西村京太郎の『雲仙・長崎殺意の旅』を読んだ。私は、あまり西村作品を読むほうではないのだが、手元にある本がこれしかなかったので、読み始めた次第。
雲仙温泉の林の中で、行方不明になっていた泊り客と芸者の死体が発見された。その直後、長崎で豪雨による土砂崩れが発生し、押し流された土砂の中から、生き埋め死体とは別に、男の絞殺死体が発見される。二つの事件の県連を鋭く指摘した十津川警部の推理から、二か月前に東京の国立市で起きた現金強奪事件の犯人たちの輪郭が浮かび上がってくる。同族企業である某百貨店をめぐるどろどろした人間関係と、その恨みをはらすための事件。十津川警部らの活躍でそれを解明していく、西村京太郎得意の長編トラベルミステリーだ。ミステリーはミステリーとして謎解きを楽しめばよいと思う。