長かった冬も、ようやく春らしくなったきた。
アルプスの峰はまだ冬景色、強い北風に雪煙りを立てている。
ダンコウバイやアブラチャンが黄色い花を咲かせ、キクザキイチゲが陽だまりに咲き、畔にはツクシが背伸びをしている。
流れのほとりには、ショウジョウバカマが花穂を立てている。
今鳥たちは冬鳥と夏鳥が同居し、ルリビタキやニュウナイスズメたちも顔を見せるようになった。
小さな渓には雪解け水が流れ、朝早いうちはまた凍りついていたりする。
細い道には、カモシカ立ちふさがるように動かず、キツネが振り返りながら小走りに立ち去っていった。