昨日は朝から雨が降り続く寒い一日でした。
雪なら雪景色の撮影にと思ったのですが、あいにくの雨続きで、散策は中止です。
私の退職後の生活は、晴耕雨読ではなく、晴散策雨読?と決めていますので、
好きな本を読み一日を過ごすことに決めこみました。
大好きな東山魁夷の画集を書庫から取りだし、眺めたりして過ごしました。
東山魁夷が京都の四季を描いたのは、1964~66年(昭和39~41)です。
私は、魁夷が描いた五十年前の京都の景色の現状と変遷を、
私のカメラで追いたいとの想いを強くしました。
川端康成が「古都」を書いたとき、「京都がなくなっていく」と嘆きました。
その頃は、日本が高度経済成長に入り、京都だけでなく、
全国でビル建設のラッシュがはじまりました。
消えゆく京都の街並みに危機感を抱いた魁夷は、京都の四季を切り取りました。
そこには今は消えてしまった、美しい京都の町の景色がありました。
そして今も変わらぬ庭園や四季のうつろいがありました。
いずれ、それらをテーマにブログにも投稿したいと思います。
昨日は散策できませんでしたので、以前放送された日曜美術館を紹介します。
『謎以外の何を愛せようか ジョルジュ・デ・キリコ』です。
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ジョルジョ・デ・キリコ(1888ー1978)は、20世紀のイタリアを代表する画家と言われています。
影や構図を自在に操り、何気ない日常の一場面を、見る者の不安をかきたてるように描い作品が特徴です。
そして、シュルリアリズの父と呼ばれた画家です。
キリコが愛した言葉は、「謎以外の何を愛せようか」だそうです。
キリコ
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同じくシュルリアリズの巨匠、サルバドール・ダリが憧れた画家でもあります。
ダリ
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ダリ「記憶の固執」1931
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キリコはイタリア人の両親のもと、ギリシアで生まれます。
早くから絵の才能を発揮し、10代で美術学校で学びはじめます。
ニーチェやショーペンハウエルの哲学に深く傾倒しながら、画家を志します。
キリコ21歳の頃の作品
「ケンタウロスの戦い」1909
ギリシア神話にでてくる場面です。
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「通りの神秘憂愁」1914
ホドラーの代表作品です。
輪を転がして遊ぶ少女、強い陽差しが人の形をした影を映し出しています。
陽を受けている少女も黒く塗りつぶされています。
晴れているのにどんよりとした空。
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「福音書的な静物」1916
形而上絵画と呼ばれているそうです。
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20世紀前半パリで誕生した美術運動シュルリアリズは、
現実を超え、人間の無意識の領域を表現しようとした画風です。
そのメンバーたちが崇拝したのがキリコです。
「林檎と葡萄のある静物」1931
シュルリアリズとは全く異なる絵です。
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「自画像」1922~25頃
首から下が石像のように固まってて、腕の大きさがアンバランスです。
現実と非現実が入り交じった作品です。
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「海岸の2頭の馬」
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「赤と黄色布をつけた座る裸婦」
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「考古学者たち」1927
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「白い馬」1930頃
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キリコは90歳で亡くなるまで創作を続けました。
「不安を与えるミューズたち」1974
キリコ86歳の作品で、顔のないマネキンのような像です。
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「古代的な純愛の詩」1070頃
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「イタリア広場」1968年頃
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「吟遊詩人」1960年代
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「燃えつきた太陽のあるイタリア広場、神秘的な広場」1971
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「神秘的な動物頭部」1975
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シュルリアリズの絵画は好みが分かれますね。
私はキリコまでは許容範囲です。