京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

京博のお正月

2020-01-28 05:44:41 | 美術・博物館


少し前に京都国立博物館に行ってきました。
特別展示ではなかったのですが、見ごたえある内容でした。








特集展示 『神像と獅子・狛犬』





特別公開 『修理完成記念 舞鶴市・善福寺の地蔵菩薩坐像』
『日本の彫刻』、『書跡いにしえの旅』、
『染織 染めと織りの文様 ―古典文学をまとう―』
『室町時代の金工Ⅱ』
『京漆器を愉しむお正月―美濃屋コレクション―』
『幻の源氏物語絵巻』





『仏画十二天屏風の世界』
『中世絵画 松竹梅の美術』
『特集展示 京都御所障壁画 紫宸殿』





『中国絵画牧谿とその周辺』
『陶磁日本と東洋のやきもの』
『考古 鳥取・兵庫の原始古代』


明治館









平成知新館









一階ロビー撮影可能作品

『四季山水図屏風』 式部輝忠筆 室町時代十六世紀








『韃靼人狩猟・打毬図屏風』 伝狩野宗秀筆 桃山時代十六世紀








京博公式キャラクターPR大使 虎形琳ノ丞(こがたりんのじょう)
通称 「トラりん」です。
尾形光琳の「竹虎図」の虎をモチーフにしたものです。




尾形光琳の「竹虎図」





椿咲いています。












若冲展『没後220年京都の若冲とゆかりの寺 -いのちの輝き』

2020-01-19 05:43:33 | 美術・博物館



高島屋京都で『没後220年 京都の若冲とゆかりの寺 -いのちの輝き』が開催中(~1/20)です。
若冲が生涯を過ごした「京都」に伝わる名品の数々を、若冲と深いかかわりを持つ名刹や若冲蒐集で知られる細見美術館等の所蔵品が展示されています。 併せて若冲派と呼ばれる弟子たちの作品もあります。
若冲作品 47作品 
銀閣寺、金閣寺、大光明寺、相国寺、宝蔵寺、萬福寺、壬生寺、天真院、平木浮世絵財団、細見美術館




会場でもらったパンフ





《上記作品》「竹虎図」■鹿苑寺蔵 「鯉図」■慈照寺蔵
「鶏図押絵貼屏風」「雪中雄鶏図」「仔犬に箒図」「鼠婚礼図」「虻に双鶏図」 ■細見美術館蔵
以上 伊藤若冲筆 「蟹図」処冲筆■宝蔵寺蔵 ※いずれも(部分)





1階フロア展示









京都の後の巡回
・大阪高島屋
会期:2020年2月21日(金)~3月8日(日)

・日本橋高島屋S.C.本館
会期:2020年3月18日(水)~4月6日(月)

・横浜高島屋
会期:2020年4月22日(水)~5月11日(月)











福田美術館開館記念 Ⅱ期(3)曾我蕭白、長沢芦雪、岸駒、池大雅、葛飾北斎、伊藤若冲、鳥文斎栄之、西川祐信、窪俊満、宮川長春、蹄斎北馬

2020-01-06 20:48:11 | 美術・博物館


10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部の続き、最後です。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。

27.粟に鶴図 1772-1781年 曾我蕭白 1730-1781
墨絵の妙が冴える一枚
蕭白晩年の作品で、鶴が首を伸ばして振り返り、大きく口を開けて鳴いている。
つがいで描かれることが多い鶴が、この作品では1羽しか描かれていないが、画面の外にもう1羽呼んでいるのであろうか。後ろには粟の葉と穂が描かれ、墨の濃淡を生かして遠近法が巧みに表現されている。









28.海老図 18世紀後半 長沢芦雪 1754ー1799
芦雪らしさが発揮された、迫力にの構図
芦雪は京都生まれ、円山応挙に師事。画面からはみ出るほど巨大な海老を描いた絵で、赤黒く、ゴツゴツとした棘で被われた殻には、白と黒の模様も細かく描かれている。周囲の小さな海老と対比させることで、大きさと迫力を強調している。











29.福禄寿図 19世紀前半 岸駒 1756-1839
めでたい絵柄に込められた熟練の技法
歩みだそうとするお酢鹿と、こちらを振り返る雌鹿。首を伸ばして二頭の様子をうかがう鶴が描かれている。静と動に加え、それぞれの視線が交錯する巧な構図。岩や松を描く強弱の激しい輪郭線は岸駒の特徴である。















30.山水図 18世紀後半 池大雅 1723-1767
自在な筆致が生み出す光と影
右幅には大きな松が中央に描かれ、家々や山が遠方にみえる。小島の周りには松や葦が生え、その間に高士と呼ばれる俗世間から離れて暮らす人物と、子供の乗った舟が浮かんでいる。左幅の高士と子供は、崖下に建つ四阿に向かっているのであろうか。空白を生かし、偶然生まれた点のリズムや色の響きを画家自身が楽しんでいるようだ。
 

























31.大天狗図 1839年 葛飾北斎 1760-1849
江戸時代に描かれたアニメヒーロー?
右手を伸ばして飛行するのは真っ赤な顔の大天狗。くもの巣は周囲に黒を塗りモチーフを白く表現する外隈という技法で描かれている。現在は軸装だが、元々は屏風に貼られた12枚組の1枚で、北斎80歳の作品。





32.群鶏図押絵貼屏風(Ⅰ期Ⅱ期) 1797年  伊藤若冲
若冲が自由自在に操る筆の勢い
右側の屏風の第一扇と第二の扇には、雄鶏が一羽ずつ大きく描かれそれ以外には雄と雌が描かれている。
一枚ずつ違った姿の鶏が描かれ、決して単調ではない。
羽には墨のにじみの間にできる筋を上手く活かしたり、線で輪郭を描き、少しずつ濃さを変化させた墨で内側を埋めていったりするなど、工夫が見られる。





































33.人物像 1820ー1833年 葛飾北斎 1760-1849
人物の内面が浮かび上がる写実力
袴姿に男性が右手に扇子、左手に刀の鞘を持っている。背後にこん天儀と呼ばれる天体の位置や運行を観測する器械が置かれていることから、この人物は天文学者や暦学者の可能性がある。『古今和歌集』の大伴黒主の歌の句「鏡山いざたちよりて見てゆかむ」が記されている。









34.蛍狩美人図 18世紀後半 鳥文斎栄之 1756-1829
モデル系美人を好んで描いた鳥文斎
鳥文斎栄之は江戸時代後期の浮世絵師で、同じ時代の喜多川歌麿と人気を競った。長身の女性が蛍狩りを楽しんでいる。肌や髪飾り以外は淡い墨で描かれ、夜の情景であることを示しているが、これは派手な色をあえて使わず、わずかに色を添える「紅嫌い」という手法である。









