彼は、(明治三十五年十月十三日)弘前市、成田寅之肋の妹キヱ(二十一歳)と結婚した。
媒酌人は、第八憲兵隊長、工藤祐之少佐夫妻。式場は、弘前偕行社で、
至極ささやかにしかし厳粛に執行。祝宴は、成川家の大広四間で延々と続いた。
彼は、これまで後願の憂いに繋がる妻帯はせんと、独身を続けてきた。
然し、弘前には、詩友が大勢出来、勧められた。
頑円一徹な彼も、遂に成川キヱの人柄に惚れ込み、世帯を持った。
彼は、この祝宴で大酔。賑やかな津軽三味線に合わせて踊り出したまでは良かったが、
後は高いびきで、 前後不覚の語り草を、ここでも残してしまった。
この挙式には、群馬から彼の父親泰七と、妹の里、二人が出席した。
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