畑では、方向を表す左と右は使わない。
「おい、鍬はどこにある?」
「南のあぜ道に置いてあるよ!」
自分から見て右側は、相手にすれば左側になる。そこで、互いに共通の「東西南北」を使う。
東西南北は「絶対方位」。左右は自分を中心にした「自己中心方位」だといえる。
その癖がついているので、人に道を聞かれて「そこの角を東へ・・・」とつい言ってしまう。
道をたずねている人は東西南北も分からっていないので、道案内は自己中心方位の左・右を使うのがよい。
カーナビは自働的に自己中心方位にしてくれる。自分の進む方向=前を上にしてくれる。だから、次の角を左右のどちらに曲がればよいのか分かりやすくなる。
物事を左右前後だけでとらえていると、自分の進む方向しか考えない自己中心的な人間になってしまう。どこかの国の大統領がよい例だ。
逆に、万国、誰にも共通の東西南北で物事をとらえると、全体のことを考えることができる人間になれる。
我が家の畑の東で畑をしていた人が、そろそろ疲れてきたというので、畑を田んぼに替えてしまった。これで、我が家は東西南北を田んぼに囲まれた「ぽつんと一軒畑」になってしまった。
草抜きの手を休めて畑の真ん中でへしゃがる。
東西南北、四方の田んぼの稲がおだやかに風にそよぐ。緑の波がゆれている。
ここにはプーチンはいない。
「四海波静か」である。
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