35.花魁と禿図 18世紀後半 窪俊満 1757-1820
花魁の品格あふれる粋な着こなし
窪俊満は江戸時代後期の浮世絵師で、この作品は彼の描く美人画の中でも、極めて完成度の高い作品。花魁は現在でいうとトップファッションモデルのような存在で、人々憧れの的だった。微笑する表情からは自信と品格が感じられる。











36.柱時計と美人図 18世紀前半 西川祐信 1671-1750
想い人を待つ気持ちを柱時計で表現
西川祐信は江戸時代中期の京都出身の浮世絵師で、挿絵画家として活躍し、江戸の浮世絵師に影響を与えた。女性が柱時計からぶら下がる大小四つに錘を操っている。針が示す「寅の刻」
は現在の午前3時から5時。待ち人が訪れないまま夜が更けた。恋する女性のいじらしい姿か。細部まで手の込んだ作品。










37.括り枕と美人図 18世紀前半 宮川長春 1682ー1752
肉筆専門の浮世絵師による佳作
宮川長春は現在の愛知県に生まれ江戸で活躍した。括り枕とは中にそば殻、茶殻などを入れ両端をくくった枕のこと。両腕を懐に入れ、わずかに口を開けながら一点を見つめる女性は物寂しげな表情。桜紋が緑色の着物に映え、七宝紋には金色の細い線が丁寧に引かれている。





38.雪月花 19世紀前半 蹄斎北馬 1770ー1844
北斎の弟子が美人画で描く伝統画題
舟の上で月見をする女性たちが描かれ、手前の女性は水に杯を浸している。中央の絵には満月の桜の下の美人を描き、かがむ女性は蒲公英と土筆を手に取っている。
左の絵は室内から雪景色を眺める美人画で、襖絵にも立ち姿の女性の着物にも梅がえがかれている。蹄斎北馬は北斎の弟子の一人。





















会場











































福田美術館開館記念 Ⅱ期(2)木村武山、円山応挙、与謝蕪村、渡辺華山、谷文晁、狩野探幽、狩野山楽、渡部始興、伊藤若冲

2020-01-05 20:29:36 | 美術・博物館


10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部の続きです。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
Ⅱ部では特に初公開の狩野探幽筆「雲龍図」や、78年前に公開されたきり行方不明となっていた木島櫻谷「駅路之春」の幻の大作は必見です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。


14.龍田姫 1923年(大正12年) 木村武山1876ー1942
目にも鮮やな武山の大作
龍田姫は秋をつかさどる女神で、朱を含ませた絵筆を手にとって、今まさに葉を染めるところ。
木村武山は横山大観らと共に美術院で活躍した。
第10回院展への出品作。




















15.厳頭飛雁図 1767年 円山応挙 1733ー1795
応挙の「写生」が花開いた作品
かぜによって波しぶきを上げる水面に、今まさに着水しようとする雁とそれに続く二羽を描く。
羽を大きく広げた躍動感あふれる雁は、応挙が得意とした写生の成果の一つ。





16.猛虎飛瀑図 1767年 与謝蕪村 1716ー1783
沈南蘋の影響が色濃い大虎
虎は日本にいなかったので、画家たちは中国や挑戦半島からもたらされた絵や毛皮を参考に描いていた。
この虎も背中の中央にある模様が途中で消え、脚先が大きすぎるところは、実物と違う。
細密な毛描きなどに、中国の画家で長崎に一時滞在していた沈南蘋の影響が伺える。







17.百老聚星図 1782年 与謝蕪村 1716ー1783
蕪村最晩年の大作
たくさんの老人の中でも特別な存在感を示しているのは七福神の一人、寿老人、蕪村67歳の時に描かれた作品で、二本の松の表現や岩の凸凹など、長年描き続けたモチーフが多くみられる。
左下を少し塗り残している点も晩年の特徴。











18.于公高門図 1841年 渡辺華山 1793-1841
恩人への感謝を込めた華山の秀作
右下の紫色の衣服を着た人物が于公。裁判官のような仕事をしていた彼は、非常に公平な裁きを下すもとから尊敬されていた。華山が幕府から弾圧された「蛮社の獄」のときに、公平な裁きを行ってくれた町奉行与力中島嘉右衛門を于公に見立て、感謝の意を込めて制作した作品。















19.桃源・赤壁図 19世紀前半 谷文晁 1763-1840
有名な漢詩を独自の画風で描写
中国の詩を題材に描いた作品。右幅は陶淵明の『桃花源記』に詠まれた情景で、左幅は宋時代の詩人ソショクが長江にある断崖を詠んだ『赤壁賦』を元にしている。断崖は大きく、船と満月は小さく描き、中央を白い雲でぼかすことで雄大な空間を表現している。





20.寥 1970年 池田遙邨
撮影不可


21.雲龍図 1666年 狩野探幽 1602-1674
本邦初公開、探幽の龍
このたび初公開となる大画面に描かれた雲龍図。
雲の間から顔を覗かせる龍が力強い目つきでこちらを見ている。
顔の輪郭は濃淡のある墨線を使い分けて抑揚がつけられている。
雲には薄い墨を用いて大気と光までも表現しているかのようだ。






22.源氏物語図押絵貼屏風 17世紀前半 狩野山楽 1559-1635
緻密に描かれた山楽晩年の大作
『源氏物語』から12の場面が描かれている。右側の屏風の第6扇は、加茂祭に参列する源氏を見ようと、正妻の葵上御息所の牛車が場所取りで争う場面。左側の屏風の第6扇は、源氏チームと権中納言チームが分かれて絵巻の出来を競い、冷泉天皇が裁定を下す場面である。

































































23.花鳥図 18世紀前半  渡部始興 1683-1755
鳥好き始興の愛のこもった描写
始興は円山応挙にも影響を与えた画家。鸚哥のつぶらな瞳は愛らしく、羽毛、花弁、葉のグラデーションが美しい。
右側の半円形の枝と岩は不思議な形で、上の方では岩と雲が一体化し、幻想的な空間になっている。










24.黄蜀葵鵞鳥小禽図 1773年  円山応挙 1733年〜1795年〉
細部に惜しみなく込められた技術
鵞鳥の後ろに黄蜀葵が黄色く大きな花を咲かせている。胴体の上に折り畳まれている羽は、ふわふわした質感を表すため、輪郭線の墨が目立たない白い絵の具を用いている。くちばしや視線にまで細心の注意を払って描かれている。














