ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

詩、高層ビルの屋上で大阪の夜景を見ながら昨夜、あなたが言ったこと。

2011-06-23 18:28:32 | 
「記憶は湖に投げた石みたいに消えてしまう」

あなたは言い聞かせるように僕に言った。

本当にそうだと思う。

悲しみも喜びもあなたの言葉も忘れてしまう。

それは世界の前提としてあるんだ。

あなたを忘れたくない。

そう願った。

世界を壊してしまうくらいに強く。

世界を壊せば前提も崩れるだろう。

大阪の夜景は昼とは別の命を見せる。

淀川は鰐のように身を潜めている。

電車は鰻のように光りの中に消えていく。

御堂筋の車はビリヤードの球のようにぶつかりながら転がっていく。

腕が触れ合うほど近くにいるあなたを立体映像のように見ている。

僕は自分がここにいることの意味を探している。

夜風は僕の肌を舐め尽くすように吹いている。

やがて風もどこかに消える。