世の中は面白い。
一番大切なときに、
失敗することが、よくある。
大学受験のとき、風邪を引いたり、
大事な仕事のとき、電車に乗り遅れたり・・・
もっと興味深い例がある。
世の中には、
好きな男の前だと、なぜか屁をしたくなる女性たちが、
少なからずいるのだ。
緊張のため、
オナカの調子が悪くなるせいもあるが、
また「しくじっちゃいけない」と思うから逆に、
屁常心・・・いや、平常心を失い、
ミスをしてしまうのだろう。
「先生、私、好きな男の子と会うと、
会ったとたん、オナラが3発、続けて出るんです!
たいていは、いつも3発で、しかも連発なんです」
山田鳴子(23才)は、ついに医者に、長年の悩みを打ち明けた。
打ち明けられた肛門科医・大田平吉(35才)も大いに驚いた。
こんな話、初めて聞いた。
好きな男の子の前で、オナカがしたくなる女性はいる。
でも必ず3発と言うのは聞いたことがない。
「えーと、だいたい、3発なんですか?」
「そうです、いつも、ほぼ、3発なんです!」
「いつも同一ってことですか?」
「ええ、同一のシチュエーションです」
「う~ん」
大田平吉はうめきつつ、(ちょっと待てよ)と思った。
オナラは、肛門科と関係あるようで、ないのである。
オナラは大腸の問題だから、内科へ行くか、
いや、むしろ心の問題だから、
精神科や心療内科に行くべきなのだ。
しかし大田平吉もかつて、精神医学には興味があり、
かなり勉強したことがある。
彼はこんなことを考えた。
・・・世の中には、「性同一性障害」というのがある。
男なのに、心は女とか、
逆に、体は女なのに、心は男・・・という病気である。
そして、ようやく、ひらめいた。
かれは決然と山田鳴子に言った。
「あなたは、屁同一性障害です」
「え?」
「あなたは、好きな男の子の前で、たいてい3発のオナラをする。
いつも3発・・・なぜ3発か?」
「・・・・」
「それは、あなたが、緊張をしつつも、慎み深いからです」
「はあ」
「緊張をして、オナラが出るけど、
5発は多すぎる。4発も多すぎる・・・でも2発や1発は、少なすぎる。
・・・というわけで、いつも3発なんです。
あなたは中庸をわきまえた、慎み深い性格なんです。
これ、喜んでいいでしょう」
「は、はい・・・」
「というわけで、あなたは、屁同一性障害なんですよ」
「はい」
「さっそく精神安定剤を処方しましょう。
デートの前に飲んでください」
「はい」
以降、山田鳴子(23才)は、
屁同一性障害を克服できたという。
ヘデタシ、ヘデタシ・・・失礼、
メデタシ、メデタシ。