2020-1016-man3749
万葉短歌3749 他国に3486
他国に 君をいませて いつまでか
我が恋ひ居らむ 時の知らなく 狭野弟上娘子
3486 万葉短歌3749 ShuH286 2020-1016-man3749
□ひとくにに きみをいませて いつまでか
あがこひをらむ ときのしらなく
〇狭野弟上娘子(さのの おとかみの をとめ)=第3723番歌参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第27首、贈答歌群48首(3731~3778)の第19首。女。
【訓注】他国(ひとくに=比等久尓)。君(きみ=伎美)。いつまでか(伊都麻弖可)。我が恋ひ居らむ(あがこひをらむ=安我故非乎良牟)。
2020-1015-man3748
万葉短歌3748 他国は3485
他国は 住み悪しとぞ言ふ 速けく
早帰りませ 恋ひ死なぬとに 狭野弟上娘子
3485 万葉短歌3748 ShuH286 2020-1015-man3748
□ひとくには すみあしとぞいふ すみやけく
はやかへりませ こひしなぬとに
〇狭野弟上娘子(さのの おとかみの をとめ)=第3723番歌参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第26首、贈答歌群48首(3731~3778)の第18首。女。
【訓注】他国(ひとくに=比等久尓)。速けく(すみやけく=須牟也気久)[06-1021急(すむやけく)。用語訓のちがいに留意。また1020、1021の合番問題(本居宣長による空番号問題)にも留意]。早帰りませ 恋ひ死なぬとに(はやかへりませ こひしなぬとに=波也可反里万世 古非之奈奴刀尓)[3747 では 波夜可反里麻世 古非之奈奴刀尓。なお前歌注参照]。
2020-1014-man3747
万葉短歌3747 我がやどの3484
我がやどの 松の葉見つつ 我れ待たむ
早帰りませ 恋ひ死なぬとに 狭野弟上娘子
3484 万葉短歌3747 ShuH285 2020-1014-man3747
□わがやどの まつのはみつつ あれまたむ
はやかへりませ こひしなむとに
〇狭野弟上娘子(さのの おとかみの をとめ)=第3723番歌参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第25首、贈答歌群48首(3731~3778)の第17首。女。
【訓注】我がやど(わがやど=和我屋度)。我れ(あれ=安)。恋ひ死なぬとに(こひしまむとに=古非之奈奴刀尓)[下記注。10-1822夜之不深刀尓(よのふけぬとに)]。
【依拠本注-恋ひ死なぬとに】恋死にしないあいだに。「ぬとに」は「ぬ外に」の意という。「~しないうちに」を「~しない前に」という類とされる。・・・「~しないほどに」の意と見る説もある(・・・)。
2020-1013-man3746
万葉短歌3746 人の植うる3483
人の植うる 田は植ゑまさず 今さらに
国別れして 我れはいかにせむ 狭野弟上娘子
3483 万葉短歌3746 ShuH285 2020-1013-man3746
□ひとのううる たはうゑまさず いまさらに
くにわかれして あれはいかにせむ
〇狭野弟上娘子(さのの おとかみの をとめ)=第3723番歌参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第24首、贈答歌群48首(3731~3778)の第16首。女。
【訓注】田(た)。今さらに(いまさらに=伊麻佐良尓)。国別れ(くにわかれ=久尓和可礼)。我れはいかにせむ(あれはいかにせむ=安礼波伊可尓勢武)。
2020-1012-man3745
万葉短歌3745 命あらば3482
命あらば 逢ふこともあらむ 我がゆゑに
はだな思ひそ 命だに経ば 狭野弟上娘子
3482 万葉短歌3745 ShuH285 2020-1012-man3745
□いのちあらば あふこともあらむ わがゆゑに
はだなおもひそ いのちだにへば
〇狭野弟上娘子(さのの おとかみの をとめ)=第3723番歌参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第23首、贈答歌群48首(3731~3778)の第15首。女。
【訓注】はだ(波太)[「甚だ、非常に」。18-4051波太古非米夜母(はだこひめやも)]。
【原文】15-3745 伊能知安良婆 安布許登母安良牟 和我由恵尓 波太奈於毛比曽 伊能知多尓敝波 狭野弟上娘子
2020-1011-man3744
万葉短歌3744 我妹子に3481
我妹子に 恋ふるに我れは たまきはる
短き命も 惜しけくもなし 中臣宅守
3481 万葉短歌3744 ShuH274 2020-1011-man3744
□わぎもこに こふるにあれは たまきはる
みじかきいのちも をしけくもなし
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第22首、贈答歌群48首(3731~3778)の第14首。男。左注に、「右十四首中臣朝臣宅守」。
【原文】15-3744 和伎毛故尓 古布流尓安礼波 多麻吉波流 美自可伎伊能知毛 乎之家久母奈思 中臣宅守
2020-1010-man3743
万葉短歌3743 旅と言へば3480
旅と言へば 言にぞやすき すくなくも
妹に恋ひつつ すべなけなくに 中臣宅守
3480 万葉短歌3743 ShuH274 2020-1010-man3743
□たびといへば ことにぞやすき すくなくも
いもにこひつつ すべなけなくに
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第21首、贈答歌群48首(3731~3778)の第13首。男。
【訓注】旅(たび=多婢)。すくなくも(須久奈久毛)[19-2198小雲(すくなくも)、11-2523小文(すくなくも)、など〕.妹に恋ひつつ(いもにこひつつ=伊母尓恋都々)。
