7月2日(土)、横浜美術館ブロガー招待企画 ”メアリー・カサット展 夜間特別鑑賞会”
に行ってきました。
微笑ましい母子像が中心でしたが、下図のような印象派の香りが溢れる作品もありました。
写真はメアリー・カサット70歳のときのもの。 裕福な家庭に生まれ、生涯独身でした。
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
第1章 画家としての出発
《バルコニーにて》は29歳の時の作品。 17歳のときに画家になる決心をし、パリなどで学び、24歳の時にサロンに初入選、
その後アメリカに戻ったが、27歳のとき渡欧し16世紀イタリアの画家の研究や、プラド美術館などで巨匠たちの絵を模写している。
そうした影響が感じられる作品です。 ただ、全体を見終って感じるのは、この絵の白い服を着た女性が、男と媚びた視線を交わして
いるのが特異的に感じられます。 母子像とか日常の生活をモチーフにした作品がほとんどなので、こうした男女関係を匂わす作品
はほかにありません。
同じく初期の作品。 右側は《刺繍するメアリー・エリソン》1877年 油彩、キャンバス フィラデルフィア美術館蔵
第2章 印象派との出会い
ドガの作品からインスピレーションを受けて、印象派風の作品に変貌していくカサット。
左《庭の子どもたち(乳母)》1878年 油彩、キャンバス 右《浜辺で遊ぶ子どもたち》1884年 油彩、キャンバス
ヒューストン美術館蔵 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
1880年代にはドガやピサロとともに銅版画の制作に熱中したりしています。
第2章Ⅰ 近代都市の女性達
1877年には、両親と姉(腎臓病を患っていた)がパリにきて、一緒に住むようになる。
パリでは、劇場での鑑賞がブルジョワジーの新しい娯楽となり、社交場ともなった。 右側の《桟敷席にて》1878年 油彩、キャンバス ボストン美術館蔵
は、カサットの傑作のひとつ。
左の肖像画なども印象派風 《扇を持つ婦人(アン・シャーロット・ガイヤール)》1880年 油彩、キャンバス 個人蔵
カサットに影響を与えたドガの作品も展示されていました。
右側の作品は《踊りの稽古場にて》1884年頃 パステル、紙〈厚紙に貼り付け) ポーラ美術館蔵
第2章Ⅳ 家族と親しい人々
初期の母子像である右側の作品、《眠たい子どもを沐浴させる母親》はニコッとなります。 また、色合いがいい。
左側は、姉リディアを描いた作品。《タペストリー・フレームに向かうリディア》1881年頃 油彩、キャンバス フリント・インスティテュート・オブ・アーツ蔵
続く作品群ですが、ぶれてしまいました。
第3章 新しい表現、新しい女性
展示されていた日本の浮世絵、歌麿もありましたが、ぶれ写真でボツ。
浮世絵の影響を受けた、多色刷り銅版画の連作。
特に上の右側の作品が素晴らしかったので、Webサイトから転載。(会場では、一点撮りの撮影は不可だったため)
第3章Ⅲ シカゴ万国博覧会と新しい女性像
左側が《果実をとろうとする子ども》1893年 油彩、キャンバス ヴァージニア美術館蔵
右側が、メアリー・フェアチャイルド・マクモニーズの《そよ風》 1895年 油彩、キャンバス テラ・アメリカ美術基金
第3章Ⅳ 母と子、身近な人々
この頃から俄然、母子像が多くなります。
左《団扇を持つバラ色の服の女》1889年頃 パステル、紙 東京富士美術館蔵 右《犬を抱くラズベリー色の服の女性》1901年頃 パステル、紙 ハーシュホーン美術館蔵
左《ジェニーと眠そうな子ども》1891-92年 油彩、キャンバス テラ・アメリカ美術基金蔵 右《ジェニー・カサットと息子ガードナー》1895-96年 油彩、キャンバス ニュ-アーク美術館蔵
《母の愛撫》1896年 油彩、キャンバス フィラデルフィア美術館蔵
1926年、86歳で亡くなります。 ドガと交わした手紙は亡くなる前に、すべて燃やしたそうです。
画家であることと、結婚は両立しないと思い定めたのでしょうが、母子像を描くカサットを思うとき、切ない感じが湧いてきます。
右の作品《クロシェ編みのお稽古》1913年 パステル、紙 個人蔵
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