いきけんこう!

生き健康、意気兼行、粋健康、意気軒昂
などを当て字にしたいボケ封じ観音様と
元気印シニアとの対話。

代引き仕入れで、寅さんは旅から旅へ

2006-10-20 20:32:58 | Weblog
寅さんの稼業は、香具師(やし)といって江戸の昔からあったのは、誰もが知っている。
知恵を絞った口上で人を集めて、その人達に、品物に啖呵をつけて売ることを「啖呵売・
たんかばい」といっている。物を売ることは「売・ばい」と呼ぶことも承知して映画を楽し
んでいる。

寅さんの全財産(写真)が「寅さん記念館」に展示されており、トランクの下に指輪、花札、腕時計、サイコロがある。

郵便番号枠つきの封筒とハガキ、レトロな目覚まし時計などがあるが、携帯電話は持っていない。
携帯電話でさくらと話すより、公衆電話で10円玉が切れる前にさっさと用件だけ言って話が終わる方が印象に残る。
この情報を仕入れるのに、入館料500円を支払っている。言ってみれば代引き(だいびき)
だが、そのお陰で、寅さんの身軽な旅と、縁日で切る口上、啖呵売を聞く楽しみが倍増した。

寅さんの客は、神社の縁日に訪れ啖呵売に集まる人だ。
ところが、旅先で売る商売品を、寅さんは何処でどう仕入れているのだろうか?

万年筆はトランクに詰められる。かさ張る品物はそうはいかない。トランク一つだけの身軽な寅さんが、旅先で売する品物を何処でどう仕入れているのか、映画では一切語られていない。

「仕入れの時は、問屋に駅留めで注文する。指定した駅で代金を支払い、品物を引き取るんです」

その都度、寅さんは、旅先の駅で代引しているんだ。虎屋に帰宅した寅さんの財布に、何時も500円札数枚か、千円札が2、3枚しか入っていない。妹のさくらが心配して、兄の空の財布に生活費を差し入れする場面ばっかり。ナットク、納得。

「はいっ、ハイハイハイハイ、悲しからずや、ズボンのおなら、右と左の泣き別かれ。一つ買ってくれた人に一つがおまけです。こっちを買えばこっちがおまけ。 こっちを買えばこっちがおまけ、二本そっくりでこの値段ならほんとに安いんだけど、二は憎まれて損をする。芝居でやる憎まれ役が仁木(にっき)の弾正(だんじょう)。よし、二という数字がよくなければ、もう一本まけてやろう、二本買って一本おまけが当たり前、一本買って、あとの二本がおまけだ。さっきのおじさんみたいに、今日はちょっと懐の具合が悪いから、こっちの一本、お金の掛かるほうは明日にして、今日はこっちのやつだけ二本下さいったって、それはだめですよ」

化繊のズボンを仕入れて、純毛と啖呵をきり、売りさばく寅さん。今日の縁日は何処だろう・・・。

 <補足>
塩野米松が曾津家本家六代目・坂田春夫から聞き書きした『啖呵こそ、わが稼業』(新潮社)という本を参考にしました。香具師(やし)の世界が面白く、丁寧に紹介されています。


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