2020-1009-man3742
万葉短歌3742 逢はむ日を3479
逢はむ日を その日と知らず 常闇に
いづれの日まで 我れ恋ひ居らむ 中臣宅守
3479 万葉短歌3742 ShuH274 2020-1009-man3742
□あはむひを そのひとしらず とこやみに
いづれのひまで あれこひをらむ
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第20首、贈答歌群48首(3731~3778)の第12首。男。
【原文】15-3742 安波牟日乎 其日等之良受 等許也未尓 伊豆礼能日麻弖 安礼古非乎良牟 中臣宅守
2020-1008-man3741
万葉短歌3741 命をし3478
命をし 全くしあらば あり衣の
ありて後にも 逢はざらめやも 中臣宅守
3478 万葉短歌3741 ShuH274 2020-1008-man3741
□いのちをし またくしあらば ありきぬの
ありてのちにも あはざらめやも
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第19首、贈答歌群48首(3731~3778)の第11首。男。脚注に、「一云 安里弖能乃知毛」(ありてののちも)。
【訓注】命をし(いのちをし=伊能知乎之)[「命よ、・・・」。下記注]。全く(またく=麻多久)[<まったく。完全に>(『詳説古語辞典』)。ほかに 12-2891信吾命 全有目八面(まことわがいのち またくあらめやも)の一例だけ]。あり衣(ありきぬ=安里伎奴)[14-3481安利伎奴、16-3791(長歌)蟻衣、の計3か所。「絹の衣」]。
【依拠本注-命】「命」の語は天平の初期を境にして相聞歌に多用されるようになるという考察がある(・・・)。
2020-1007-man3740
万葉短歌3740 天地の3477
天地の 神なきものに あらばこそ
我が思ふ妹に 逢はず死にせめ 中臣宅守
3477 万葉短歌3740 ShuH274 2020-1007-man3740
□あめつちの かみなきものに あらばこそ
あがもふいもに あはずしにせめ
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第18首、贈答歌群48首(3731~3778)の第10首。男。
【訓注】天地(あめつち=安米都知)。神(かみ=可未)。我が思ふ妹(あがもふいも=安我毛布伊毛)。死にせめ(しにせめ=思仁世米)[<死にす>は自サ変。<死ぬ>(『詳説古語辞典』)]。
2020-1006-man3739
万葉短歌3739 思ひつつ3476
かくばかり 恋ひむとかねて 知らませば
妹をば見ずぞ あるべくありける 中臣宅守
3476 万葉短歌3739 ShuH274 2020-1006-man3739
□かくばかり こひむとかねて しらませば
いもをばみずぞ あるべくありける
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第17首、贈答歌群48首(3731~3778)の第9首。男。
【訓注】かくばかり(可久婆可里)。恋ひむ(こひむ=古非牟)。あるべくありける(安流倍久安里家留)。
2020-1005-man3738
万葉短歌3738 思ひつつ3475
思ひつつ 寝ればかもとな ぬばたまの
一夜もおちず 夢にし見ゆる 中臣宅守
3475 万葉短歌3738 ShuH274 2020-1005-man3738
□おもひつつ ぬればかもとな ぬばたまの
ひとよもおちず いめにしみゆる
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第16首、贈答歌群48首(3731~3778)の第8首。男。
【訓注】寝ればかもとな(ぬればかもとな=奴礼婆可毛等奈)。ぬばたまの(奴婆多麻能)。一夜(ひとよ=比等欲)。夢(いめ=伊米)。
2020-1004-man3737
万葉短歌3737 人よりは3474
人よりは 妹ぞも悪しき 恋もなく
あらましものを 思はしめつつ 中臣宅守
3474 万葉短歌3737 ShuH273 2020-1004-man3737
□ひとよりは いもぞもあしき こひもなく
あらましものを おもはしめつつ
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第15首、贈答歌群48首(3731~3778)の第7首。男。
【訓注】妹ぞも悪しき(いもぞもあしき=伊毛曽母安之伎)。
2020-1003-man3736
万葉短歌3736 遠くあれば3473
遠くあれば 一日一夜も 思はずて
あるらむものと 思ほしめすな 中臣宅守
3473 万葉短歌3736 ShuH273 2020-1003-man3736
□とほくあれば ひとひひとよも おもはずて
あるらむものと おもほしめすな
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第14首、贈答歌群48首(3731~3778)の第6首。男。
【原文】15-3536 等保久安礼婆 一日一夜毛 於母波受弖 安流良牟母能等 於毛保之売須奈 中臣宅守
2020-1002-man3735
万葉短歌3735 思はずも3472
思はずも まことあり得むや さ寝る夜の
夢にも妹が 見えざらなくに 中臣宅守
3472 万葉短歌3735 ShuH273 2020-1002-man3735
□おもはずも まことありえむや さぬるよの
いめにもいもが みえざらなくに
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第13首、贈答歌群48首(3731~3778)の第5首。男。
【訓注】さ寝る夜(さぬるよ=左奴流欲)。夢(いめ=伊米)。妹(いも=伊母)。