元ライターの小説家への道

僕もまだ本気を出していません。

螢川・泥の河を読んだ

2015年04月25日 09時49分27秒 | 日々雑感
「草なぎ 家泊まるおじさんいる」

 なんだそりゃ…

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 宮本輝の「泥の河」と「螢川」を読んだ。一冊に二編が収められている。「泥の河」の戦後の雰囲気、雑多で誇りっぽくって猥雑。そんなイメージが当時を知らない僕の頭にありありと浮かぶ筆力はすごいと思う。歌でも小説でも情景が浮かぶ文章は好きだ。ただ浮かんだ情景が僕の趣味ではなかった気がしている。僕が好む情景は、倒錯した世界が多い気がする。「泥の河」の戦後特有の雰囲気は現代からすると歪んではいるけど、そっちの方向ではない。じゃあ何なのだろうと考えたが、良い例えが浮かばない。「蛍川」のラストシーンは幻想的でありえない不思議な雰囲気を出してはいるが、あれはやりすぎだなと思っている。

 読みながら、向田邦子の「思い出トランプ」の文章を思い出していた。宮本輝の文章は重くて説明的、向田邦子の文章は軽くて容易に情景をイメージできる。個人的に良い文章というのは「一読して理解できること」としている。情景まで瞬時に浮かべばベスト。そう考えると、僕は宮本輝より向田邦子の文章のほうが好きだ。
 

螢川・泥の河
クリエーター情報なし
新潮社
コメント
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