人はいい仕事をすればするほど、その仕事が忘れられないと思う。
しかもその成果がいい結果であればあるほど、そうに違いない。
しかし、最近はそうであってはならないという。
というのも景気がよくて売上が伸びているときは、成功した戦略を繰り返す意味があったが、成熟市場では過去の成功事例が通用しないというのである。
むしろ成功事例に基づく発想は、その発想をかえって狭めてしまうというのである。
だから、どのような成功事例も意識して忘れたほうがいいというのである。
参考にならないのは、他の成功事例も同様だという。
もちろん成功事例を学ぶことが無駄とはいわない。
ただ、過去の事例を学ぶのは「こういう考え方もあるか」といった発想の幅を広げるためであり、事例そのものは参考にならないという。
状況の異なるところに過去の事例を当てはめても、99%はうまくいかないのだと。
成功事例があると、人はそれに寄りかかり、自分の頭で考えなくなるとも。
それに慣れると、いざ新しいアイデアを求められるときに対応できなくなる。
私は個人的には、同じ事を繰り返すことを極端に嫌った。
それがルーチンワークだとしてもである。
また、相手に対して成功事例を得意げに自慢される御仁がいるが、聴かされる側にとっては楽しくない。
そんな時、天邪鬼な私は自分の失敗談ばかり話す。
意識してである。
その方が、相手は反面教師的に取り込んでもらえると思うからである。
成功事例はできるだけ捨てる。
それが己の成長だと思う。