25.巣父許由田 17773年 円山応挙 1733年〜1795年〉
故事の世界をリアルに描写
許由は中国古代の人物で、当時の皇帝尭帝から位を譲ると告げられるが、出世話に耳が汚れたと、川で耳を洗う。それを見た巣父は、耳を洗った川など汚くて渡れないと、引き返す場面が描かれている。人物の表情や、手綱に力を入れる動作などが破綻なく見えるように工夫が凝らされている。









26.柳に鶏図 18世紀後半 伊藤若冲 1716-1800
数少ない絹本に描かれた鶏
若冲は京都の錦小路市場で生まれた。正面を向いた鶏が片脚で立ち、上部にはしなやかな柳の枝が垂れ下がっている。雄鶏は顔と鶏冠部分を中心に、墨の色を少しずつ変化させ、模様の違う羽毛を描き分けている。絹本に描かれた水墨の鶏図は珍しく、月を描かず濃淡だけで葉と葉の間からもれるかすかな月明かりを表現している。














福田美術館開館記念 Ⅱ期(1)上村松園、速水御舟、横山大観、竹内栖鳳、西村五雲、橋本関雪、木島櫻谷、竹久夢二

2020-01-04 16:49:29 | 美術・博物館


10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部です。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
Ⅱ部では特に初公開の狩野探幽筆「雲龍図」や、78年前に公開されたきり行方不明となっていた木島櫻谷「駅路之春」の幻の大作は必見です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。


1.和楽之図 1897~1906年 上村松園(1875ー1949)
若き日の松園の瑞々しい感性
春の野に遊ぶ、姉妹の温和な情景。幼い妹の無邪気な様子を姉二人が微笑みながら見守っている。着物、表情、仕草など至るところに松園の細やかな配慮が感じられる。









2.人形遣之図 20世紀前半 上村松園(1875ー1949)
歌麿の錦絵を松園風に
屏風を舞台に見立て、近松門左衛門の浄瑠璃「冥土の飛脚」が演じられている。
主人公たちが一つ傘を差しながら雪の中を逃避行する名場面。
「倣古図(こずにならう)」と記されたこの作品は、喜多川歌麿に錦絵を模写したもので、松園の浮世絵への関心を具体的に示す、大変珍しい例。





3.春眠 1921ー1925 速水御舟 1894ー1935
毛並みの質感までも表現する細密描写
御舟は西洋絵画や中国絵画の表現を取り入れた写実的な作風が有名。穏やかな陽射しの中で身体を丸めて眠っている猫と、新芽を膨らませた躑躅の花が、内に生命力と来る季節を感じさせる。










4.富士図 1945年頃(Ⅰ期Ⅱ期) 横山大観 1868ー1858
紙にもこだわって表現した、広大な雲海
金色に輝く旭日が昇り、果てしなく広がる雲海から雪を頂いた富士が端正な姿を見せている。
限られたモチーフを横長の画面に巧みに構成し、地上からは決して臨むことのできないゆうだいな景色を描ききった。大観渾身の作品。










5.露潤 1932年(昭和7年) 速水御舟 1894ー1935
限られた色彩で描く、夏の艶
黄蜀葵の花は朝開き、夕刻には萎れてしまうが、この絵では蕾が膨らみ、実が育っていく様子み描かれている。夏の早朝のみにみられる、黄蜀葵と蝶が生き生きと共存する光景を描き、「露潤」と題したところに御舟の創意が光る。











6.水風白鷺 1926年頃(大正14年頃) 竹内栖鳳 864ー1942
伝統の画題を革新的なタッチで
柳を一羽の鷺の組み合わせは「一路功名」と呼ばれる東洋絵画に伝統的な画題。一筋に立身出世を志して励むという意味が込められている。竹内栖鳳はその伝統を踏まえながらも筆づかいを自在に変化させ、爽やかな初夏の風景に仕上げた。










7.明け安き頃 1937年(昭和12年) 西村五雲 1877ー1938
夏の空気感を伝える爽やかな描写
五郎雲は京都に生まれ、竹内栖鳳に学んだ。朝日が差し込む気配を感じ取り、畑を素早く駆けていくイタチが、軽快な筆さばきで描かれている。つややかに実った茄子は、丸みを帯びた形が特徴的な京の伝統野菜「賀茂茄子」を思わせ、初夏の爽やかな風景がそのまま切り取られている





8.睡猿 1935ー44(昭和10年代) 橋本関雪
猿絵の名手、関雪が描く樹上の哲学者
関雪の動物画の代表作といえば、2匹のテナガザルを描いた「玄猿」。本作は「玄猿」に描かれたうちの1匹と似通った姿の猿を再構成したもの。眠気をもよおした表情は、深まりゆく秋を憂える様子が漂う。






9.馬路之春 1913年(大正2年) 木島櫻谷1877ー1938
満開の桜を感じさせる秀逸な構図
櫻谷は動物画で近年注目を集める画家。画面左側の太い幹は桜の木。花そのものは描かれていないが、地面に散り敷く花弁が満開の様子を想像させる。
この絵では金箔を画面の裏に貼る「裏箔」という手法が使われている。絹目を通り抜けた淡い輝きは、やわらかな陽光を表すのに最適。

この作品は六曲一双の屏風絵で高さは170cm、幅は375cm。1913(大正2)年の第7回文展に出品された後に個人に買い上げられ、太平洋戦争開戦前の1941(昭和16)年の追悼展で公開されて以降は公開されていない作品です。
櫻谷は横山大観や竹内栖鳳らと肩を並べる画家として知られていたが、晩年は画壇から距離を置き、長く忘れられていました。
近年独特の画面構成や色彩感覚で再評価が進んでいます。








































10.鴨東舞姫 1914年頃(大正3年頃) 竹久夢二 1884ー1932
夢二が好んだ見返り舞妓
度々京都に訪れた夢二は、背にだらりの帯を見せながら左肩越しに振り返る舞妓の姿を繰り返し描いた。京の花街に生きる、女性の凛とした佇まいが見事に表されている。






11.青い衣物の女 1913年頃(大正2年頃) 竹久夢二 1884ー1932
小粋な配色のモダンガール
女性が寄り掛かっているのは、底に灰を入れて炭をおこし、抱えて暖を取るための火鉢。
夢二らしい独特のデザインが目を引く。夢二の絵には胡粉を使って白い肌を強調した美人が多いが、彼女はやや薄化粧。








12.紅衣扇舞 1929年頃(昭和4年頃) 竹久夢二 1884ー1932
自由なデフォルメが生む色香
柳はその葉や枝のしなやかな様子から、美しい女性を例える言葉に多く使われる。
扇をかざして舞う女性は、まさに柳腰の美人。柳が風に吹かれる様子を詠じる冒険の詩句さながらに、女性は華奢な身体を揺らし、優美に舞っている。






