6月15日(土) 朝から渋谷のBUNKAMURAで映画「嘆きのピエタ」を観に行き、そのあと、2か月ぶりに東京国立博物館に。
いい映画と、いい作品(トーハク)を見て、充実した1日でした。
まず、映画から。 映画を見るのは是枝監督の「歩いても歩いても」以来なので5年ぶり。
きっかけは、6月14日の夕刊の映画評を読んで絶賛されていたこと、(2012年度のヴェネチア国際映画祭のグランプリ受賞作) という単純なもの。
ストーリもさることながら、私がうなったのは、映像美術。
まず見ていきましょう。 画像は公式サイトなどから、引用させていただきました。
冒頭、町工場で吊り上げチェーンがするすると降りてきて、車椅子に座った青年がそれを首に巻き付け、スイッチを入れてチェーンを巻き上げる・・・首吊り自殺のシーン
シーンはすぐに切り替わるのですが、この首吊り自殺が、後のストーリー展開の原点になっています。
チェーンのシーンは画像がないのですが、印象に残ったシーンでした。
ソウルの中心部にありながら、錆びれて活力を失った清渓川(チョンゲチョン)という、町工場が密集した場所が舞台。
左の主人公ガンドに、謎の女性が現れたところ。 錆びれた工場ノシャッター、絞められる前の鶏、・・・絵になってる。
ガンドに、30年前にガンドを産んで捨てた母親だと名乗り、許しを乞う女性ミソン。 ゴミなどで雑然とした場所が絵になっている・・・
ガンドの自宅玄関前で、信じられないガンドがミソンを追い払う場面。
ガンドを見つめるミソン。 ミソン役のチョ・ミンスも、ガンド役のイ・ジョンジンも素晴らしい演技です。
心を許さないガンドに携帯電話で子守唄を唄うミソン。
ガンドは冷酷非情な取り立て屋、零細な工場主が高利の金を返せないと、腕や足を機械で怪我をさせ、障害者にして保険金で返済させる。・・・実話だと思います。
そんな中、返せなくなった主人を障害者にさせまいと、身を差し出す妻。 その妻に容赦なくブラジャーを剥ぎ取って、ガンドは叩き付けます。
冷酷非情なガンド。 眼にアイラインを引いて強烈さが増しています。
障害者にするため、廃墟のビルに工場の主を連れてきたガンド。
それを、背後から見るミソン。 この映像もうなります。
落とした工場主の、足を更に踏みつけて折ってしまうガンド。 そのあとにミソンも来て、ミソンも工場主の足を踏みつける・・・
やがて、母として受け入れられ、打ち解けてくる二人。 ミソンの編んでいるのはガンドのセータ・・・違います、ラストで解ります。
ガンドが寝ているとき、夢精しているのを手でつかみ、洗面場で洗い流し、鏡に写った顔を見るミソン。 映像に迫力があります。
ガンドの心に変化が起こり始める。 取立先の青年が妻の出産で子供のため、お金が必要なので、障害者になるというと、やめておけ、子供に、ギターでも聞かせろ・・・と恩情な面を見せる。
そのため、高利貸の会社の社長から、首にさせられ蹴られるシーンのガンド。
後はラストに向かって、一気に展開。
ラストの、夜明け前の道路に血痕を引きながら走る車を、引いたカメラで撮った映像。 詩情を感じました。
終わって、制作スタッフの名前が連綿と出てくる画面での、音楽。・・・韓国の古式の音楽だと思いますが、日本の雅楽と御詠歌が融合したような音楽に聞き惚れました。
いい映画だった。 キム・ギドク監督についても触れたいのですが、ここまでにします。
上映しているのが、東京でBUNNKAMURAの1館のみ、来週から東京で2館増えますが、全国を見ても上映している映画館が少ない。
昨年のヴェネチア国際映画祭グランプリの作品が今頃・・・と、大手の配給会社が扱わないデメリットが出ていますね。
最後にピエタの画像を。
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