フタユビナマケモノの姿を撮りに、数回に亘り動物科学館の一角に設けられているバードホールを訪れました。
熱帯雨林を模したバードホールに飼育されているフタユビナマケモノは、1日1回降らせるスコールで濡れるのを嫌い動き出すことが多いので、2回目以降はその時間帯に合わせて撮影に行きます。
スコールで濡らされる場所から他へ逃避するフタユビナマケモノを撮り終えると、ホール内に飼育されている鳥たちが目に留まります。
いつも同じ木の枝に留まっている白色のソデグロバト、ハト科の中の孔雀と呼ばれるオウギバトの仲間であるカンムリバト、小さな池の周りをチョコマカ歩くクビワコガモなどに比べて、一際目を引く鳥がオニオオワシ(写真)です。
先ず、全身の3分の1を占める極彩色の大きな嘴が、人目を引きます。
さぞかし重たいのだろうと思いきや、意外に軽い作りのようです。
それは、中空になっている嘴の薄い角質のさやは軽いだけで強度が弱く、さやに骨質の支持棒を張りめぐらして、さやが強度を持つ構造になっているからです。
発泡スチロールで作った箱は軽いのですが外力への耐力がなく、外力を加えると箱はバラバラに壊れてしまい、その機能を発揮できません。木材や鉄棒などを埋め込んだ発泡スチロールは、外力に対する強度を持つので、箱として使用できます。埋め込まれた木材や鉄棒が箱への外力に耐えて、箱の役割を果たすのと同じ原理です。
さて、オオハシ類を代表する仲間は、キバシミドリチュウハシ、ハシグロヤマオオハシ、クリハシオオハシ、ニショクコチュウハシ、オウゴンチュウハシ、ムナフチュウハシなどです。その中で最大の嘴を持っているのが、このオニオオハシです。
オオハシ類は、木の高いところに止まることを好み、そこで枝から枝へと飛び移ります。
木の天辺からそれほど離れていない他の木の天辺へ、波形を描きながら飛び移ります(動物大百科 第8巻 鳥類)。
バードホール天井近くの梁から、熱帯雨林の樹枝に飛び移る時、オニオオハシは勢いをつけて飛び出しても、一旦沈んでから翼を羽ばたき揚力をつけて浮き上がります。他方、ソデグロバトの移動は、矢の如く一直線です。いくら、軽く出来ているといっても、体の3分の1を占めているオニオオハシの嘴はアンバランスですよ。飛び出した瞬間、その影響を受けて沈むので、波形を描いて飛ぶように見えるのでしょう。
それにしても、スコールの降る時間帯に観察するオニオオハシは、鮮やかです。
スコールの水滴が雨林の樹葉に潤いを与え、あたかも新緑の葉のように映えて見えます。
極彩色の黄色い嘴と青い眼、白い首筋の毛と尾が、新緑に囲まれたオニオオハシをいっそう艶やかにしています。
とはいっても、撮影の目的は、スコールで濡れることを嫌うフタユビナマケモノにあります。
スコールが降り始めるとフタユビナマケモノは、ぶら下がって休む別の場所へ移動を始めます。
この時がフタユビナマケモノを撮るチャンスですから、カメラマンの眼中にあるのは、フタユビナマケモノの行動だけです。
やがて、撮影が終りホットしていると、鳥たちの動きが活発になります。
スコールの中を枝から枝へと飛び交う鳥、葉に溜まっている水滴を狙うようにして枝へ留まる鳥など、バードホールで飼育されている鳥たちは、それぞれの個性のままに動き始めるのです。
なかでも、オニオオハシの濡れ姿は最高に綺麗で艶やかです。
ところで、艶やかに見えるオニオオハシには、面白い遊びをする隠れた習性があります。
2羽のオニオオハシは、嘴と嘴を打ち当てると互いの嘴を組み合わせて、どちらかが留まり木から後退して退去するまで押し競べをします。勝利したオニオオハシは別の個体の挑戦を受け、その勝利者は次の挑戦に挑むという遊びをするのです。
他の遊びに、木の実投げがあります。
1羽のオニオオハシが果実を投げ上げると別の1羽が空中でそれを銜え、次にそれを第3の個体に向かって同じように放り投げ、そして第3の個体は群れの第4の個体に投げる遊びがあります(同上)。
木の実投げ遊びは、嘴の先で採った食物を喉の奥に入れる際、頭を上に振って入れる採食行動から発展したのではないだろうか。そんな、漠とした想像を巡らしています。どんな世界にも粋な奴はいるんですね。
千葉市動物公園のオニオオハシには、嘴押し競べや木の実投げ遊びは見られないでしょう。
飼育されている3羽のオニオオハシには、嘴の押し競べくらいはと望んでも、ないものねだりですし、群れで遊ぶ木の実投げは、それぞれの来園者が空想の世界で創作するしか方策はありません。
1日1回、それも15分間のスコール・タイムの中には、フタユビナマケモノの行動や自然に振舞う鳥たちの姿を観察し、嘴押し競べをするオニオオハシの遊びを創作する夢の世界があります。
