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徳永写真美術研究所 Column


徳永写真美術研究所(TIPA)の日常コラムです。

西に東に美術鑑賞Day その1 

2013-12-14 | 美術に関するお話


今週から急に寒くなりました。
この寒さに応えるように
自宅横に植わっている寒桜は
現在、三部咲きです。






昨日の事
関西の私鉄を自由に乗り降りできるフリーパスを活用し
大阪・神戸・京都と廻りました。

雑務を含みながらも
終日、美術鑑賞とレクチャー参加の一日。

様々な作品や人との出会いの中
2つの事柄をピックアップします。

ひとつ目は
高校時代の
美術部の先輩の作品展について。

遠田泰幸回顧展
画業36年、享年52歳
没後20年にあたるタイミングでの展示でした。

遠田さんはピアノの調律を生業としながら
画業に取り組んでこられた方ゆえ
絵から音を感じる作品です。
本展のサブタイトルは
- 音のように見て音のように描く - 




下の二点は
私が高校生の時に制作・発表された作品です。
自分には扱えない美しい色彩世界に

魅入った事を記憶しています。



色の重なり、形のない形 
それは
音の響きであり
楽曲を表現しているのだと思います。
(たぶん)

細部の描き込みが
ほんとうに美しい絵だと
しみじみと感じました。



この没後20年を機に開催された本展で
画家・遠田泰幸の作品を
一望できる機会は最後と思われます。
なぜなら
作品の寄贈先を募る掲示が会場にあったので。

私は上の赤い作品が
高校生の時に強く心に刻んだ作品なので
譲っていただきたい気持ちで一杯でした。
しかし
1LDKで暮らす現状では無理・・・。

売買の対象としない作品の場合
残された遺族にとっては
たくさんの大作を保管し続けるには限界があります。

自分の作品にまつわる話では
初個展の作品は大型作品のため
自宅に保管できず
実家の屋根裏に眠ること15年。
3年前に
家の建て直しのタイミングで
すべて捨てました。

作品の末路について
語られる事は殆どありませんが
この問題は
制作を続ける者にとっては
重要だと改めて思いました。



この日の美術鑑賞での
もうひとつの出来事は
次回に・・・。
今年に見た写真展のなかで
ベストだと感じた展示記事を書く予定です。

記:徳永好恵

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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて、写真・写真表現・シルクスクリーンの研究活動をおこなっています。
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写実絵画の回廊で写実と写真について考える。

2013-10-26 | 美術に関するお話


2010年に開館した
写実絵画専門の美術館を訪問しました。



美術館の名は<ホキ美術館>。
千葉にあります。

ホキ?と、不思議に思い、調べてみると
㈱ホギメディカルの創業者である保木将夫氏によって
設立された美術館であるとの事。
保木氏は
この美術館を「写実の殿堂」にしたいと考えているそうです。




訪問した際の展示は
「光と風をかんじて・・・」展でした。

この展覧会の主旨を読み取り
・・・をかんじるよりも
写実的に描く事とは
どのような意味を持つのだろう。

写実と写真の関係も含めて
いろいろと考えながら館内を巡りました。



この美術館は
日本初の写実絵画を専門とする事で
開館時より注目されていますが
建物も注目されているようです。 
美術館の周囲には
建物を撮影する幾人もの人を見かけました。

美術館を正面から写した写真です。
この角度からは、小規模のように見えますが
実は、かなり、奥行きがあります。



裏側から見ると、このような感じです。
カメラレンズの歪みではなく、建物が湾曲しています。



突起した構造を支える柱がない事に驚きます。

大きな彫刻作品を見るように
長時間、建物を見続けました。

それにしても・・・
住宅街に存在するこの美術館
周囲との違和感がありすぎで
オモシロイ風景を作り出していると思いました。

また
建物の内部も非常に込み入った構造で
迷宮世界に迷い込むような展示空間でした。

実のところ・・・
絵画作品よりも
建築作品を見に行ったという印象の方が
記憶に強く残った気がします。

記:徳永好恵

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長崎→出島→南蛮文化→スペイン→アントニオ・ロペス→長崎県美術館

2013-10-17 | 美術に関するお話


私の趣味のひとつに
美術館巡りがあります。

学生の頃より
国内の美術館はすべて訪問しようと
思い続けています。

しかし
美術館と名がつく施設はたくさんあるので
少なくとも
国公立の美術館は制覇するつもりです。



今年の夏は
初めての訪問となる長崎県美術館へ。

道中、カーナビの誘導に従うなかで
気になる事が・・・
「出島」という地名があったのです。



歴史で習う扇形の島の事だろうか?
調べてみると、その通りでした。

今は埋め立てられたため
島ではないのですが
長崎県美術館のすぐ傍に出島が位置します。

この地域は
南蛮文化が伝来した
文化ゾーンである事を理解しました。

南蛮とは
スペイン・ポルトガルを示すはず。

今回、訪れる展覧会は
現代スペイン・リアリズムの巨匠
アントニオ・ロペスの展示



長崎→出島→南蛮文化→スペイン→アントニオ・ロペス→長崎県美術館

連想しながら美術館に入館しました。



会場は絵画が中心であるものの
リトグラフ、彫刻作品もありました。

幾つかの表現技法が混在する展示でしたが
アントニオ・ロペスの眼を通した
写実世界を見ることができる内容でした。



彼の作り出す世界は
ありのままを描く意味の写実ではなく
心象風景を写実する表現です。

一見すると写真と見間違う画面ですが
近づいて、よく観察すると
緻密に描き込まれた部分

そうでない部分があり
ロペスが何に意識を向けていたのか
読み取れました。

チケットやフライヤーに使用された
鉛筆画の少女はロペスの娘・マリアさんです。
余白の扱い方が
日本人の美意識に響くだろうと
メインイメージに起用されたのだと思います。
私の美意識にも響きました。

