古今東西のアートのお話をしよう

日本美術・西洋美術・映画・文学などについて書いています。

パーフェクトデイズ 

2024-01-01 00:48:27 | 絵画(レビュー感想)


ヴィム・ヴェンダース (Wim Wenders∶1945年〜 ) は、ドイツ出身で、アメリカを舞台にしたロードムービー『パリ、テキサス』(1984年)で第37回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。翌年、敬愛する小津安二郎に捧げたドキュメンタリー『東京画』を製作。1987年には『ベルリン・天使の詩』で第40回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した、世界的名監督です。


THE TOKYO TOILET」の一つ

はるのおがわコミュニティパークトイレ(代々木) 設計 坂茂 


役所広司は『PERFECT DAYS』で主役を演じ、第76回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。映画は、渋谷区の新しい公共トイレ(THE TOKYO TOILET)を清掃する作業員の“平山”(役所広司)が送る日々の生活を描く。

平山”という名前は、小津作品の『記号』で、『東京物語』で笠智衆が演じる老夫婦の名前である。



下町のアパートに住む(なぜか小津作品の家のように二階がある)初老の一人者、役所広司の生活は規則正しく、毎日寸分の違いもなく過ぎていく

朝日とともに目覚め、空を見上げ、歯を磨き、新しい白いタオルで顔を洗い、採集した木の苗に水やり、作業着に着替え、同じ缶コーヒーを飲み、自分の軽自動車に乗って、カセットテープで古い洋楽、例えばアニマルズの『朝日の当たる家』、オーティス・レディングの『ドック・オブ・ベイ』を聞きながら、現場に向う…
一つ一つのルーチンが”説話論的な構造”を持ち、『空を見上げる』『白いタオル』『着替える』『二階』など小津作品の主題となる要素と重なる

仕事を終えると自転車に乗って銭湯に行き、浅草の飲み屋で一杯やって帰る
寝室は二階で、神聖な空間のようだ、寝る前に必ず文庫を読んで眠る

いま読んでいるのは、フォークナーの「野生の棕櫚」だ、パラレルワールドのもとのような小説


清掃員の同僚、柄本時生と思いを寄せるガールズバーで働くアオイヤマダ、気に入った役所広司のカセットテープを一本くすねる

ある日、役所広司の妹の娘、中野有紗が家出してアパートに来た
役所広司は、昼休みは代々木八幡宮の境内で必ずサンドイッチと牛乳を飲み、古いフィルムカメラで境内の巨樹がつくる”木漏れ日“を毎回同じように撮る


役所広司と中野有紗
中野有紗は、パトリシア・ハイスミスの短編小説「11の物語」(すっぽん)が気に入って、役所広司からもらう

中村有沙の母、役所広司の妹麻生祐未、運転手付きの高級車で現れる
父親の話をする…


役所広司が休日に通う小料理の女将石川さゆり
ある日、小料理を訪ねると三浦友和が…
ラストシーンは…


小津安二郎の作品を何本か観ると
より楽しめそう
★★★★★
お勧めします

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