なんちゃってアルピニスト岡本恒明39歳
彼のアルピニストとしての実績は、江戸川区近辺の富士塚へ三十三回登頂。
タワーホール船堀のタワー(名前はまだない)への登頂18回(通算2070m)
タワーホールのタワーにこんなに登っている男はいないという、近所でもっぱらの噂だ。
そんな彼がなぜこんな苦行を自ら課したのか?
それはこの坂を制するためだといっても過言ではない。
通称「ベタ踏み坂」と人は言う。
彼の会社の車両置き場へ通じる坂。
あまりの傾斜にアクセルをベタ踏みしないとあがれないと近所ではもっぱらの噂だ。
8日に続く14日の大雪でこのベタ踏み坂は、岡本の前に、「松江5丁目のチョモランマ」の如く立ちはだかった。
雪かきしないと、来週の業務に支障が出る。
その一念で彼はスコップとベニヤ板を持ちこの坂に立ち向かった。
辛い登山であった。
時には滑落の危険もあった。
しかし、俺がやらずに誰がやる。
誰かに頼もうとしたけど、小心者なので頼めない。
誰がやる。
俺でしょ!。
いつやるの?
今でしょ!
who you gonna call?
ゴーストバスターズ!!
♪語りづぐ 人もなく ふきすさぶ 風の中へ♪
♪紛れ散らばる 星の名は♪
♪忘れられても♪
♪ヘッドライト テールライト 旅はまだ終わらない♪
♪ヘッドライト テールライト 旅はまだ終わらない♪
戦いは終わった。
難攻不落と言われたベタ踏み坂の除雪は、一小市民の手によって成し遂げられた。
終わり
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