13.南枝早春 1928年(昭和3年) 竹久夢二 1884ー1932
初々しい少女の躍動感空に高く上がった羽根を打ち返そうと、少女が羽子板をかざしている。随所に金の絵の具を用いて晴れやかな風情を表したこの絵は、「千九百二十8年師走湘南熱海旅舎」と記されているように、来る正月に飾るために描か。






続く。


近代工芸の花鳥風月 京都近代美術館コレクション展

2019-12-26 15:16:58 | 美術・博物館


京都近代美術館の2019年度 第5回コレクション展 (計141点)
2019年10月30日(水)~12月22日(日)

近代工芸の花鳥風月
 美術館ホームページより

 『花と鳥と風と月という四文字の漢字からなる「花鳥風月」という言葉は、日本人の自然を愛でる心性を表す際に用いられます。古来、日本人はこれら自然の美に抱かれ、その美を自らの身の回りの物事の中に写しとってきました。このような日本人の心性を、例えば、幕末から明治期に来日した多くの外国人の一人であるモースは「我国の百倍もの人々が、美しい雲の効果や、蓮の花や、公園や庭園をたのしむ」と語り、シーボルトは「花好きと詩は日本において分離できぬ車の両輪である」と述べています。同様の感想を抱いた外国人は他にも数多くおり、日本人が自然を、手付かずの「自然」ではなく、一つの文明・文化の中で意味のまとまりとして捉えていること、その小宇宙の中で生類と人が交歓する世界のあり様を日常の様々な文物の中に表していることを指摘しています。それらの文物の中でも中心となるのは、人々の生活の場で用いられてきた工芸品であり、花鳥風月のイメージは、工芸品に用いられる素材や技術、装飾を通じて、自然と人々とのかかわりを多様なかたちで示してくれます。このことは近代以降の個人作家の工芸制作においても同様であり、写生を通じて掴み取られた植物の構造美が造形に生かされた例も多くみることができます。
 今回のコレクションギャラリーでは、当館がここ数年間に集中して収集してきた明治の工芸作品を中心にそれ以降の個人作家たちの作品も含めて、近代日本工芸における「花鳥風月」をご紹介いたします。』


近代工芸と花鳥風月
迎田秋悦 1881 - 1933 大正大嘗宮蒔絵料紙・硯箱 1915 漆、蒔絵









神坂祐吉1886-1938 案:神坂雪佳1866 - 1942 松喰鶴図蒔絵螺鈿小箱 明治末-大正期





江馬長閑 1881 - 1940 菊桐蒔絵八角喰籠 大正期 漆、蒔絵





赤塚自得 1871 - 1936 硯箱 銘 「舞鶴」 昭和初期 木胎蒔絵





松田権六 1896 - 1986 蒔絵箱 「赤とんぼ」 1969 木胎蒔絵、螺鈿





十二代西村總左衛門 1855 - 1935 孔雀図刺繍屏風 1900-10 刺繍









作者不詳 鳩図四曲屏風 明治期 刺繍













川出柴太郎 1856 - 不詳 芥子図花瓶 一対 明治期 有線七宝









起立工商会社 花鳥図花瓶 明治期 銅、高肉象嵌





安藤重兵衛 1876 - 1953 葉鶏頭図花瓶 一対 明治-大正期 有線七宝





並河靖之 1845 - 1927 桜蝶図平皿 明治期 有線七宝





正阿弥勝義 1832 - 1908 瓢箪に天道虫花瓶 1900





武蔵屋大関 金蒔絵芝山花鳥図飾器 明治期 芝山細工、銀、朧銀、金、赤銅象嵌





素銅、象嵌(金、銀、赤銅、緋銅)

北原千鹿 1887 - 1951 鶉文金彩壺 1938 鍛造、黄銅、彫金





増田三男 1909 - 2009 銀象嵌鉄鴫文箱 1967 鍛、鉄、銀、象嵌





小合友之助 1898 - 1966 屏風「樹」 1960 鑞染・絹紬





鈴木 治 1926 - 2001 雪の中の馬 1973 陶





河井寬次郎 1890 - 1966 黄釉筒描花鳥文扁壺 1952





五代清水六兵衞 1875 - 1959 青華ゆうかり花瓶 1924 磁器





六代清水六兵衞(正太郎) 1901 - 1980 銀白泑刻文秋叢花瓶 1979 陶





北大路魯山人 1883 - 1959 色絵金彩椿文鉢 1955 陶





石黒宗麿 1893 - 1968 壺「晩秋」 c. 1955 陶





八木一夫 1918 - 1979 春の海 1947 陶 寄託作品 撮影不可






日本洋画 岸田劉生、藤島武二、藤田嗣治、宮本三郎、熊谷守一、梅原龍三郎、小出楢重、石井柏亭、小林和作

2019-12-24 12:52:00 | 美術・博物館


京都近代美術館の2019年度 第5回コレクション展 (計141点)
2019年10月30日(水)~12月22日(日)

日本洋画と装飾性

美術館ホームページより
『日本の近世絵画において画期をなした円山・四条派。彼らは、中国清代の絵画や西洋絵画の写実表現に学びながら、実物をよく観察してその生命を描き写すことを重視した画家たちです。しかしリアリズムのみに徹したわけではなく、狩野派の筆墨や琳派の装飾性等も取り込んで融和させたことにより、京都を中心に広く支持される画風を創出したことは見逃せません。
 日本における「洋画」(油絵や水彩画)の歴史も、意外にこれに似ている面があるのかもしれません。その歩みは、江戸時代後期以降、西洋絵画のリアリズムに衝撃を受け、それを学習するところから始まりました。もっとも、そのリアリズムの真の意義を突き詰める余裕もないまま、やがては同時代の西洋美術における新潮流を次々に取り込むばかりになってしまったようにも見えますが、同時にその過程は、西洋式の絵画であるはずの「洋画」を日本化しようとする企ての歴史でもあったといえます。西洋式のリアリズムを学びながらもそれを脱し、平面性、抽象性、そして何よりも装飾性へ向かうことによって、日本人ならではの表現へ到達しようとした歴史だったと見られるのです。
 近代の短期間に急激に進められたその企てはどのような成果を生み出したのでしょうか。当館コレクションからいくつかの作品をご覧いただきます。』

