VOICE of TSUCKY

ラブラドールのいる風景
出演者紹介:カテゴリー”VoT紳士録” 
用語辞典:カテゴリー”つきペディア”

一瞬の車窓

2008-04-17 | Weblog
海沿いを走る電車で通勤している。
混雑する電車から見る風景で楽しみにしていた場所があった。

河口付近の倉庫が立ち並ぶ一画で、
荷を運ぶための水路が縦横にめぐらされたところだ。
その1つに線路と並行して橋がかけられている。

水路と線路に挟まれた道を橋を渡って、
作業着を着た痩身の若い男性と老犬が
ゆっくりゆっくり歩いているのを
よく見かけた。

電車が通り過ぎる一瞬のことなので、
その場所が近づくと「今朝もいるかな?」と外を見やり、
目を凝らしていた。

春は柔らかな陽射しの中を、
夏は眩しい太陽の下を、
秋は琥珀色の光の中を、
冬はどんよりとしたグレーの空の下を、

作業着の男性は、老いた犬の歩度に合わせるようにのんびりと歩く。

その辺りに民家はなさそうなので、
倉庫会社で飼われている犬であろうか?
作業着の男性は職場で唯一の犬好きで、
毎朝の散歩や食事など世話をかって出ているのだろうか?
その老犬の生い立ちや現在の環境など、
あれこれ勝手に想像したりしていた。

老犬ゆえか、毎朝見かけるというわけではなかったが、
GWが終わって、しばらくしても、
その男性と老犬は線路沿いの道に戻ってこなかった。
「今日は来るかな?」と願うように窓の外を見ても、
1人と1匹の姿はなかった。

そして・・・もう会えないんだな、、、
と思うより他なかった。
名前も知らない、遠くから見るだけの、
車窓の風景にいたワンコ。

今でも電車がそこを通る時、
ふっと、あの1人と1匹の面影が目に浮かぶ。
あれから3回目の春が過ぎて行く。

今朝、その同じ道を行く、
小太りの小学5~6年生の男の子と、
彼が持て余し気味の、
1~2歳くらいの飛び跳ねるように歩くゴールデンを見かけた・・・。

コメント (6)
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つっきーの木