走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

県庁おもてなし課

2011年08月10日 23時18分01秒 | 読書
 タイトルは有川浩さんの小説で、高知新聞などの連載で話題を呼んだ作品を単行本化(角川書店 \1680)したものだ。
高知県庁に実在する「県庁おもてなし課」の職員が、お役所意識と民間感覚の狭間で揺れ動きながら観光立県を目指し奮闘するというもの。

 思えば、私も経済部門にいたときには個人的には「脱・お役所意識」を掲げながら、いかに民間感覚をつけていくべきなのか悩んだ時期があった。
まず手がけたことは、民間企業のまねをしようとした。
最初にしたのは、素敵な経営者探しだった。

 共通していたのは、トップ自らが玄関まで見送ってくれることだった。
そこで、お客様が帰られるときにエレベーター前まで見送っていき、ドアが閉まるまで頭を下げるようにした。

 たったそれだけで、次に訪ねてこられるときには、ずいぶんと打ち解けてくれるようになった。
やったのは、たったそれだけなのに...
しかし、相手にとっては「所詮、お役人さん」的なイメージが払拭されてしまうような行動だったのである。
いわゆる「偉そうな」というイメージの打破である。

 次に、こちらのヤル気を見てもらうために、その当時、共通して云われたのは、「支援制度がわかりにくい」、「支援制度が使いづらい」、「手続がめんどくさい」、「お金が出るのが遅い」ということだった。
そこで、制度を当時、けん引役になりそうな分野に合わせて整備しなおし、制度ごとにリーフレットを作り、それをフォルダー式のものにまとめることにした。
そして、キャッチコピーは「松山は本気です」

 それは、どの行政に行っても「ヤル気が見えない」という批判からだった。
ならば、本気モードを見せようじゃないかという覚悟にも似たキャッチコピーだった。

 民間感覚を誤解している人がいて、助成金は多ければ多いほどいいと思っている人たちがいる。
でも、その発想はやはり「お役人」的発想なのである。

 民間にとっては、一年むこうにいただける一千万よりも今いただける五百万の方がいい場合がある。
お役人には、時間コスト感覚が乏しい。
ということはキャッシュフロー感覚が欠如し、バリュー・フォ・マネー(お金の価値)を考えないという致命傷を負うことになる。

 つまり、民間感覚とは、相手の会社の経営者に自分がなったと仮定し、何をどうすればありがたいかを感じるかにある。
 今、景気は当時よりもますます厳しくなっている。

 ただ、私が経済部門に行ったときもこれ以上どん底の景気はないだろうと云われていた。
 そうした環境の中で、必死でもがいてみた。
 「今更、企業誘致をしても来る企業なんていない」と冷笑された。
 でも、がんばれば何とかなることを少しは示すことができたと思う。

 何よりも大切なことは、投げ出さないこと。
 「参った!」と云わないこと。
 黙々と汗をかくこと。
 常に情熱を持って取り組むこと。

 すると、誰かが助けてくれるようになり、それが波及すれば大きな力になっていく。
 
 自分だけの功名に走る人には、誰も助けてはくれないので要注意である...

  


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