撮影可能作品です。

岸田劉生 1891 - 1929 麗子弾絃図 1923 油彩、麻布










小出楢重 1887 - 1931 横たわる裸女(B) 1928 油彩、麻布









小出楢重 1887 - 1931 卓上静物 1928 油彩、麻布





石井柏亭 1882 - 1958 画室 1930 油彩、麻布





小林和作 1888 - 1974 鳩 1943 油彩、麻布





中川紀元 1892 - 1972 風景 1920 油彩、麻布





藤島武二 1867 - 1943 山上の日の出 1934 油彩、麻布





藤田嗣治 1886 - 1968 タピスリーの裸婦 1923 油彩、麻布














宮本三郎 1905 - 1974 裸婦群像 1954 油彩、麻布





牛島憲之 1900 - 1997 炎昼 1946 油彩、麻布









里見勝蔵 1895 - 1981 女 1937 油彩、麻布





熊谷守一 1880 - 1977 岩殿山 1960 油彩、麻布





梅原龍三郎 1888 - 1986 半裸体 1913 油彩、麻布





梅原龍三郎1888 - 1986 坐裸婦 1914 油彩、麻布





梅原龍三郎 1888 - 1986 富士山之図 1947 顔料、紙 登録美術品 撮影不可


美術館4階から





金戒光明寺の三門と本堂が見えます。









南禅寺三門が見えます。









円山・四条派の系譜―近代京都画壇(2)

2019-12-23 20:32:09 | 美術・博物館


京都近代美術館の2019年度 第5回コレクション展 (計141点)
2019年10月30日(水)~12月22日(日)

円山・四条派の系譜―近代京都画壇の続きです。

西村五雲 1877 - 1938 淡光 1930 絹本着色





竹内栖鳳 1864 - 1942 漁村松濤 c. 1917 絹本着色










福田平八郎 1892 - 1974 真鯉 c. 1936 絹本着色









千種掃雲 1873 - 1944 猛禽写生 c. 1896 墨、紙





千種掃雲 1873 - 1944 狸写生 c. 1896 墨、顔料、紙





千種掃雲 1873 - 1944 猛禽写生 1896 墨、顔料、紙





千種掃雲 1873 - 1944 鹿写生① c. 1897 紙本墨画





千種掃雲 1873 - 1944 ねずみ写生 1897 紙本墨画





千種掃雲 1873 - 1944 栗鼠写生② c. 1897 紙本墨画





都路華香 1871 - 1931 蝉、蝶写生 不詳 紙本墨画  略
千種掃雲 1873 - 1944 昆虫、蛙写生 c. 1897 紙本墨画 略

都路華香 1871 - 1931 魚写生(浜寺海浜院にて) 1891 紙本墨画





都路華香 1871 - 1931 猿写生 不詳 紙本墨画





都路華香 1871 - 1931 鶏写生 1890 紙本墨画淡彩





都路華香 1871 - 1931 都路華香旧蔵参考資料





都路華香 1871 - 1931 鳶写生② 1896 紙本墨画




都路華香 1871 - 1931 鴎写生② 1896 紙本墨画

今尾景年 1845 - 1924 景年花鳥画譜(春夏秋冬4冊本) 1891-92 紙、木版





徳岡神泉 1896 - 1972 枯葉 1958 紙本着色









池田遙邨 1895 - 1988 朧夜 1982 紙本着色









上村松篁 1902 - 2001 孔雀 1983 紙本着色









山口華楊 1899 - 1984 日向 1949 紙本着色




山口華楊 1899 - 1984 白露 1974 紙本着色





猪原大華 1897 - 1980 鯉 1977 紙本着色









麻田辨自 1899 - 1984 曲水 1969 紙本着色








以下撮影不可

鈴木松年 1848 - 1918 梅に小禽 1916 絹本着色 寄託作品  
幸野楳嶺 1844 - 1895 柘榴図 明治30年代c.1897-1906) 絹本着色 寄託作品  
菊池芳文 1862 - 1918 牡丹孔雀 1917 絹本着色 寄託作品
山元春挙 1871 - 1933 夏の海邊之圖 1899 絹本墨画淡彩 特別出品/個人蔵
都路華香 1871 - 1931 寄心撃磬図 c. 1897-1912 絹本着色 寄託作品
入江波光 1887 - 1948 松に鷹 1937 紙本墨画淡彩 寄託作品
竹内栖鳳 1864 - 1942 晴麗 1918 絹本着色 寄託作品
山口華楊 1899 - 1984 深山 1980 紙本着色 寄託作品
福田平八郎 1892 - 1974 鯉 c. 1963 紙本着色 寄託作品
福田平八郎 1892 - 1974 紅梅 1961 紙本着色 寄託作品
福田平八郎 1892 - 1974 菖蒲(花菖蒲) 1966 紙本着色 寄託作品
福田平八郎 1892 - 1974 雉子(雉) 1967 紙本着色 寄託作品


円山・四条派の系譜―近代京都画壇 近代美術館コレクション展

2019-12-22 17:38:20 | 美術・博物館


京都近代美術館の2019年度 第5回コレクション展 (計141点)
2019年10月30日(水)~12月22日(日)

円山・四条派の系譜―近代京都画壇
美術館ホームページより
『18世紀に入り蘭学に影響を受けた実証主義的な文化が興ると、文化的に洗練された京都の町衆は先人の模倣に終始する御用絵師狩野派の画に飽きたらず、自分達の目の前で繰り広げられる四季折々の風景や植物の美、動物達の持つ躍動感や愛らしさ、女性の艶や美しさをそのままに描く絵師を求めます。ここに現われたのが、徹底した写生をもととして新しく開発した技法に、遠近法も駆使して対象を描く円山応挙でした。「見えたままに描く」画は、ともすれば面白味に欠けるようなところもあったため、そこに俳味や文学性、情趣を加えた呉春を祖とする四条派が興り、両者が相俟って京都画壇は更なる隆盛を極めます。やがて明治に入り、東京奠都になると公家衆とそれにつき従う町衆が京都をあとにしたことや、戊辰戦争で焼け野原となったことにより、町の勢いが衰えてしまいます。そこに、文人画や東京画壇、油彩画の隆盛があり、一時的に、京都画壇は衰退したように見えましたが、近代的な産業を興した町衆が新たなパトロンとなって町を盛り上げるとともに、画家達にも作品を発注、円山・四条派の流れに続く竹内栖鳳、山元春挙、上村松園等が頭角を現し、明治40(1907)年政府の主催する初めての全国的な展覧会では、東京画壇に負けず劣らずの活躍を見せ、近代京都画壇として発展するのでした。
 このコーナーでは、3階の企画展「円山応挙から近代京都画壇へ」展の後を受け、当館日本画コレクションの核である近代京都画壇に連なる作家達の作品をご紹介いたします。』

