鳩居堂さんで待ち合わせ、 先生の出で立ちは和洋折衷、 角巻のようなマントにフランスの布を鼻緒にしたお草履。
松屋裏手の井泉でまづはお昼をしたため、明治・大正・昭和の工芸の粋を集めた池田重子コレクションを観る。
日本の意匠の素晴らしさに改めて目を瞠るおもいがした。
もう、ルネ・ラリック様を凌駕している、その精緻な技とデザイン力に圧倒される。
春夏秋冬の移ろいをみごとなまでに凝らすコーデュネートには舌を巻いた。
池田重子さんは今年85歳、 彼女曰く、 帯留めはいうなれば 画竜点睛(がりょうてんせい)着付けの最後を飾るもの。
まさにその瞬間に全体が引き締まり、映える、のだそうだ。
半襟 帯 帯揚げ 帯留め 帯締め 着物 足袋 草履 の 一つ一つに季節や思いを偲ばせる
ことに明治、大正、昭和期はある意味、近世の衣装としての着物文化が大いに花開いた時代だったのだと認識出来た。
この時代を支えた職人の技に喜びと誇りを感じた。
私たち日本人の美意識は深く広い、文学や芸能との関わりを深く持ちながら表現されている。
それがストレートにではなくほのめかすような意匠としてあらわされており、流石先人はスゴイッ!うなりました。
タップリ過ぎるほど堪能し、一息いれに、松屋裏手の野の花へ
釣り竿の先に紙がひらひらと翻っている。
作者は煤竹 弾筆工房の 高木敬二さん 熊本の赤星から
沢山の海、山からの贈り物を素材にした品々を携えてやってこられた
猿田彦のような大らかな風貌でどんなものもアートにしてしまう、魔法の感性と技を持っている
おまけに気っ風がよく、何でもステキというと上げる!とおっしゃり、恐縮するほど。
淩波先生の行くところ、打ち出の小槌から宝物がわき出してくるようだ。
稜波先生と高木さんの二大巨匠
兎さんがチューリップを背負って脱兎のごとく翔だしている、これも高木さんが流木から彫り上げて彩色したもの
高木さんオリジナルの煤だけの筆で描く字は味わい深い
茶杓のような、筆の先には海からの贈り物の貝が付いている。
普通のお花屋さんでは見かけないまさに野の花が満載!
枯れ蓮の花入れに黄水仙が美しかった。
さらにこの後、歌舞伎座の側の画廊に回り、森田洋子氏の 紅彫画を拝見し
泰明小学校前の画廊で近代かな作家展を観、
有楽町の織田有でお開きとなる。
第一回淩波塾 ベニシッモな一日でした。