光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

西村有の作品、二つの展覧会から

2019年05月08日 | アート 現代美術

西村有の作品展については、今年3月22日のブログ

信州上田、富山、金沢アート巡り #4金沢21世紀美術館、石川県立美術館

のなかで、東京で見た二つの作品展を、近いうちにまとめて紹介すると述べて

いました。 遅くなりましたが、準備ができたので、紹介します。

ギャラリーKAYOKOYUKIでの個展(2017.10.15に鑑賞)・・・東京・駒込
   「Portrait」展

トーキョーアーツアンドスペース本郷(2019.3.20に鑑賞)・・・東京・本郷
 「霞はじめてたなびく」展から

 

 

まず、ギャラリーKAYOKOYUKIでの個展「Portrait」から

当時の夕刊の展評で個展を知り、面白そうと思い行くことにしました。

この作品が、夕刊に載っていました。

残像で揺らいでいるかのような、浮遊感があり、それでいて黒髪が魅惑的な不思議な絵です。

motion》  2017, oil on canvas, 65.2 x 45.5cm



ギャラリーKAYOKOYUKIは、山手線駒込駅から歩いて数分の場所にあり、もともとは倉庫だったようです。

ギャラリー内から撮影。








作品リストは、会場内にしかなく、作品のタイトルなどがわかる資料が、手元にないため

作品名等がわかりません。  悪しからず、ご容赦のほどを。


この作品も残像が見えますね。  ササッと描く、線のタッチがいい。





このあいだ、府中市美術館で「へそまがり日本美術-禅画からヘタウマまで」を前期・後期と見たのですが

そのキャッチコピー ”きれいとは言い難いもの、不恰好で不完全なものに、なぜか心惹かれる・・・そんな

「へそまがり」な感性から生まれた、輝かしくも悩ましい日本美術の数々”

そこまでは、いかないのですが 一見、稚拙に見えます、でも、イメージがいろいろ膨らむ、面白い絵です。

これを、写実的に描いたら、この味わいは出ないでしょう。




この作品では、残像ははっきりしませんが、目のあたりのぼかしに、動きを感じます。

気ままな猫が、っモー、つまんねぇーと、歩いていく姿が・・・

 

 

 

 

 この作品、よくわからないのですが、画面全体に揺らぎを感じます。

このポーズは、荷物を開けているようにも見えるし、うなだれているようにも見えます。

西村の作品には、悲壮感みたいなものは感じられないのですが、東海林さだおの漫画のような

軽いノリのペーソスを感じます。

 

 

 

 車窓から見えるような光景も、よく描かれるモチーフです。

 

 

 

 この作品、シンプルで、いい色合いで、欲しくなったのを覚えています。

 

 

 この魚の表情!




