ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散、よろしくお願いします】T君の問いに答えるためにー民主主義と差別について(20210227)

2021年02月27日 | 考え直すために

 2月22日の沖縄タイムスの「大弦小弦」に阿部岳記者が書いていた。「教えてほしいことがあります」という手紙が届いたから始まっているコラムだ。この手紙はうるま市の小6のT君から届いたそうだ。この全文が昨日のタイムスに出た。記事のタイトルは「民主主義 本土に問う」だ。少し紹介する。「僕は沖縄で生まれ育った。沖縄には僕が生まれるずっと前の75年前から続いている問題がある。僕はその問題を大きく分けて2つ、多くの人に知って欲しい」から始まっている。

 この2つとは、①新基地建設問題と、②人権と環境問題と整理し、かなり具体的に書いている。①については、こう指摘している。「大浦湾の自然は一度失うと、もう元にはもどらない。なぜそこまでして、沖縄に基地をつくりたいのか。他の46都道府県でも沖縄県と同様なことができるのだろうか。僕にはわからない」と。②についてはこうだ。「なぜ環境省は米軍に(PFASなどの有害物質の)使用を停止するように働きかけないのか。なぜ沖縄で日常的に起きているこのような大事件を、本土のテレビや新聞は、大きく取り上げてくれないのだろうか.(中略)政府は真剣に沖縄県民の命を守ってくれるのだろうか」と。

 そして結びに、「ぼくは、本土の人達に沖縄の現状を知って欲しいです。そして本土と同じように、安全な水や夜中にヘリコプターのゆれるような音のしない、静かな夜を過ごしたいです」と。因に彼の住む地域は嘉手納飛行場や普天間飛行場の飛行経路に掛っており、こうしたことは日常的に起きていると私にも推定できる地域です。

 この記事を読んで私は寝ながら考えていた。全く同感だが、どうして「日本」の人々にはこのシンプルなことがわからないのだろうかと。確かにこれは民主主義の基本問題だということに私も同意する。しかし今いちしっくりこなかった。

 私自身が自然環境の問題に気づいたのは、小学校低学年の時だった。それが開発の問題や科学技術の問題だと考え始めたのは高校生から学生時代だ(1967年から1970年代初め)。政治に目覚めたのもそうした経緯の中でのことだった。沖縄に気がついたのは1989年5月に来てからだし、1995年9月4日の少女レイプ事件を巡る中で考えを深めてきたからだ。だからこのような素直な感覚はなかったと白状するしかない。

 これからが本論になるのだが、何故かと問われれば様々なことが思い浮かぶ。列記してみよう。①民主主義感覚がない。②視野が狭い。③経験的思考に欠ける。④「日本」と沖縄との歴史認識がない。⑤沖縄を「観光地」としか考えていない。⑥個々人が分断されており、社会的政治的に自分を問う訓練ができていない。⑦沖縄を差別しているという認識がない。

 こうしたことをひとつひとつ考えなければならないと思うが、言うまでもなく上記の①~⑦は関連し合っている。なお私が「無関心」だからをあげていないのは、それは結果であって原因ではないからだ。③の経験的思考とは何かを補足しておこう。個人の人生において、公私共々に様々な経験を積み重ねていくものだが、一つ一つが折り重なっていることを考えていないのだ。面倒なこと、不都合なことを忘れたいし。③は④と⑥に直結している。

 結論的に言うと、⑦にぶちあたる。差別の問題だ。差別問題が極めてやっかいなのは、無意識に差別しているからだ。空気を吸っているように差別している。沖縄は観光地だという意識もその典型だ。

 だからこれを逆転していくのはたいそう難儀なことだ。T君の問いかけは、まっとうだから鋭いが、これを示したら、素直に返してくれる「日本人」がどれだけいるかが、問題だ。また、差別の問題を民主主義でどうしたら問えるのだろうか。差別とは多数者による少数者への差別でもあるが、権力者による力のない人達への差別なのだ。だから「多数決という民主主義」では如何ともしがたいものだ。「日本」における民主主義の転換を果たさないと一歩も前進できないだろう。

 私は私なりに精一杯答えていきたい。なお⑦について、連載を書き始めているので、順次当ブログにも揚げていく。 皆さんと共に考えていきたい問題だ。

【追記】東京暮らし時代の民主主義は、「戦後民主主義」から「観客民主主義」だった。かなり否定的に見ていたと、今思う。「多数決」に象徴される欺瞞的民主主義。1億2000万人の140万人の沖縄県民。

 しかし沖縄に来てから教えられることは、自主・自治民主主義。差別し支配する側にいるとなかなか見えてこなかった真実。この逆転の発想は天地をひっくり返すのかもしれない。

 

 



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