隅田川河岸に行ってきた。
桜は見事に満開だった。
寝たきりのご婦人が、
車椅子・・・というよりも、
車ベッドで、桜を見ていた。
全身オレンジの毛布。
口にはマスク。
頭にキャップ。
目だけがうっすらと開いていた。
付き添いが二人。
夫らしき人と娘らしき人。
俺の勘では、末期がんだと思った。
きっと、あと10日くらいしか生きられないんじゃないだろうか?
いや、明日亡くなってもおかしくない。
彼女にとって、
最後の桜だろう。
そして、桜を見せてあげようという
ご家族の熱い思いだろう。
彼女はどんな人生だったんだろうか?
きっと・・・
いろいろと気苦労の多い人生だった・・・
そんな気がする。
女性は、世間体とか、
いろいろと考えるからなあ・・・
考えるな!・・・と、愚かな俺がいくら言っても、考える。
これはもう、どうしようもない!
空は晴天・・・桜は満開・・・
そして、おそらくは末期がん。
そして今日、明日で終わる人生だ。
願わくば 花の下にて 春死なん
そのきさらぎの 望月の頃・・・
平安の歌人、西行の歌だ。
西行の享年は73。
この歌は60才代中ごろの作か。
彼は実際に、如月(2月)の望月(15日)のころの
2月16日に亡くなった。
大地一人の命日鑑定では、
2月16日の死は、心の広い人の死だ。
この世に死なない人はいない。
いかに生きたかが、問題だ。
彼女にとって、
霊界でのいい思い出になるだろう。
今日は、温かい晴天の日であった。