続いて、トーキョーアーツアンドスペース本郷での「霞はじめてたなびく」展です。

この、トーキョーアーツアンドスペース本郷は初めて来ました。道向かいの東京都水道歴史館には

2010年1月に行ってますが、ここは知らなかった。

調べると、1928年(昭和3年)に造られた”職業紹介所で、1949年からは職業訓練校として使用され

2001年にアートセンターとして開館したようだ。



霞はじめてたなびく」展は、3人のアーティストの展示になっていましたが、今回は西村有の作品

のみを紹介します。 別の機会に他の2人の紹介ができるといいんだけど・・・紹介していないネタ

が山のようになっているので、いつになることやら 




2階交流室での展示光景。




壁に架かった作品。 水墨画のような感じもあり、眼にすーっと入ってくる。

《a cat looking》2019 アクリル、キャンバス


《border boy》2019 アクリル、キャンバス


西村有の作品の大半は3階のC、Dの部屋に展示されていました。



ここで、西村有のこの展示会への、ステートメントを紹介

《 実際にある風景を再現するのではなく、作家自身の日常的な気づきを重ねて「今」を描いています。

 どこかで見たことのあるような風景や人物、あるいは物語のワンシーンを思わせるような絵画は、空間に

 展示されることで、隣り合うそれぞれの作品との間に、自然と物語が生まれるよう構成されます。

でも、このステートメントを知ったのは、最近なんです。(このブログを書くために、当時の配布資料を

読んでいたら載っていた。)  うーん、分かっていたら、写真の撮り方も変わっていたかも・・・



Cの部屋入口からの光景。 自転車の絵がとても魅力的に見えました。




左回りにカメラを動かして撮影。  そういえば、犬の散歩の絵と、その左の作品は繋がりがありそうな感じだ。




C室の入口側を撮ったもの。 右側の2作品も物語で繋がるような感じだ。








D室入口付近から




逆にD室の入口側を撮ったもの。  中央の接近した2作品も物語で繋がりそうだ。




いかがでしょうか? 私は鑑賞したときは、作家のステートメントを読んでなかったので

”隣り合う作品間で、物語が生じる”・・・というところまでは気付かず、不覚でした。



個々の作品です。

遠くから見た時、自転車だけで、人は分からなかったのですが、よく見ると、うつむいた顔と、ペダルを踏む右足、地面に着いた左足

が描かれている・・・でも、輪郭線だけで、からだは透き通ったように描かれている。

不思議な絵ですが、色合いの妙と、疾走感のあるタッチで、とてもいいなーと思った作品です。

《stop the bicycle》2019 油彩、キャンバス



この作品が上の自転車の作品と隣り合っていました。 単体の作品としてみても、色が綺麗で、新鮮な感覚の静物画として好みです。

自転車の作品との物語は、実際にその現場で見ないと、何とも言えないなー・・・ステートメントを読んでいなかったことをつくづく後悔。

《fruits and ceramics》2019  油彩、キャンバス




《structures》2017 油彩、キャンバス




《back to the river》2019 油彩、キャンバス


↑と↓が隣り合っていた作品です。 動物たちの生命をつなぐ物語かな

《frog and snake》2019 アクリル、キャンバス



セルフポートレートはよくあるけど、ペインティング マインドとは珍しい。

《painting mind》2019 油彩、キャンバス



2015年制作の作品、最近のものと比較すると、やや野暮ったいかな。

《room》2015 油彩、キャンバス



犬はダックスフントで、リードの残像が見えます。 人や犬にも動いている残像が

現れ、道端に落ちている空き缶が立体感に寄与している

《walking with a dog 》2019 油彩キャンバス



↑と↓も隣り合った作品です。 これは、どういう物語か分からない・・・・万歳です。

《waiting  for the shooting star》2019 アクリル、油彩、キャンバス



この作品が、上二つの作品と隣り合っていました。  とすると、青年の恋人では?

何となく、物語が見えてきたような。・・・

《face》2018 油彩、キャンバス



この作品は↑の作品の隣。 物語性は何となく・・・

《rose and cat》2019 油彩、キャンバス



走査線で滲んだ背景の橋を、スタイリッシュな若い女性が渡っていく・・・ただそれだけなのですが

絵全体が洒落た感じ。

《across the bridge》2019 油彩、キャンバス



↑と↓の作品は、かなり近接して展示されていました。 物語はうーーん。

《a bird above a head》2019 油彩、キャンバス




《complex》2018 油彩、キャンバス



堤防の木や草と蝙蝠(最初は何かわかりませんでした)。 背景の色がいい・・・現代の花鳥図

《bats flying on the bank》2019 油彩、キャンバス



↑と↓の作品も、お隣同士

《a car running(down hill) 2019 油彩、キャンバス



以上、とりとめもなく西村有の作品を紹介しました。 今後がさらに楽しみです。


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3 コメント

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鹿籠金山 (かつおビンタ)
2019-12-24 09:41:46
鹿籠金山は藩政時代は藩の直轄の鉱山でした。(まさにドル箱)明治に入り、民間経営になり、明治10年代には旧薩摩藩士で実業家の五代友厚氏の経営になったこともあるようです。鹿籠金山の最後の経営会社が日本産金振興でした。(ちょっと見え辛いですが)S17年当時の給料4980円(4989か498.0か?)はかなりの高給取り、と思われます。当時、国家公務員の初任給が75円、米10㌔が3円50銭…くらいらしいです。父上様は重役クラスだったようです。
返信する
初めまして (かつおビンタ)
2019-12-24 10:14:05
愛知県在住、枕崎市出身の元ヤボドンです。ご両親様が枕崎の出身なんですね。興味深く拝見させて頂きました。
返信する
かつおビンタ様 (te-reo)
2019-12-24 22:24:56
鹿篭金山のコメントありがとうございます。
亡き父の日本産金振興の給与498.0円は、私も驚い
ていたのです。 ただ、、決して重役などの役職だ
ったわけではありません。 当時の枕崎では、学校
を卒業すると、皆、神戸などに働きにでていたと
か。 両親も同様で、父は商店で奉公、母は貿易商の家政婦として働いていました。 昭和15年、父が25歳の頃から、枕崎信用組合に貯金をしています。
その頃に、枕崎に戻っていたのだと思います。 
毎月の貯金額は5円で、決して多くはないのです
が、昭和16年10月あたりから増えてきて、12月には50円の貯金となり昭和17年10月まで続きます。貯金が増えたこの期間に、日本産金振興に勤めていたのでしょう。 国策会社で、会社の消滅も見えていたので、大盤振る舞いをしていたのではと推測していますが、真偽はわかりません。長くなりましたが、父の給与は、私も疑問に思っていたので、この機会に預金通帳などを調べて、ある程度の理解ができました。 貴重なご意見をいただき、父の姿がまた一つ、わかったような気がします。
有難うございました。 
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