古今東西のアートのお話をしよう

日本美術・西洋美術・映画・文学などについて書いています。

絵画の復元修復

2022-03-07 22:27:33 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー

絵画の復元修復により、思わぬ画像が浮かび上がり話題になった作品がある。


ルネサンス芸術がフェレンツェで花開いていた15世紀、ネーデルラント地方(現ベルギー・オランダ)ではその後のルネサンスに多大な影響を与えた、油彩画技法の発明により、精緻な表現をもつ「ゴシックの写実主義」が頂点を迎えていた。


その最高傑作の一つが、ファン・エイク兄弟の「ヘント祭壇画」(1432年頃)です。


北方ルネサンスはサークルで解説


中央下が有名な「神秘の子羊と礼拝者たち」でイエス・キリストを表す神秘の子羊が生贄になっている。
2020年1月に修復された絵が公開された。


修復前の神秘の子羊
修復後の神秘の子羊


羊の顔を拡大すると…


顔のフォルムが
変わっています!!

実際の羊

写実的なのは、当然修復前の羊です。
しかし、ファン・エイク兄弟が生きていたネーデルラントの写実主義は、神秘主義的側面があるゴシック美術のそれです。


キリストを表す子羊が人面羊なのは神の化身だからでしょうか…


そういえば、もののけ姫のシシ神さまも人面です…



『復元プロジェクトを統括するエレーヌ・デュボワ氏は専門紙の取材に、子羊の本来の姿が明らかになり「皆が衝撃を受けた」と説明。本来の子羊は上塗り後の絵よりも「濃密なやり取りを見物人と交わしていた」としている。
ベルギー王立文化財研究所は声明で、プロジェクトによって「本来の鮮やかさ、細部の豊かさ、秀逸な色使いがよみがえり、あらゆる人が目にできるようになった」と称賛した。』そうです。


美術品の修復作業について

2022-03-07 22:17:26 | 日記風&ささやかな思索・批評カテゴリー


スペインパレンシアの

とある銀行。


建物の顔であるファサード

に刻まれた彫刻は1923年の制作。


家畜に囲まれた

笑顔の少女の彫刻。


一部が破損していた。




修復前
修復後



・・・・・・・




・・・・・・ヾ(*’O’*)/

子牛も変!!



タイトル画像は、
ヨハネス・フェルメール 
「窓辺で手紙を読む女」1657〜59年頃

復元修復前に、キューピットを塗りつぶした人物の審美眼は確かです…


メトロポリタン美術館展

2022-03-07 10:39:49 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー

2月9日、 

待望のメトロポリタン美術館展

東京会場開催


12時前に国立新美術館に到着すると、12時の回の観客がざっと100人、先頭からつづら折りに

並んでいた。

静かな熱気が感じられる。


12時30分の回には女性が一人並んでいる。

12時の回の入場が整然と進む。


時間まで軽食スペースでコーヒーを飲む。



スマホのQRコードを提示して入場。
後ろには50人ほどか…


会場は一切撮影禁止


西洋の歴史に合わせての3部構成


1.信仰とルネサンス


2.絶対主義と啓蒙主義の時代


3.革命と人々のための芸術




1.信仰とルネサンス


フラ・アンジェリコ 
「キリストの磔刑」1420〜23頃
テンペラ/金地、板

キリストの死を確かめるため脇腹を刺したといわれるロンギヌスの槍、今噴き出ているかのような血の表現にたじろぐ…
足から流れる血は柱をつたい髑髏に


フラ・フィリッポ・リッピ
「玉座の聖母子と二人の天使」
1440年頃 テンペラ、金/板

正面を向く幼子イエスに対して、マリアは首を傾げどこを見ているのだろう…
聖母というより世俗的な表現


初期ルネサンスから、フィレンツェの二人の修道僧画家、アンジェリコとリッピ。
同じ修道僧ながら、リッピは尼僧と駆け落ちし修道院を脱走するという破戒僧、アンジェリコはドメニコ会の修道院で敬虔な生涯を送った。



北方ルネサンスから
ルーカス・クラーナハ(父)
「パリスの審判」1528年頃

「最も美しい女神」を選ぶことになった王子パリス。眠りから目覚めたパリス、夢に現れた三女神、ゼウスの妻ヘーラー、知恵と戦いの女神アテーナ、愛と美の女神アプロディーテ…

盛期ルネサンスから

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「ヴィーナスとアドニス」
1550年代 油彩/カンヴァス

キューピットの矢でアドニスに恋したヴィーナス。狩に出ようとするアドニスを、不吉な予感を感じ引き止める。その後、アドニスは恋敵の陰謀で、マルスが変身したイノシシの角に刺されて命を落とす。アドニスの血からアネモネが咲く…

ティツィアーノの筆は、背中の細かな筋肉の表現からアドニスを引き止めようとする必死なヴィーナスがうかぶ

マニエリスム期から
エル・グレコ 「羊飼いの礼拝」1605〜10年頃 油彩/カンヴァス

プロテスタントに対抗する、スペイン・ローマ・カトリック教会のために多くの宗教画を残した。
死後長く忘れさられていたエル・グレコは、19世紀にセザンヌ、ピカソらによって再評価された。

たしかに、薄暗い美術館の壁に架けられたエル・グレコの作品には、確かにハッと惹きつけられる魅力がある。
光の効果、柔らかなフォルム、うねり巻き上がるような構図…

続く


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木村伊兵衛と画家たちの見たパリ色とりどり

2022-03-07 08:52:31 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー


目黒ウエストがあった頃、
ちょっと秘密めいた街だった 
目黒

今や駅前のビル群にたじろぐ…



目黒区美術館は初めてです

桜が待ち遠しい目黒川沿いを上がる


数分で目黒区美術館



(写真撮影不可のため画像はネットから借用しました)

↶詳細は


写真家の木村伊兵衛(1901〜1974)が、1954〜55年にパリに出かけ、出来たての国産カラーフィルムで撮ったパリの街と人


50年代半ばから60年代は、トリュフォーやゴダールに代表されるヌーヴェルヴァーグの時代

ゴダール 「勝手にしやがれ」
1960年

トリュフォー 「大人は判ってくれない」1959年


戦後間もないパリですが、
しっかりファションしていて、
さすがです…

モノクロでみた映画の世界が、
カラーでよみがえる



カッコ良すぎ



ロンシャン競馬場のカップル
平和の尊さ



ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ…




1950〜60年代、パリが好きな人

にお勧めです



展覧会終盤には

咲いてるかな…




未だに繰り返される戦争

ウクライナに一日でも早く平和が
訪れますように

ただし、ロシア傀儡による見せかけの平和は許されない