塩川文麟 1808 - 1877 四季山水 1867 絹本着色






















森 寛斎 1814 - 1894 花鳥図 1891 絹本着色





久保田米僊 1852 - 1906 水中落花蝶図 明治中期 絹本着色









橋本関雪 1883 - 1945 意馬心猿 1928 絹本着色









竹内栖鳳 1864 - 1942 若き家鴨 1937 紙本着色






















上田萬秋 1869 - 1952 鴨図 不詳 絹本着色










竹内栖鳳 1864 - 1942 海幸 1939 絹本着色









今尾景年 1845 - 1924 老松孔雀図 1916 絹本着色









竹内栖鳳 1864 - 1942 枯野の狐 1897 絹本着色















谷口香嶠 1864 - 1915 資朝門東寺避雨図 1914 絹本着色









徳岡神泉 1896 - 1972 鯉 1929 絹本着色









山口華楊 1899 - 1984 神鹿 1940 絹本着色





西山翠嶂 1879 - 1958 秣 1920 絹本着色















神坂雪佳 竹久夢二  日本の装束 近代美術館コレクション展

2019-10-31 20:04:54 | 美術・博物館


京都国立近代美術館 コレクション・ギャラリー 
令和元年度 第4回コレクション展 10月27日(日)

装束:日本のドレス・コード
美術館HPより
日本におけるドレス・コード「装束」をキーワードに当館のコレクションを紹介します。
能装束を題材として描かれた神坂雪佳と能画の名手としても知られる月岡耕漁による《能楽絵十二月》を紹介します。


神坂雪佳 1866 - 1942 坂巻(月岡)耕漁 1869 - 1927 能楽絵十二月 1921 絹本着色/画帖(12葉)






























日本人は、明治維新以降、西洋の文物を取り入れていく中で生活様式を大きく変化させてきましたが、大正期に活躍した竹久夢二は、西洋と東洋との出会いを、人々の仕草や装いを通じて、まるで夢を見ているかのように叙情的に描き出しました。



竹久夢二 1884 - 1934 港屋風呂敷「MINATOYA JAPONICA CHERRY-LAND」 1914 風呂敷





竹久夢二 1884 - 1934 宝船 1920 木版、紙





竹久夢二 1884 - 1934 九連環 c. 1928 エスタンプ










竹久夢二 1884 - 1934 『セノオ楽譜no.44 「蘭燈」』 大正6年6月9日発行 紙





竹久夢二 1884 - 1934 『セノオ楽譜no.106 「待宵草」』大正7年9月20日発行、大正10年3月20日二刷紙





竹久夢二 1884 - 1934 『セノオ楽譜no.113 「もしや逢ふかと」』 大正7年12月20日発行 紙





竹久夢二 1884 - 1934
川西 英 1895 - 1965 川西英編集『竹久夢二 雑(封筒、包紙等)』 制作年不詳 木版ほか













竹久夢二 1884 - 1934 『夢二絵葉書集』 c. 1935 木版、葉書









日本の装い
美術館HPより
 「装い」という言葉は、美しく概観や身なりを整えるという意味で用いられます。日本人は、四季折々そして場に合わせて様々な装いを生み出してきました。その代表的なものに着物があります。着物はかつては日本人の日常的な衣服でもありましたが、現在ではハレの場を彩る特別な存在となっています。その象徴が紬です。紬は日常着であったことから、日本各地で発達しました。しかし、紬糸を染めて織り出す先染めによるやさしい風合いは、今日、外出着としても好まれています。一方で、後染めによる友禅などの訪問着や振袖は、もともと日常着であった紬とは異なり、冠婚葬祭などのフォーマルな場で着られるものです。また、着物は、意匠や風合いによる視覚性や触覚性に加えて、平安時代には四季の移ろいを香りに託して着物に焚き染める風習も発達しました。この風習は今日でも一部で受け継がれています。
 私たちは時として人々の装いに心を奪われることがあります。それぞれの装いが、私たちにとって美しいものとして立ち上がってくるには、装う対象そのものを客観的に捉える感性の働きを必要とするように、装いとは、装うものとそれを知覚するものとの双方向的な関係において成立する文化的行為だといえます。

伊砂利彦 1924 - 2010 振袖 嫁ぐ日(松模様) 1970 友禅、蝋纈、箔 後期





三代田畑喜八 1877 - 1956 一越縮緬地鳳凰桐文振り袖 1954 友禅・絹 後期





羽田登喜男 1911 - 2008 高雅縮緬地友禅訪問着「浮遊」 1961 友禅・ちりめん 後期




小倉建亮 1897 - 1982 訪問着「懐郷」 1964 絞り染・ちりめん 後期





渡辺彰子 1943 - 紬着物「雲立涌」 1971 絹、紬織 後期





北村武資 1935 - 金地経錦丸帯「詰菱」 2010 経錦 後期





藤井達吉 1881 - 1964 金銀彩草花文帯 1916-23 金、銀・絹 後期












野外陶芸作家展 堂本印象美術館

2019-10-18 16:27:38 | 美術・博物館


堂本印象美術館庭園で『野外陶芸作家展』が開催されています。
期間は10月12日から11月4日 時間9:30ー17:00

どこへ行く? 森田隆司





日・月(Ⅲ) 宮下英子





青白磁滴文花器 内山政義





虹色の心 竹村智之





三億年Ⅲ! 天野明美





そらの風 上田順康






春のプリズム  竹村智之





フジイロノフジ 竹村智之





湖に落ちた星屑 竹村智之





置き忘れたもの  竹村智之









どこへ行く? 森田隆司










青白磁滴文鉢 内山政義





青白磁滴文壷 内山政義





青白磁滴文角台皿 内山政義





青白磁滴文文壷 内山政義





流るる(1) 宮下英子





流るる(2) 宮下英子





流るる(3) 宮下英子





日・月(ⅠとⅡ) 宮下英子










恵風  天野明美

















赤 哀歌 天野明美





白 微笑  天野明美





黄 未来  天野明美





青 知恵  天野明美





黒 怒涛  天野明美





風通る  上田順康





祈る人  上田順康





















洋画装う人/脱ぐ人 特別展示絹谷幸二 近代美術館コレクション展示

2019-10-17 20:59:19 | 美術・博物館


京都国立近代美術館コレクション展です。
2019年度 第4回コレクション展 (計125点)
会期 2019年8月8日(木)~10月27日(日)

