現在、日本にある桜の品種は交配種や改良種などを合わせると600種類を超えると言われています。
まず、桜と言って思い浮かべる品種は「ソメイヨシノ」でしょう。
そのほかには、最近の早咲きで有名な”カワヅザクラ”や葉が緑色で香りの良い純白の花の咲く”オオシマザクラ”、”エドヒガンザクラ”、”シダレザクラ”等々が良く知られている品種です。

現在日本にある桜の8割がソメイヨシノらしいのですが、その『ソメイヨシノ』が危機を迎えていると言われています。
それは、ソメイヨシノは病気に弱く、”サクラ類てんぐ巣病”という病気にかかりやすいようなのです。
その病気に感染すると花が咲かなくなって、枝が枯れてしまうこともあるようです。
次の要因は寿命の問題です。
ソメイヨシノの寿命は一般的に60年程度のようなのです。
ソメイヨシノが誕生したのは江戸時代後期、エドヒガンとオオシマザクラの交配から作り出されたとされています。
だからよほど手入れを良くしないとほとんどの木はもう寿命が近いのかもしれません。
そう言われてみると、日本全国にある有名な桜の古木にはソメイヨシノは1本もなく、エドヒガン、オオシマザクラ、ヤマザクラなどが多いような気がします。
そのようなことでソメイヨシノが、もうすぐ姿を消すと言われているのです。
でも大丈夫、日本人は優秀です。
ソメイヨシノがなくなってしまっても、それに代わる品種をもう用意してあるのです。
それが「ジンダイアケボノ(神代曙)」という品種です。

[ジンダイアケボノ]
現在ではあちこちでソメイヨシノからジンダイアケボノへの植え替えが進んでいるのです。
ジンダイアケボノの特徴は、花は白に近い淡いピンクの一重咲き、花弁の先端がやや濃い色になります。

[花弁の先端がピンクがかったジンダイアケボノ]
ジンダイアケボノはどうしてできたかというと、1912年日本からアメリカへソメイヨシノが、アメリカからはハナミズキが日本に贈られてきたのは有名な話です。
アメリカでそのソメイヨシノと別品種の桜を交配して『Akebono(アケボノ)』という品種が作り出され、それを日本に逆輸入したのです。
この桜を神代植物公園で育てるうちにAkebonoとは違った特徴の花が咲きました。
その花を「ジンダイアケボノ」と名付けました。
アメリカと日本の合作のような花ですね。

ちょっと見ただけではソメイヨシノとジンダイアケボノの違いはあまり分かりませんね。
ちなみに桜は花の中央部分が赤く染まってくるとそろそろ散り始めの合図らしいです。
2009年からはもうソメイヨシノの苗木は販売されていなく、その代わりに代替種のジンダイアケボノが販売、配布されるようになっているようです。
だから今後のお花見はお馴染みの「ソメイヨシノ」ではなくて、「ジンダイアケボノ」になってしまうかもしれません。
でも、桜には変わりませんし、違いもそれほどないので、日本のお花見文化はきっと続いていくことと思います。