記:徳永好恵


追記
フライヤーに下の記述がありました。

作者自身が展覧会にあまり積極的でないこともあり

大規模な個展はおそらく日本では最初で最後となるかもしれません。
このまたとない機会にロペス芸術の粋を是非ともお楽しみください。

このような文章、初めて見ました。
何故か、クスッと・・・。


現在、このアントニオ・ロペス展は
岩手県立美術館にて巡回中。
10月27日まで。


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幼少期のときめきを再び:ちひろ美術館、他。

2013-09-16 | 美術に関するお話


今年の夏
大阪から東京へ行く際
信州・安曇野を経由しました。

酷暑と呼ばれた
もっとも暑い時期の移動でしたが
夜間は20度程となり、爽やかな気候でした。



道の駅で買ったのむヨーグルトです。
あまりの美味しさに
500mlを一気飲みしてしまいました。



安曇野を訪れた目的はコチラ
ちひろ美術館



絵本画家・いわさきちひろの作品と絵本文化を紹介する美術館です。

私にとって
いわさきちひろさんは最初の憧れの作家。

ちひろさんの絵は
幼少期の私の感受性をやさしく刺激しました。



ミュージアムショップで購入した絵葉書です。

小学生の時
近鉄百貨店での展覧会で
私の心を掴んだ絵を中心に選びました。

絵と一緒にコチラのカードも購入



このカードの文章を読み
まさに、私、該当します。涙が出てきそう・・・
・・・という気持ちになりました。



感極まる元・女子と共に訪れた
家族連れのお父さんにとって、この美術館はどうなのか?
その答えは明白。



「退屈で仕方がないよ。」との
声なき声を受け止めるように
お父さんのためのお昼寝コーナーがありました。



展示室の横はお花畑。

ちひろさんの色彩が屋外に
にじみ出たかのようです。

北アルプスを望める立地で
絵と草花に囲まれた憩いの空間でした。



安曇野では、ちひろ美術館の他
安曇野市豊科近代美術館にも立ち寄りました。



重厚で立派な建物でした。
特に内装が素敵でした。



それから・・・
安曇野を訪れた時には
ぜひとも見たいと思っていた道祖神。
安曇野では
男神・女神か並ぶ
双体道祖神が多いことで有名です。





最後に・・・
安曇野でびっくりしたのは
わさび農場が大・大繁盛していた事。
農場に続く細い道に
たくさんの車が吸い込まれていく様子を目撃しました。
その様子の写真がなくザンネン。



安曇野経由ルート、とても楽しかったです。

東京・大阪間の経由地としてオススメです。
時間にゆとりがある時はぜひ!

記:徳永好恵




【 ご 案 内 】

現在
2013年度 秋・冬講座の受講を受付しています。

作品制作研究講座 10/13スタート
手作りカメラ講座 10/14スタート
シルク基礎講座 10/6スタート
シルク応用講座 2014 /1/12スタート

講座内容については
徳永写真美術研究所ウェブサイト

講座案内のページをご覧ください。




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華やぐシューズ展&魅入るポートレイト

2013-07-15 | 美術に関するお話


学生の頃
趣味は?と聞かれ
「美術鑑賞」と答える芸のなさを
恥ずかしく思っていましたが
やはり
美術館巡りは楽しい。
専門外の展示は常に楽しい。
その理由は気軽に見れるから。
第六感が反応するままに
館内を彷徨う自由さがたまりません。




先日
専門外の展覧会に行ってきました。

靴のファンタジーを追い続けた41年間の奇跡
高田喜佐 ザ・シューズ展

3ヶ月半もの長期間の展示でしたが
最終日、しかも、閉館時刻の50分前に入館。
駆け込み鑑賞となってしまいました。





高田喜佐氏についての予備知識はなく
靴の知識もなく
目の前に存在するたくさんの靴との出会いを楽しみました。

カラフルで遊び心に満ちた靴が出迎える
入口の展示構成が圧巻でした。
まるで
キャッキャッ

若い女性で華やぐ空間のよう。

歩きたくて
履き主を待っているようにも感じました。



チラシ裏面には
喜佐さんのポートレイトが掲載されていました。
自分がデザインした靴たちに向けて
微笑む姿、とても素敵。

この写真は
写真家・高木由利子さんの撮影との事。 
 

高田喜佐(たかだ・きさ=靴デザイナー)
1941年東京に生まれる。
多摩美術大卒業後、1966年に靴ブランド「KISSA」を設立。
日本の女性靴にデザインの概念を持ち込んだと評価され、
以後靴デザイナーの草分けとして活躍。
はきやすく美しい大人の靴として、多くの女性の支持を集める。
「靴を探しに」(筑摩書房)が1999年の日本文芸大賞自伝優秀賞を受賞したほか、
エッセーなどの著書も多い。
2006年2月16日肝臓胆管がんで死去、64歳。


記:徳永好恵


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