バードホールには、千葉市動物公園に潜んでいる魅力のひとつがありました。
熱帯雨林を模したバードホールに飼育されているフタユビナマケモノは、1日1回降らせるスコールで濡れるのを嫌い動き出すことが多いので、2回目以降はその時間帯に合わせて撮影に行きます。
スコールで濡らされる場所から他へ逃避するフタユビナマケモノを撮り終えると、ホール内に飼育されている鳥たちが目に留まります。
いつも同じ木の枝に留まっている白色のソデグロバト、ハト科の中の孔雀と呼ばれるオウギバトの仲間であるカンムリバト、小さな池の周りをチョコマカ歩くクビワコガモなどに比べて、一際目を引く鳥がオニオオワシ(写真)です。
先ず、全身の3分の1を占める極彩色の大きな嘴が、人目を引きます。
さぞかし重たいのだろうと思いきや、意外に軽い作りのようです。
それは、中空になっている嘴の薄い角質のさやは軽いだけで強度が弱く、さやに骨質の支持棒を張りめぐらして、さやが強度を持つ構造になっているからです。
発泡スチロールで作った箱は軽いのですが外力への耐力がなく、外力を加えると箱はバラバラに壊れてしまい、その機能を発揮できません。木材や鉄棒などを埋め込んだ発泡スチロールは、外力に対する強度を持つので、箱として使用できます。埋め込まれた木材や鉄棒が箱への外力に耐えて、箱の役割を果たすのと同じ原理です。
さて、オオハシ類を代表する仲間は、キバシミドリチュウハシ、ハシグロヤマオオハシ、クリハシオオハシ、ニショクコチュウハシ、オウゴンチュウハシ、ムナフチュウハシなどです。その中で最大の嘴を持っているのが、このオニオオハシです。
オオハシ類は、木の高いところに止まることを好み、そこで枝から枝へと飛び移ります。
木の天辺からそれほど離れていない他の木の天辺へ、波形を描きながら飛び移ります(動物大百科 第8巻 鳥類)。
バードホール天井近くの梁から、熱帯雨林の樹枝に飛び移る時、オニオオハシは勢いをつけて飛び出しても、一旦沈んでから翼を羽ばたき揚力をつけて浮き上がります。他方、ソデグロバトの移動は、矢の如く一直線です。いくら、軽く出来ているといっても、体の3分の1を占めているオニオオハシの嘴はアンバランスですよ。飛び出した瞬間、その影響を受けて沈むので、波形を描いて飛ぶように見えるのでしょう。
それにしても、スコールの降る時間帯に観察するオニオオハシは、鮮やかです。
スコールの水滴が雨林の樹葉に潤いを与え、あたかも新緑の葉のように映えて見えます。
極彩色の黄色い嘴と青い眼、白い首筋の毛と尾が、新緑に囲まれたオニオオハシをいっそう艶やかにしています。
とはいっても、撮影の目的は、スコールで濡れることを嫌うフタユビナマケモノにあります。
スコールが降り始めるとフタユビナマケモノは、ぶら下がって休む別の場所へ移動を始めます。
この時がフタユビナマケモノを撮るチャンスですから、カメラマンの眼中にあるのは、フタユビナマケモノの行動だけです。
やがて、撮影が終りホットしていると、鳥たちの動きが活発になります。
スコールの中を枝から枝へと飛び交う鳥、葉に溜まっている水滴を狙うようにして枝へ留まる鳥など、バードホールで飼育されている鳥たちは、それぞれの個性のままに動き始めるのです。
なかでも、オニオオハシの濡れ姿は最高に綺麗で艶やかです。
ところで、艶やかに見えるオニオオハシには、面白い遊びをする隠れた習性があります。
2羽のオニオオハシは、嘴と嘴を打ち当てると互いの嘴を組み合わせて、どちらかが留まり木から後退して退去するまで押し競べをします。勝利したオニオオハシは別の個体の挑戦を受け、その勝利者は次の挑戦に挑むという遊びをするのです。
他の遊びに、木の実投げがあります。
1羽のオニオオハシが果実を投げ上げると別の1羽が空中でそれを銜え、次にそれを第3の個体に向かって同じように放り投げ、そして第3の個体は群れの第4の個体に投げる遊びがあります(同上)。
木の実投げ遊びは、嘴の先で採った食物を喉の奥に入れる際、頭を上に振って入れる採食行動から発展したのではないだろうか。そんな、漠とした想像を巡らしています。どんな世界にも粋な奴はいるんですね。
千葉市動物公園のオニオオハシには、嘴押し競べや木の実投げ遊びは見られないでしょう。
飼育されている3羽のオニオオハシには、嘴の押し競べくらいはと望んでも、ないものねだりですし、群れで遊ぶ木の実投げは、それぞれの来園者が空想の世界で創作するしか方策はありません。
1日1回、それも15分間のスコール・タイムの中には、フタユビナマケモノの行動や自然に振舞う鳥たちの姿を観察し、嘴押し競べをするオニオオハシの遊びを創作する夢の世界があります。
バードホールには、千葉市動物公園に潜んでいる魅力のひとつがありました。