがしいさわやかな香り。先だっても綴りましたが日本人のDNAの中に、この香りを

受けとめ感動出来る大きな広間があります。そして成熟していく過程の中で、様々なフォルム

を演出します。若々しいフォルム。成熟したフォルム。待ちわびたフォルム。たたみは生き物です。

人間が生きていく過程と同じ様に、畳も生きていく過程があります。そんな過程をつかまえて

楽しんでみるのも素晴らしいと思いませんか?魅力あふれる「畳」。

沢山の畳に触れ合えて幸せです。


今の自分祭り。(茵【しとね】製作)

2011年10月20日 01時18分45秒 | 有職畳 祭り

  クリックで変身します。

「 茵(しとね)

平安時代より使われた殿上人の敷物で現在では寺院などで使われています。茵は、歴史の中で綿入りの畳から、現在の布団と稲藁で造られた畳に分かれる原型であったことが窺(うかが)えます。茵の構造は綿入りの畳です。畳表を5枚重ね、鏡と呼ばれる中央の部分には、綿を載せ、白地の大和錦を被せます。そして周りのへりの部分には、四方に赤地の大和錦の中に、綿を入れて製作します。(※昔は生地の織り幅が狭く、幅の広い生地がないために真ん中の鏡の部分は継いでいたそうです。)

今晩は。ここのところ格闘していた畳です。畳に見えないですよね!!立派な畳です。

上記説明のとおり、畳表を5枚重ね、各生地の中に、綿が入っています。極上なふかふです。

イメージ的には、良く時代劇とかで、権威な人物が一段高いところで、茵(しとね)に座っているのを

見た事があるやもしれません。まさに、高貴な敷物です。造作は昔ながらの工法で製作しました。

まさに手に目を付けるような感覚です。大変にありがたい事に今年で2作目ですが

いつでも新鮮な気持ちにさせてくれます。そしてプレシャーとの戦いの中で、胸に想うことは・・・。

御注文頂いたお客様に想いを馳せる。

先人に想いを馳せる。

自分の心に想いを馳せる。

とても貴重な体験です。私はお客様に育て頂きながら、今もてる自分を表現しました。

畳職人としてこのようなお仕事をさせて頂ける事は、感謝の極みですし、経験が糧になります。

そして決して満足することはありません。憤慨するほうが多い。経験を積むごとに

先人に対する敬意や驚き、そして技能の奥深さに触れます。

そして何より、自分と向き合う事の大切さを感じます。

素直な気持ちで仕事に臨む姿勢。失敗したらやり直す勇気を持つこと。

お客様を感動させる心意気を持つことが大事だと感じています。

高価な材料だからお客様が感動するのではなく、畳職人がその畳に込める心意気が

お客様を感動させる事が出来ると、私は信じています。

この度は、誠にありがとうございました。次に向き合うときは、今の心意気を越える

心意気で畳に向かう事を心に刻みます。そして精進し続けたいと思います。


畳の香りに包まれて祭り。

2011年10月08日 02時26分34秒 | 今日の祭り

畳の香り。どんな時に感じ、どんなイメージをもたれるのでしょうか?

畳を替えられて畳屋さんが畳を運んでいる時でしょうか?新しい畳にして、お部屋を閉め切った

あと、その部屋に入った瞬間でしょうか?旅館のお部屋に入った瞬間でしょうか?

寝茣蓙に包まれた時でしょうか?ご近所の畳屋さんの前を通った時でしょうか?

