tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『フィルス』

2014-07-03 16:47:09 | 映画-は行
 『フィルス』を観ていて白眉だったのは、後半四分の一の、主体がどんどん変わるところ。

 主体というか、視点、主観がどんどん変わって行くのでジェット・コースターに乗ったみたいだった。それで事件は解決するが、人の性は解決しない。

 前半もおとぎ話のようで、作りこまれたブルース・ロバートソン(ジェームス・マカヴォイ演ずる)の脳内に私たちは案内されるんだが、それはそれで、ほぉ、こんなところが、と楽しく観覧していればよい。ただそれではどこへも行けず、舞台のエディンバラに観客的閉塞感が霧のように立ちこめはじめる頃、ぐんぐんとジェット・コースターは加速する。


 ああ、こんななってたんだ。


 その昔AV女優になると言ったAちゃんが、自分の秘部を「こんななってるんだ」と思って観てね、と言った時と同じような感じで脳内が稼働した。

 妄想を刺激するお話である。


 主演のジェームス・マカヴォイは、青年からまったくのおじさんに変身しての熱演だったが、さわやか青年の『つぐない』だって、実は青年たちの妄想のお話である。そういうのが好きなのか。アンジェリーナ・ジョリーに教育されるあの映画も見よう(なんというのか忘れた)。結構好きなのかもしれないな。誰かに似てる。原作は、『トレインスポッティング』(主演ユアン・マクレガー、1996年)のアービン・ウェルシュ。ジョン・S・ベアード監督、2013年、イギリス。


 
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