安倍晋三が「育てた」政治家・杉田水脈が差別発言を繰り返す理由(FRIDAY2022年12/2(金) 14:00配信)#Yahooニュースhttps://t.co/HBU6A6Is9p
— bod (@bod91313247) December 2, 2022
性暴力被害を訴えたジャーナリストに対する中傷ツイート投稿に関連して、東京高裁から名誉毀損判決が下っている杉田水脈(みお)総務政務官。「女性は嘘をつく」発言や、性的マイノリティに対する差別発言でもたびたび問題視されている。11月30日、予算委員会での立憲・塩村あやか議員の質問に対し、杉田政務官はかみあわない「答弁」を堂々と展開。あらためて驚かされた。16日の参議院特別委員会での杉田政務官の「答弁」も、異様だった。この日、質問に立った立憲・小西洋之議員は、こう問いかけた。
「問題の発言について。『彼ら彼女らは子どもをつくらない。つまり生産性がないのです』というこの言葉について、撤回、あるいは修正するお考えはありますか」
杉田議員はこれまで繰り返し「子どもをつくらない=生産性がない」と発言、物議を醸している。それを問われ、
「配慮を欠いた発言をしたことを真摯に反省し、理解を深め、差別のない暮らしやすい社会の実現のためにこれまでも努力をしてまいりました。今後とも、そういった努力をもっておこたえしていきたい」
と「返答」、小西議員が問うた「撤回、修正の考え」についてまったくかみ合わない「お気持ち」を表明した。これに筆頭理事の立憲・石川大我議員が抗議。小西議員が再度同じ質問をするも「今後とも差別のない社会を」と繰り返し、「撤回、修正」を頑なに拒否。この委員会のようすがSNSでも紹介され、杉田議員の答弁の「異様さ」が話題になったのだ。石川大我氏が怒りを露わにこう言う。
「委員会では、筆頭理事として質問にきちんと答えるよう何度も要求しました。が、古川(俊治)委員長は杉田議員を庇うように要求を退け、結局最後まで質問には答えないままでした。シンプルな質問に対し、表情も変えず一切答えないようすは異様でした。あんな人を食ったような答弁はありません。
子どもを作らない者は生産性がない、これは、多くの人を傷つける発言です。世界中が生き方、生活様式の多様性を認めようとしている今、こんな差別的な考え方をもった人が政府の一員というのは、許されないことだと思います」
だれが「杉田水脈」を作ったのか
杉田氏は、鳥取大学農学部林学科卒業後、積水ハウスに入社。西宮市役所職員を経て、みんなの党、日本維新の会、次世代の党、日本のこころを大切にする党と、政党を渡り歩いている。初当選は日本維新の会から兵庫6区に出馬した2012年12月総選挙。選挙区では落選、比例近畿ブロックでの復活当選だった。その後、2014年12月、次世代の党公認で出馬し、最下位で落選。2017年に自民党から出馬した。自民の長老議員はこう話す。
「所属する党を変えながらも落選中の杉田水脈をスカウトしたのは安倍晋三元首相です。ゴリゴリの自民党支持保守人脈によって繋がったようです。西宮市職員時代の杉田に目立った政治思想はなく、保守系の候補者のひとりに過ぎなかった。どちらかといえば控えめな女性だったともききます。ところが、安倍さんに見出されたあと、安倍のブレーンと報じられた保守系弁護士などと接点をもつようになってから『右翼スイッチ』が入りました。ある時期からバイアスがかかった保守的な発言をするようになったんです。議場にいる杉田は、まるで何かにとりつかれたような形相で、正直、異様としか言いようがない」
2017年は自民党の比例中国ブロックで出馬、中国地方の自民党が獲得した票によって議席を得ている。この議員が続けて言う。
「有権者が投票用紙に『杉田水脈』と書くことはほとんどないでしょう。彼女のあのような主張では、有権者の共感を得られず小選挙では到底勝てない。だから、自民党の比例得票によって議席が配分される道を選ばざるをえない。
極端に右翼的な発言をする政治家。その役割を果たすことで、杉田は議員バッジが保障されている。小選挙区には出馬せず、比例のみで議員を続けているのはこのためです。差別的な発言を繰り返していては、一般国民からは顰蹙を買うばかりですが、一部支持団体にとっては重宝する存在です」
選挙区では一度も当選したことがなく、比例で3回当選という代議士、杉田水脈。統一教会の例を見るまでもなく、政策より選挙という「政治屋」にとって、支持団体の顔色が「いちばん大事」なのは言うまでもない。
「国会議員というのは、多かれ少なかれ杉田のような後援団体票に縛られ、密接な関係をもっている。自民党に限らず、公明党は創価学会が支持母体ですし、立憲民主党や国民民主党は労組が後ろ盾となっている。共産党だって、独自の組織を作りあげてきた。支持母体のご機嫌を損なえば、議員生命は尽きるのです」
深いため息をつきながら長老議員はこう言った。杉田氏の背景にはもやっとした組織の輪郭が見えるものの、その「正体」は明らかではない。あるいはここに、自民党政治のタブーが隠されているのかもしれない。
「だから『気持ち悪い』んです。個人に対する誹謗中傷ではなく、政治家としての杉田の存在が。選挙のとき、いわゆる無党派層が非自民票として動いたら、自民党の組織票など簡単に吹っ飛んでしまう。杉田は、そんな自民党組織票をがっしりと守るために組み込まれた議員なんです」
「聞く力」を標榜し、問われても語らずが岸田文雄政権の政治姿勢だが、それを補完するのが杉田氏の存在なのだろうか。野党からは再三「辞任要求」が出されている。が、30日、岸田首相はあらためて更迭を否定した。重度障害を持つれいわ新選組の天畠大輔議員は16日、杉田総務政務官への質疑をこう締めくくった。
「人の価値を生産性で評価する発言の根底には、『やまゆり園事件』を起こした植松聖死刑囚の考えと同じものを感じる」
障害のある人、性的マイノリティだけでなく、子どもをもたない人、そして女性。多くの国民に対し差別発言を繰り返す国会議員を重宝して使う支持団体と、それに依存する自民党。そこに、われわれ国民ひとりひとりを「人として」見る視線は感じられない。