様々なタイミングで香る瞬間はあります。そんな香りもまた、同じ香りではありません。

畳表の品種の香りの違い。お化粧(染土)をしているイグサで織られた畳表の香り。

お化粧のしていないイグサで織られた畳表の香り。新畳のさわやかな甘い香り。

成熟しお部屋と一体になった畳の香り。晩秋の畳の香り。それぞれを感じ得ることが出来ます。

イグサの香りが持つ特性の中で、一番に挙げる事が出来るのは「リラックス効果がある」

と言うことです。このイグサのリラックス効果は香りの面から、そして色合いの面からも生まれます。

何故、寝室に畳なのでしょうか?何故、旅館に畳なのでしょうか?昔の偉い人のお部屋は何故

畳なのでしょうか?それには、この香りがもたらす畳の癒し(リラックス効果)が関係しています。

私たちは、日本人が自ら生み出した敷物で、先祖代々畳の上で生活してきました。

この癒しを感じえることが出来る心のお部屋の大きさは、日本人が一番大きい。

日本人のDNAの中に畳の癒し(香り)を感じることが出来るお部屋があるはずです。

五感で感じ、癒される。目で見て感じ・・・。香りで感じ・・・。触れて感じ・・・。音を吸収して感じ・・・。

イグサは食べる事も出来る。(食物繊維たっぷり)五感で感じるお部屋は、日本人の心の中に必ず

あります。様々な生活スタイル。住環境の中で、畳の役割も変わってきました。

でも畳の癒しは変わらない。昔から心に感じるお部屋をもつ日本人には畳の癒しを感じる事が

出来る幸せがあると私は考えています。近年機密性が高い住宅になりました。

香りもより感じられることでしょう。香ってきませんか?香りで感じる幸せ。素敵ではないですか?


お部屋の姿をそのままに祭り。

2011年10月05日 21時20分20秒 | 今日の祭り

今晩は。最近パソコンに向かう習慣が出来つつあります。自分で決めた「自分ルール」

定着しつつあります。本日もそんなひと時。宜しくお付き合い頂きたいと存じます。

畳製作において必要な作業の中に「お部屋の採寸・・・寸法取り」という作業があります。

お部屋の寸法を計る。読んで字のごとく、新しい畳を製作する際に必要な作業です。

お部屋の縦・横・対角線の長さ。畳の厚み。どのように計ればよいか、その採寸の

方法も各種いろいろあります。最近ではレーザー光線を定規に当てて採寸する事が

出来る、精密機械も業界には浸透しています。採寸法方はどうであれ、タイトルの通り

「お部屋の姿をそのままに」これが重要な事だと私は考えています。

正確に測るためにはどうすればよいのか?どのように計れば、お部屋の姿をそのままに

写せるか?畳に隣接する自然な木も必ずともまっすぐとは限らない。何処でどのように

どれくらい曲がっているのか?または真っ直ぐなのか?お部屋の歪をどのようにしたら

感覚ではなく理屈で美しく消せるのか。正確に計り見つめることが、お部屋の採寸で

重要な事だと考えています。時に、お住まいのお部屋で、新畳に入れ替える際、お部屋に

荷物や家具がある場合。時に新築現場で、お部屋の中に資材等の荷物が多い場合

どんな条件下の中でも、正確にお部屋の姿を捉えることが、美しい畳、または美しい

お部屋に繋がると考えています。私は師匠に寸法に対する姿勢を強く学んでいます。

例えるならば、一つの定規、一つの定規のメモリとメモリの間に、いくつの寸法を感じること

が出来るか?畳屋さんは尺貫法ですので、何尺、何寸、何厘、何毛の世界のなかで、何処まで

見つめることが出来るか?これは寸法に対する姿勢や理念が求められます。

自分が見つめた寸法・その寸法の見方や姿勢。感じた感覚や現実を自分で見つめて畳にする。

これはとても大事なことです。まだまだ未熟な四代目ですが、三代目の寸法学に対する

勢や理念・理屈。これは大事に大切に学んで行きたい。そんなことを強く思う一日でした。

お寺の本堂の採寸でした。沢山の資材や柱。集中して採寸しました。製作が楽しみです!!


【若草色】そんな和紙に包まれて祭り。

2011年10月05日 00時32分28秒 | 今日の祭り

今晩は。めっきり秋らしくなりました。今宵も自分ルール発動中です。

今日のお仕事のお話。畳の表情ともいえる畳表は天然のイグサで織られているものや

和紙やビニールで織られた畳表もあります。それぞれに様々な織り方や、様々な特徴を

兼ね備えています。本日、製作させて頂いた畳は、和紙を素材とした畳表で、お仕事を

させて頂きました。イグサの風合いや肌触りをモダンなデザインと機能性で表現。

そしてカラーバリエーションの豊富さで、近年お客様のもとへ、広くお届け出来るよう

になりました。お客様のニーズが多様化し、お部屋のイメージチェンジや洋間に隣接

する和室の捉え方によって、様々な表現方法があります。天然イグサ本来のお部屋の

湿度調整並びに空気浄化作用などはないのですが、色替わりしにくい性質や耐汚染性

坊カビ性に優れるなどの特徴があります。様々な色合いの中から、今回は【若草色】。

やさしい色合いでした。納品は後日。お部屋の雰囲気に合わせたかたちでのご相談

でしたので、どのように変化するか?楽しみです。今日は、そんな和紙に包まれてのお話でした。