装う人/脱ぐ人 美術館HPより
「人は古来、男女を問わず、衣服や装身具等で身体を装ってきました。装いは人の役割や地位、生活の仕方、さらには趣味(美への判断力)をも表現(あるいは表出)します。著名人の肖像として制作された絵や彫刻におけるその人の装いの描写は、その人の理想の表明にもなります。
 では、装わない身体、装いを脱いだ身体としての、裸体を表した作品の場合はどうでしょうか。この場合も西洋の美術では、裸体の置かれる状況そのものが、ヴィーナスやアポロン等の古代神話によって装われていたといえます。装わないこと、脱ぐこともまた西洋の美術では装いであり、言わばドレスコードに則っていたということです。
 日本美術にも古来、着衣像に関してはコードがありましたが、裸像に関しては、西洋の美術を摂取し始めた明治期以降も、コードは未成立でした。裸体とは単に服を着ていないことであり、そこに意味や美を見出せていなかったにもかかわらず、西洋の美術に倣って、見よう見まねで裸体を表現し始めたような状態でした。1891(明治24)年、裸体画の是非を問う討論会の中で洋画家の浅井忠が「描くべきものは他にいくらでもある」と発言したのは、ヌードをめぐるドレスコードが日本において未成立であることを冷静に見抜いていたからでしょう。
 では、日本の近代の美術家たちは「装い」をどのように描いたのでしょうか。それを当館の洋画コレクションによりご覧いただきます。」





神阪松涛 1882 ‐ 1954 蟲のね 1909 油彩、麻布





沢部清五郎 1884 ‐ 1964 梳 1909 油彩、麻布





田中善之助 1889 ‐ 1946 女 1911 油彩、麻布





田中善之助 1889 ‐ 1946 少女像 c. 1910 油彩、麻布





中川紀元 1892 ‐ 1972 街 1920 油彩、麻布





安井曽太郎 1888 ‐ 1955 婦人像 1930 油彩、麻布





安井曽太郎 1888 ‐ 1955 ポーズせるモデル 1931 油彩、麻布





大久保作次郎 1890 ‐ 1973 木陰の憩い 1952 油彩、麻布





長谷川 昇 1886 ‐ 1973 黒髪 1968 油彩、麻布





長谷川利行 1891 ‐ 1940 女 1932 油彩、麻布





小磯良平 1903 ‐ 1988 娘達 1938 油彩、麻布





熊谷守一 1880 ‐ 1977 化粧 1956 油彩・紙に板





ICOM開催記念 特別展示 絹谷幸二
美術館HPより
 「ICOM公式ポスターの原画を絹谷幸二が手がけました。絹谷は東京藝術大学大学院にて壁画技法を学んだ後、ヴェネツィア・アカデミアへ留学し、ブルーノ・サエッティ氏に師事して本場の壁画技法を習得しました。1973年に帰国。留学中に制作した《アンセルモ氏の肖像》(東京国立近代美術館蔵)が、第17回安井賞展(1974年)へ推薦され、画家の登竜門とも言われた安井賞を受賞して一躍人気作家となりました。現在にいたるまで活発な制作活動を続けるとともに、文化庁と日本芸術院が子どもたちに文化芸術活動の素晴らしさを伝える目的で行っている「子供 夢・アート・アカデミー」にも積極的に関わるなど、次世代の育成にも熱心に取り組んでいます。
 鮮やかな色彩や巨大な画面に描かれた作品には様々なモチーフが登場し、縦横無尽に画家のイマジネーションが展開しています。奈良県出身で幼少期に興福寺周辺を遊び場とし、仏教世界に親しんでいる絹谷の作品には、教養に裏打ちされた深い精神性が宿っています。例えば、《うずもれしは砂の愛》では、「あああ」という苦悶の声や般若心経の一節を砂地の上に鮮やかな色彩で描くことで、人生の苦しみやはかなさを強調しており、うつろいゆく世界に対する作家のまなざしが感じられます。じっくりと鑑賞することで聞こえてくる作家のメッセージに耳を澄ませてみてください。」


絹谷幸二 1943 ‐ トルソーの涙Ⅰ 1973 アフレスコ・ストラッポ、綿布





絹谷幸二 1943 ‐ うずもれしは砂の愛 1984 ミクスト・メディア、カンヴァス





絹谷幸二 1943 ‐ 黒谷光明寺降臨文殊菩薩Ⅰ 2017 ミクスト・メディア、カンヴァス
























川端龍子展 堂本印象美術館

2019-10-17 05:31:06 | 美術・博物館


堂本印象美術館で開催中の『川端龍子展』です。
川端龍子(1885-1966)は、東京で活躍した日本画家として知られています。
それが理由ではないでしょうが、没後53年、京都の美術館では初めての回顧展になります。
川端龍子は戦前より「健剛なる芸術」の創造を唱え、従来の日本画の伝統にとらわれない斬新で豪快な作風を創出したことで知られています。
主宰した「青龍社」は帝展・院展と肩を並べる日本画壇の一大勢力となりました。
今回の展示会は、龍子の初期から晩年にかけての代表作を取り揃え、その画業を振り返るものです。
龍子が主張した会場芸術の作品、京都を題材にした作品などに加え、京都にゆかりのある青龍社の画家の作品も展示しています。
龍子と同時期に活躍した日本画家、堂本印象(1891-1975)が建てた美術館で、東の雄である龍子展が開催中です。
作品は撮影不可です。投稿画像は40年以上も前に買い求めた川端龍子の画集です。









金閣炎上 1950年(昭和25) 142.0x239.0cm
昭和25年7月焼失した金閣寺をさっそくテーマに、二ヶ月後の9月に始まる秋の青龍展に取り上げ出品した。
「あの焼けた翌日の新聞の写真ーまだ余韻の立ち昇っているのを見た際に、私の気持ちはそれを惜しむということと同時に、やはり生者必滅の諦めが湧くのでした。ところであの夜の雨の火事に、京都の画人で焼けつつある金閣を惜しみ得たのは幾人だったろうか、、、、、、この金閣の炎上はこれは絵になる、、、、というわけです。もちろん想念の範囲ですが、実景の真はもし眺め得られた方があったとしたら、京都の画人の筆を待つことにしましょう。」 龍子





佳人好在 1925年(大正14)140.6x115.0cm
色鮮やかな皿、鉢、豪華な器に盛られたとりどりの京料理、画面の主役に食膳を据えた作品は例を見ない。
この構想も誰もが目にする平凡な光景から意表をついた画材を見つける龍子独特の機知の働く作品である。
手入れの行き届いた庭、茶室、畳の目一筋一筋、繊細優美な純日本的雰囲気も濃厚に漂う。
ここは瓢亭です。





