前回投稿で17~19世紀の景気変動の素描を簡単に述べましたが、前々回、リカードについて簡単に触れましたので、今回はマルサスに触れながらイギリス経済を中心に当時の景気政策論を振り返って見たいと思います。前に述べましたように、ナポレオン戦争により、兌換を中止したイギリスでしたが、その間インフレの昂進や、金の価格の騰貴に対し、所謂、地金論争が起きます。その結果は兌換の再開の勧告と言う物でしたが、戦後の不況状態の中、不況論争が起きますが、これに対し、議会の一方の “商工業利益“が穀物法をめぐって、穀物の高価格が賃金上昇、産業輸出力の弱化を招くとして主張したのに対し、他方の“土地利益“は農業不況が工業不況の原因であるとし、穀物法(穀物の価格維持の為に輸入制限する物)の制定を主張し、又、マルサスはその「経済学原理」初版1820では、リカードとある意味対照的に、需要供給の問題(第2章)、又、彼の市場観を表す、第7章富の増進の直接的原因について を説き、第9節、第10節、特にその第10節では、“1815年以来の労働階級の困窮への、前の諸原理のあるものの適用ならびに概観“、として、“かれらはかれら自身の幸福のために余りにも少なく消費しすぎるであろうということをおそれる“等々延べ、その有効需要の少なさを危惧した。これは、一般には、マルサスは地主階級を代弁してその消費を説いたとするものとも言われるのであるが、しかし、市場と言う物をどう把握するかという視点に於いては、リカードに無い点だと言わざるを得ないのかも知れません。そういう中、一方の問題である、通貨、信用問題では、不況打開と関連して、兌換再開が勧告されていましたが、兌換再開に当たって、そのデフレに反対する立場、又銀行券が商業手形割引に根拠を置いている限り、過剰発行も減価も起きないとするイングランド銀行等の間で論争が行われた。(当時は中央銀行たるイングランド銀行のほかに個人銀行と言うものが多くあり、独自の発券が認められていた)。 参照:近代イギリス経済史 吉岡昭彦-これは表題は“経済史“であるが、内容は、実質的に、19世紀のイギリス不況政策史である。本稿はこの著作に負う所が多い。マルサス「経済学原理」小林時三郎訳、荒井政治 イギリス近代企業成立史。
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