銀座吉水アチックフォーラムで姫田忠義監督の
「越前和紙」を拝見する。上映後、監督を交えてお話をうかがう。
あまたの作品で日本の基層文化を探求し、記憶を記録する偉業を映像記録を通じてなしてこられた監督の
静かな目差しと静かな語り口に毎回、頭をたれ、静かな気持ちに立ち戻ることを思い出させていただく。
効率主義の時代の中で見失ったきてしまったものを民族文化映像研究所は姫田監督の佇まいそのままに
声高ではないが、うまずたゆまず記録してきて下さった。
それらの映像の真価が今問い直されようとしている。
銀座のど真ん中かくえホールから毎月発信される民族の記憶
この記録の中から我々日本人の記憶を今一度よびもどし
この混迷する時代を灯す灯りとしたい。
越前和紙漉き手市兵衞さんからそのすべての事が流れ出してくるようであった。
『越前和紙』
1990年/57分/福井県和紙工業協同組合/福井県今立郡今立町五箇
―越前の今立町五箇は、日本を代表する和紙の産地。
寒の冷たい水に晒された楮は、人の手で繊維へとほぐされ、
トロロアオイとノリウツギの粘りで整えられて、
「ぽってりと白く柔らかい」和紙が生まれる。
春、人々は紙を漉き終えたことに感謝し、五箇のまつりが行われる。
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