使徒所行事 1926年(大正15)三面 228.8x506.1cm
深山高山を開き、苦行を積み、鬼神を使役した修験道の開祖、役小角をテーマにした作品。
















筏流し 1959年(昭和34)242.4x727.2cm
現在も行われている保津川下り。
空をせばめてそそり立つ断崖、水流豊かに流れる奔流。
水しぶきをあげ岩を濡らし湧き返る。













白亜と群青 1962年(昭和37)
四天王寺講堂壁画「仏教東漸」の取材に訪れたインドでの作品。
「釈尊がまだ苦行から悟り切れず、前正覚山から下り、疲れ衰えて尼蓮禅河を渡られたーその河は、水は踵を浸す程度の浅い川であるが、その徒渉点にある民家ーマホメット教徒の豪家らしい家造りだったが、そこを写生中に天から降ったように孔雀が飛んできて、塔らしい飾りの上にふわりと届り、やがて二羽の雌も集まってくる。」 龍子






龍安泉石 1924年(大正13)4面1双 各186.0x419.0cm
龍子の初の横長ワイドの大作。有名な京都龍安寺の石庭を大きな四面一双の屏風に描いている。
この作品に特色は大胆な構図で、左上から見下ろしたような視点が右にうつるにつれ低くなり、部屋の真ん中から望んだ光景に変化する。









爆弾散華 1945年(昭和20)





南飛図(部分) 1931年(昭和6)





香炉峰 1939年(昭和14)










川端龍子の作品は大画面で壮大です。
従来の日本画のサイズより一回りも二まわりも大きな作品です。これが川端龍子の真骨頂かも知れません。
堂本印象の大作品に通じるものがあり、床の間や寺院の襖絵とは全く異なるダイナミックさがあります。
堂本印象、川端龍子ともに文化勲章受賞者です。もっと展示会が開催されてほしいものです。






嵐山福田美術館(5)洋画 ローランサン、モネ、ピサロ、マティス

2019-10-16 17:48:16 | 美術・博物館


10月1日にオープンした福田美術館の展示作品(撮影可)の洋画です。


西洋美術

美術館建設を意識して本格的に日本画収集を開始するまでの間、フランスの近代絵画も収集しています。
数多くないものの、モネ、ピサロなどの印象派やマテイス、シャガールなど、日本で人気のある巨匠の作品が揃っています。
中でもシャガール「魔術師」(撮影禁止)は、抱き合う男女や花束などシャガールの好んだモチーフの数々が青い画面にちりばめられた、晩年の大作です。


マリー・ローランサン 1883ー1956
「女の肖像」 20世紀
明るい色彩で描かれた物憂げな女性
モデルや制作時期など、詳しいことはわかっていないが、透明度ある水彩の中に、一色でポイントを効かせていること、灰色で陰影を表していない点などが特徴的。
1938年にシカゴで開かれた第17回国際水彩画展に出品された作品。










マリー・ローランサン 1883ー1956
「二人の若い娘」 20世紀










マリー・ローランサン  1883ー1956
「三人の女」 20世紀










クロード・モネ 1840ー1926
「プールウ゛イルの崖、朝」 1897年
モネが親しんだ景色を明るい色彩で
プールウ゛イル・シュル・メールは、ノルマンデイーのデイエップ郊外にある。
モネは砂浜に立ち、ほぼ真西を向いて早朝あるいは薄曇りの朝の景色を描いた。
遠景の崖に強い朝日が当たることなく、風景全体は淡い光に優しく包まれている。





カミール・ピサロ 1839ー1903
「エラニーの積み藁と農婦」 1885年
光溢れるピサロの積み藁
この絵が描かれた1885年、ピサロは新印象派のシニヤックらと知り合い、作品も新印象派風の様式に変わっていく。
まだ細かく規則的な点描画法は目立たないが、変化の兆候がわずかに感じられる作品。











アンリ・マティス 1869ー1954
「窓辺の婦人」 1923年
マティスの色彩感覚が冴える小品
1923年にパリの画廊が画家本人から入手したとされている作品で、その後はスイスなどの個人コレクションに所蔵されていた。
一気に描かれた作品ながらも署名もされている。
モデルについては不詳だが、ニース海外沿いの建物からの光景と推測される。











マルク・シャガール「魔術師」1968年
素晴らしい作品ですが、撮影不可でした。


第66回日本伝統工芸展

2019-10-15 07:10:36 | 美術・博物館


京都高島屋で『第66回日本伝統工芸展』が開催(10/9ー10/14)されました。
重要無形文化財保持者、受賞作家の作品を中心に、作品297点が展示されました。
毎年行っていますが、今年も入場者が多いのに驚きです。





日本工芸会総裁賞
花紋大鉢「椿」 望月 集
大輪の椿の花がとても印象的です。





日本工芸会奨励賞
釉描彩雪笹踏み切る陶筥 井口 雅代





日本工芸会新人賞
鉢「紅白鮮斜陽ー1907ー」 増原 嘉央理









日本工芸会奨励賞
二十日大根金具 藤江 聖公





日本工芸会会長賞
吹分長方盤 般若 素樹





高松宮記念賞
泥釉七宝花入「律」 河田 貴保子





日本工芸会新人賞
被切子鉢「潮流」 小林 昂平





日本工芸会保持者賞
沈金箱「梅木空木」 西 勝廣





東京都知事賞
沈金飾箱「一夜」 鳥毛 清
奥能登の初夏の風景。一晩で燃え尽きる蛍の命がテーマ。









NH会長賞
日本工芸会奨励賞
彩切貝蒔絵乾漆筥「月の韻」 三好 かがり
「枕草子」の「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」がテーマです。





日本工芸会奨励賞
砂子風炉先屏風 長岡 達雄





日本工芸会奨励賞
型絵染着物「春のはじまり」 岩井 香楠子
黄色の花はミモザです。










日本工芸会奨励賞
刺繍着物「あはひの空」 武部 由紀子





朝日新聞社賞
生絹着物「海の中のできごと」 神谷 あかね





日本工芸会新人賞
木芯桐塑布紙貼「春の宵」 北 芳子









文部大臣賞
栓拭漆三足器 甲斐 幸太郎









日本伝統工芸展は全国巡回展です。
各地への巡回日程です。
日本橋三越本店(東京)9月30日まで
名古屋栄三越 10/2ー10/7
京都高島屋  10/9ー10/14
石川県立美術館  10/25ー11/4
大阪高島屋  11/6ー11/11
岡山県立美術館  11/14ー12/25
鳥取県立美術館  12/4ー12/25
令和2年
香川県立ミュージアム 1/2ー1/19
仙台三越   1/22ー1/27
福岡三越   2/4ー2/9
広島県立美術館  2/13ー3/1