前作『アバター』(2009年)、から13年。
何が行われるんだろうと興味津々。早速、IMAX/4Kレーザー、HFR、3Dにて観て来た。
さて、何があったかと言うと。
迫力の水、海のシーンにはびっくり。予告も見ていたし想像はしていたけど、ひねくれた私の心もあっさり童心に。手のひらで転がされるとは正にこのこと。いつまでも観ていたいと思ったし、自分も水の中で浮遊しているような感覚で、登場人物と一緒に深呼吸をしてしまった。
見たことのない生物が、自由に浮力と重力を駆使して泳ぎ回る。優雅に光を反射するプランクトンに囲まれて、自分の周りで、水と空気が一体になったような気持ち良さだった。
この星のこの海が、架空のものだなんて全く信じられない。それくらいのリアルさで、自分の中の水に対する愛着を思い出させられたような感じだった。
それと同時に、水の怖さ、空気を失う怖さも体験する。
私達はジェームズ・キャメロンに騙されているんじゃないか?
私達はと言うより、私は、だけど。何故、現実ではいけないのか。私は現実世界で水に触れることが出来る。水の豊かな日本で、蛇口をひねれば手に感じられるし、川の流れに触れ、海に潜り、雨に濡れることも出来る。空中で水滴が光るのも、丸みを帯びて髪を濡らすことも知っているし、飲むことだって出来る。
ジェームズ・キャメロンは、探検家でもあるそうだ。
2012年、ディープシーチャレンジャー号に乗って、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵に着底した。単独での潜行は世界初で、1960年トリエステ号に次ぐ人類2番目の地球最深部到達だったそう。(Wikipediaより)
少年の頃から水、海、潜水艦に心を奪われていたジェームズ・キャメロンは、映画作家としても、水、海を舞台とし、液体を使った作品を作ってきた。ただ彼の体を介した水の体験は、そうは言っても、私達のそれとそう乖離していないだろう。何故なら、同じ人間だから。
でも彼の心が体験した水、憧れた水、想像し感じ取り、味わった水は、一味も、ふた味も違うようだ。
作中のパンドラという架空の星の、架空の海を使って、彼の心が捉えた美しさや恐怖や畏怖を、観客に伝えようとする。そのこだわりと熱情が、このとんでもなく新しい水の世界を、私に体験させてくれたようだ。
ただね。
私の心は、アンビバレントに引き裂かれる。大げさに言わせてもらえば。
単刀直入に、脚本をもっとどうにか出来なかったものか。急に現実的なこと言うけども。細かい設定など、分かりづらいところは頭の中ですっ飛ばして良い部分だとして(気にするな、という監督からの合図)、にわかに賛同しかねる展開や、もやっとする部分があることは否めない。う~ん。個人の感想です。
まあ、いいか。ネタバレしたくないので細かく書かないし、この過剰さの前では、そんなことどうでも良い気もしてきた。これは極上の映像詩を伴ったファンタジー。老若男女が楽しめる最先端。3時間あるけれど(!)
何にしても、パンドラの星を世界の民に周知し、頭に叩き込み、手に入れたジェームズ・キャメロンはもう無敵なのだ。
企画済みという第3作、4作、5作目も楽しみだ!本当に。
探検家キャメロンはこちら(ドキュメンタリーの予告編)↓ DEEPSEA CHALLENGE 3D Trailer | National Geographic
少し心配だった3Dメガネは、軽くて、記憶よりも掛け心地が良かった。視界も広く、個人的にはほぼストレスは無かった。
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』、ジェームズ・キャメロン監督、2022年、米。192分。
サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーブン・ラング、ケイト・ウィンスレット。原題は、『Avatar : The Way of Water』。
第80回ゴールデングローブ賞、最優秀作品賞(ドラマ部門)/最優秀監督賞、ノミネート。
ちなみに製作費も第一級の約540億円。(『トップガン-マーヴェリック』は約230億円。)
予告でも公開されていたスーパーショット。↓人間もナヴィ族と手を繋ぎたいな。
役者さんは皆、パフォーマンス・キャプチャー撮影の為に、フリーダイビングを学んだそう。大変です。そしてケイト・ウィンスレットは何と、7分15秒息を止めることが出来るようになったらしい!(驚)
左側がケイトの演じたナヴィ族だけど、言われないと分からない。↓むしろ言われても分からない(笑)
森の民は豹のようで、海の民は魚のよう。↓ナヴィ族の耳の動きが好き。
前出のドキュメンタリー(2014、90分、米)。原題は『Deepsea Challenge 3D』↓
前作↓