灰谷健次郎さんの著書「子どもに教わったこと」(NHK出版)を買って読みました。
その中で、放課後こども教室の必要性を痛切に感じたところがありましたので紹介します。
よしはらきよみちゃんという子がいます。
ちょっと不思議というか、なんともつらい話なのですが、きよみちゃんは山火事を目撃して、そのことを詩に書いたら、まもなく自分の家が火事になるという不幸に遭遇します。
よほど衝撃だったのでしょう。きよみちゃんは、それを百行近い長い詩で表現しています。
長いので部分を拾い読みしてみます。
ぱっと目をあけると
おへやがまっかになっとった
けむりがいっぱいはいってきた
おとうさんが大きなこえで
わめいとった
わたしはからだがふるえてとまれへん
ドキドキして
からだまでかじがいっているみたい
わたしのふくもたからものも
みんなもえている
なみだがいっぱいでてきてとまらへん
おとうさんとおかあさんが
はなしているからねられへん
「これから どないしたらええんや
いえもおかねももえてしもうた」
「どこでねるんや もうすぐおしょうがつやというのに」
おとうさんもおかあさんもないている
わたしもなけてなけてしょうがない
おとうさんがわたしに
「また おとうさん がんばってはたらくからなかんとき」
いうてるくせに じぶんもないとう
ほんまにわたしらどうなるんや
これからどないしたらええのんやろ
きよみちゃんは七歳です。ふつうにいうと頑是(がんぜ)ない年ごろです。
親に甘えたり、無理をいったりしていても許される年齢なのに、ひたすら両親のこと、わが家のことを心配しています。
きよみちゃんは、このころ、いい詩をたくさん書いています。
なにもなくなって、みな元気がなくなってしまったようす、歯が痛くなったけれど、歯医者にみてもらうとお金がいるので、神様に祈ろうとした話、おちゃづけと年越しそばだけの、みじめだったお正月のこと、どの詩を読んでも胸の打たれる作品ばかりです。
しらが
「おかあさん かじになってからしらががいっぱいでてきたな」
とおしえてあげたら
「そんなことないよ」といった
わたしが「ほんまやで」ゆうたら
おかあさん
かがみをみよった
「あ ほんまやな おかあちゃんももうおばあちゃんやな」
家計を立て直すために、きよみちゃんのお母さんは働きに出ます。
きよみちゃんは、いわゆる鍵っ子になります。学童保育の必要が生じたので、きよみちゃんの担任の鹿島和夫先生は、その交渉にいきます。
定員一杯で、無理だと所長に断られるのですが、粘りに粘って、準会員なら、ということで、やっと入れてもらいます。
学童保育を受ける子どもを、正会員とか準会員というのは、どういうことでしょうか。
おやつの時間に、準会員の子には、おやつがでない。
それをきよみちゃんの綴り方で知った鹿島先生は烈火のごとく怒って抗議します。
「予算がないんだから、しょうがない」
というのが所長の答えだったそうです。
きよみちゃんに、おやつをわけてくれたのは正会員の子どもだったということです。
きよみちゃんは、こんな詩を書いています。
だだいま
よしはら きよみ
おかあさんがしごとにいっているから
学校からかえって
「ただいま」
といっても
だれもこたえてくれない
でもわたしのこころの中に
おかあさんがいるから
へんじをしてくれる
その中で、放課後こども教室の必要性を痛切に感じたところがありましたので紹介します。
よしはらきよみちゃんという子がいます。
ちょっと不思議というか、なんともつらい話なのですが、きよみちゃんは山火事を目撃して、そのことを詩に書いたら、まもなく自分の家が火事になるという不幸に遭遇します。
よほど衝撃だったのでしょう。きよみちゃんは、それを百行近い長い詩で表現しています。
長いので部分を拾い読みしてみます。
ぱっと目をあけると
おへやがまっかになっとった
けむりがいっぱいはいってきた
おとうさんが大きなこえで
わめいとった
わたしはからだがふるえてとまれへん
ドキドキして
からだまでかじがいっているみたい
わたしのふくもたからものも
みんなもえている
なみだがいっぱいでてきてとまらへん
おとうさんとおかあさんが
はなしているからねられへん
「これから どないしたらええんや
いえもおかねももえてしもうた」
「どこでねるんや もうすぐおしょうがつやというのに」
おとうさんもおかあさんもないている
わたしもなけてなけてしょうがない
おとうさんがわたしに
「また おとうさん がんばってはたらくからなかんとき」
いうてるくせに じぶんもないとう
ほんまにわたしらどうなるんや
これからどないしたらええのんやろ
きよみちゃんは七歳です。ふつうにいうと頑是(がんぜ)ない年ごろです。
親に甘えたり、無理をいったりしていても許される年齢なのに、ひたすら両親のこと、わが家のことを心配しています。
きよみちゃんは、このころ、いい詩をたくさん書いています。
なにもなくなって、みな元気がなくなってしまったようす、歯が痛くなったけれど、歯医者にみてもらうとお金がいるので、神様に祈ろうとした話、おちゃづけと年越しそばだけの、みじめだったお正月のこと、どの詩を読んでも胸の打たれる作品ばかりです。
しらが
「おかあさん かじになってからしらががいっぱいでてきたな」
とおしえてあげたら
「そんなことないよ」といった
わたしが「ほんまやで」ゆうたら
おかあさん
かがみをみよった
「あ ほんまやな おかあちゃんももうおばあちゃんやな」
家計を立て直すために、きよみちゃんのお母さんは働きに出ます。
きよみちゃんは、いわゆる鍵っ子になります。学童保育の必要が生じたので、きよみちゃんの担任の鹿島和夫先生は、その交渉にいきます。
定員一杯で、無理だと所長に断られるのですが、粘りに粘って、準会員なら、ということで、やっと入れてもらいます。
学童保育を受ける子どもを、正会員とか準会員というのは、どういうことでしょうか。
おやつの時間に、準会員の子には、おやつがでない。
それをきよみちゃんの綴り方で知った鹿島先生は烈火のごとく怒って抗議します。
「予算がないんだから、しょうがない」
というのが所長の答えだったそうです。
きよみちゃんに、おやつをわけてくれたのは正会員の子どもだったということです。
きよみちゃんは、こんな詩を書いています。
だだいま
よしはら きよみ
おかあさんがしごとにいっているから
学校からかえって
「ただいま」
といっても
だれもこたえてくれない
でもわたしのこころの中に
おかあさんがいるから
へんじをしてくれる