西向きのバルコニーから

私立カームラ博物館付属芸能芸術家研究所の日誌

赤い監督のいる戦場

2009年03月16日 06時04分00秒 | Weblog
 昨日は、先月から今月にかけて撮影された、宝塚造形芸術大学3回生の課題映画『今日の家族』(上野真虎監督)の打ち上げに出席した。

 気が付けばこの作品、私が出演した学生映画としては、記念すべき10本目となる。
 その10本目に相応しく、とにかく素晴らしいチームワークの現場であった。

 何せ……。
 プロ並みの表紙付きの台本。
 香盤表あり。
 初の顔合わせで、スタッフ・キャストほぼ勢揃い。
 衣装、メイク、スクリプター、スチール、それぞれ専任スタッフがいる。
 時間がほとんど押さない。予定通り。むしろ予定時間より大幅に巻き。
 等など……。

 学生映画、自主映画……、プロの現場でも、ここまで行き届いた現場は、私もこれまで経験がない。
 無論100%完璧という訳ではない。しかしミスはしっかりと自覚し反省をし、すぐさま切り替えて次の展開に備える。だから大きなトラブルやアクシデントに発展することもなかった。

 正直なところ、私とこの大学とは過去に色々とあったので、悪いイメージしかなかった。故に最初にオファーが来た時も、キャンセルするつもり満々であった。完全にナメていた。だが彼らは、そんな私の中にあった悪いイメージを、根こそぎ払拭してくれた。

 聞くところによれば、昨年の夏にこの作品の製作が立ち上がった際、メンバーは6人。それが撮影時には、総勢20人を超えていた。
 あるスタッフが友人を招へいした際、電話でこう言ったという。

「戦場へ来ないか?」

 この台詞も、決して大げさなものではなかった。
 彼らは、現場で常に戦っていた。お互いに意見を戦わせながら、それをまとめていく。単なる仲良しグループのなれ合い仕事ではなく、プロ並みの、ピリピリした緊張感のある仕事をしていた。

 だから私自身も、いい加減な仕事は出来ないと思った。隙を見せられない。多少怖いぐらいの緊張感であった。
 ヘタレなダサい奴は一人もいない。皆カッコ良く、可愛かった。イイ男、いい女揃いだった。


 褒めすぎだろうか……? いや、そんなことはない!
 恐るべし、宝塚造形芸術大学。こいつらスゲーや!