2022年11月10日(実質8日~)から日米共同統合演習「キーンソード23」が始まっているが、10日16時過ぎ、陸自南与座分屯地付近で撮影中の琉球新報カメラマンが自衛隊員2名に撮影を制止され、撮影データの削除まで求められたと報道されている(琉球新報11月11日)。
基地外からの撮影であり、自衛隊・自衛官に撮影を制止する法的根拠はない。ましてデータ削除などもってのほかだ。同紙によると、「撮られてはまずい場面がある場合には、お願いベースで声かけをしている」と説明したようだ。
しかしこれが報道・取材への介入・妨害であることは、疑いようがない。少なくとも何分間か、何時間か(不明)の間、同カメラマンは、撮影不可能な状態に追い込まれたのだ。演習であり公務ならば、自衛官に肖像権は及ばない。「撮られてはまずい場面」とは何のことだ?! 明確にしていただきたい。彼らからすれば、すべて撮られてはまずいことをしているのだろう。沖縄・琉球諸島を戦場にすることを想定した演習だからだ。これを当然だと考える自衛隊・自衛官と、沖縄のマスコミは立場を異にしているはずだ。
そもそも防衛省が行っている今回の共同統合演習の説明は、A4、1枚裏表に過ぎない。殆ど実態を明かさずに勝手に沖縄の地を蹂躙しているのだ。基地の中のみならず、民間の港湾・空港、さらに与那国島では戦闘機動車まで一般道を走らせるという。物騒なものを展開しながら、「撮られてはまずい場面」を自衛隊が一方的に決めるような事態は、許されない。因みにこの南与座では対艦ミサイル等の展開演習。
この現場は、77年前の沖縄戦最後に惨劇が起きた糸満・摩文仁から3kmほどの距離でのことだ。今こそ私たちは、この現実と歴史を結び合わせ、再び沖縄を戦場にさせない努力が求められている。取材の自由・報道の自由を私も微力ながら堅持していきたい。