吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

不埒者

2016-12-15 22:29:23 | 日記
私の勤め先には、高齢者の方々の居住施設も入っているのですが
今年の秋頃に入居したばかりの、90代の女性がとても素敵な個性を発揮しています。


私たちのお仕事の中には、「訪問サービスを」と言って
利用者方々のの居室に入って、掃除や洗濯
人によっては、排泄の介助などもするのですが
その日出勤している職員の状況によって、誰がどのお宅を担当するかが変わります。

私のようなおばちゃんだったり、小娘だったり、男性職員が入ることもあるのですが
彼女はほとんど毎回、毅然として男性職員の入室を拒否しているのです。

ある男性職員は、ドアをノックして「失礼します」と開けただけで
「結構です!」と、いきなり目の前でドアをピシャリ!と、閉じられたそうです。

昨日、私が掃除と洗濯のサービスで訪問に入った時に、彼女はこんなことを言っていました。

「私は、両親から男の人には簡単に気を許すなと言われてきたの」

身持ちの固い彼女にとって、家族と配偶者以外の男性は、ほとんど不埒者なのでしょう。

彼女の両親は、間違ったことは言っていないと思います。
が、しかし、職員不足の現在、男性職員が入らなければ、仕事が回らない場合もあるわけで。

でも、私は、そんな手のかかる彼女が大好きだったりするのです。

笑うとすっごく可愛くて、色んなことが出来なくなったと、しょんぼりする彼女に
「私にだって、出来ないことがいっぱいありますよ
 でも、私たちは、笑うのが大得意」
と、言うと、彼女は最高に素敵な笑顔で私を包んでくれました。

さっちゃんも、自宅から遠く離れた高等養護学校に入学したばかりの頃
表情がきつくて、よく泣いて、よく怒って
周りを困らせるようなイタズラを沢山したっけ。

そりゃそうです。

ある日突然、住み慣れた居心地の良い我が家や、大好きな家族と離れて
起きる時間も、ご飯の時間も、お風呂の日も決められた生活をしなければならなくなったら
そして、なぜ自分がその生活をしなければならないのか分からなかったら
新しい生活をすんなり受け入れるのは難しいに決まっている。

それが、何十年も生きてきた人なら、尚更でしょう。

笑顔の素敵な彼女が、もっともっと笑顔を見せてくれるように
私は、私に出来ることを、ちょっとずつ、ちょっとずつ。