君津地方視聴覚教育振興大会に出張で参加してきた。
その中の記念講演で,政策研究大学院大学の岡本薫教授が,TOSSについて,肯定的なお話をされた。
「目的と手段の混同」と言う話の中で出た。
できるだけ,再現してみる。
教師はプロでしょ。
医者は患者を治すのがプロ。
わかりやすく,楽しい授業をするのが,プロの教師。
いくつかの教育団体を私は知っていますが,
その中で,法則化運動というのを知っていますか。
向山さんがやっているのです。
今は,TOSSと言うのですが。
30年前,法則化は,「逆上がりができる指導法」を打ち出しました。
どの教師でも,すぐに逆上がりができる指導法です。
ところが,文科省の体育の教科調査官は,
こぞって,つぶしにかかった。
「すぐにできちゃいかん」その言葉に愕然としました。
指導要領の内容の例示には「逆上がり」とあります。
私はこれを,目標と思っていた。
ところが,教科調査官は,「逆上がり」は
「手段」だという。
「子どもに,苦労を味わわせることが必要」だという。
でも,教科調査官の話には,欠点がある。
逆上がりが,教えなくてもできる子には,
苦労を味わわせることができないじゃないか。
そうするには,指導要領を変えなきゃ行けない。
『とりあえず逆上がり,次に大車輪,そして月面宙返り』
こうしないと,できる子には苦労を味わわせられない。
つまり,教科調査官たちは,
『手段に価値がある』と思っているのだ。
それはおかしい。
わざわざ苦労させる必要はない。
すぐにできる方法があれば,それを使った方が効率がよい。
時間もかからないので,その分別のことを教えられる。
学校で行う活動すべて(手段)が価値があるのではない。
卒業した後に生きる力をつける(目的)こそが価値があるのだ。
以上,文責うすい。
講義のタイトルは,「学校情報化とマネジメントの課題」。なぜ学校現場にコンピューターが普及しなかったのか,その原因を文科省の内部にいた立場からお話しされた。「情報教育はオタクの世界。普通の教師ができない,ニーズに合わない,使いにくい市販ソフトが多い。」「いじめを竹刀という,意識を変えるのは,無理。いじめをなくすシステム作りが必要。情報化も同じ。」とのこと。システム化の大切さを別の角度からのお話をしていて,大変納得のいくお話だった。
岡本薫教授は,50歳まで文科省にいた方。「日本を滅ぼす教育論議」(講談社現代新書)や「学校情報化のマネジメント」(明治図書)の執筆もされている