今回は、京都の西芳寺・苔寺について書きます。
【 西芳寺・苔寺とは 】
西芳寺は、京都市西京区松尾にある臨済宗の寺院で、一般には苔寺の通称で知られています。 奈良時代、行基菩薩の開創と伝えられる古刹で、 兵乱などで荒廃の後、1339年に夢窓国師により再建されました。
苔寺は1994年に、清水寺や金閣寺などと一緒に、ユネスコ 世界文化遺産に登録されました。
庭園は上下二段構えの造りで、上段には枯山水の庭、下段には「心」の字を描く黄金 池を中心とした池泉回遊式の庭を配置、その見事な構造は後の日本庭園に大きな 影響を与えてきました。また、足利義政が銀閣寺を建てるときに庭や建物を見本 にしたことは有名な話です。
西芳寺(苔寺)はかつては誰でも拝観できる観光寺院でしたが、1977年からは一般の拝観を中止し、往復はがきによる 事前申し込み制となりました。また拝観に際しては、写経などの宗教行事に参加する事が条件となっています。拝観料は1人3千円です。
【私の拝観感想】
以上が苔寺の説明ですが、私が訪れたのは、今から40年ほど前で、拝観制限される前でした。苔のきれいな時期に、スケッチしようと思って出かけました。見事な苔に圧倒された記憶が鮮明に残っていました。しかし、多くの拝観客で、苔が少し荒れていた印象もありました。
現在は拝観制限の上、3千円では、誰でも気軽に拝観できません。是非、多くの人に苔寺の美しさを知ってもらいたいと思っていましたら、以前、NHKで 『奇跡の庭 京都苔寺』として放送されました。
番組は、苔寺の美しさがどのようにして作られたのか、その秘密に迫るという上質なものでした。一年にも渡る取材で、360度苔に囲まれて歩く池泉回遊式庭園と、苔寺を象徴するシラガゴ ケなどを紹介していました。
NHKで『奇跡の庭 京都苔寺』
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苔寺は京都市の西部に位置し、近くの桂川を上がれば、夢窓国師が同じく作庭した天龍寺の曹源池庭園があります。
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再建した夢窓国師
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苔寺の全体写真(上空)
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まずは、苔寺の美しさを御覧いただきましょう。
入り口入ったところです。
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苔の美しさを御覧ください。
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苔寺の住職は、苔寺全体が大きな生命体であると言います。
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現在の苔寺は以上のようにとても苔の美しいお寺ですが、創建当時は現在と全く違った庭園であったそいうです。
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それでは、創建時代の再現模様を御覧下さい。
現在苔寺とは、ちょっと想像がつきません。
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銀閣寺を作った足利義政が参考にしたと言われる、瑠璃殿があります。
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参考 現在の銀閣寺観音堂(今年5月撮影)
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瑠璃殿から眺める四季折々の景色は見事だったことでしょう。
しかし、この景色も一旦失われる運命にあります。
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苔寺の創建当時は、現在の苔寺とは全く違ったものでしたが、応仁の乱により建物のほとんどが焼失してしまいます。そして度重なる災害にも見舞われ、寺は荒廃しました。
そんなこの場所に、 人々のかわりにやってきたのが苔です。数百年という長い年月をかけ、あらゆるものが苔に覆われた空間となったのです。
苔寺の由来となった苔の生育に適した地であったことが、その後の調査で明らかになりました。苔寺の湿度は常に95%以上、川の曲がり角にあって湿気がたまりやすいのだといいいます。
10月、西芳寺では境内の竹を使ってほうき作りが行われます。境内の落ち葉をはくために1年間に60本を作るそうです。 繊細な毛先のほうきで落ち葉を掃き清め、コケの生育を助けていると言います。
人の関わりで苔は美しく生育していきます。
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西芳寺では落ち葉掃きが「禅の修行」としても行われています。住職・藤田秀岳さんの落ち葉掃きとコメントを紹介します。
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11月、西芳寺の苔から蒸発する水分が、寒暖の差の大きさから目に見えるようになるそうです。秋の紅葉に包まれた庭を御覧下さい。
西芳寺の境内から、散りゆく紅葉の幻想的な風景
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12月初雪が降りました。
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以上です。
多くの画像でお疲れさまでした。少しは苔寺の雰囲気を感じていただけたら幸いです。
追記
京都には苔の美しいところがいくつもありますが、苔が美しくなる6月以降は観光シーズンではないため、見逃しておられる方も多いと思います。
三千院(大原)、祇王寺(嵯峨野)などの苔も素晴らしいです。手軽なところで、私が好きなのは智積院の釣り鐘の周辺のスギゴケも気に入っています。無料です。
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