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— bod (@bod91313247) November 18, 2024
経産省 2040年度に再エネを初めて最大電源とするシナリオ検討 | NHK 2024年11月18日 19時35分https://t.co/533Ya6aHuM
— bod (@bod91313247) November 18, 2024
新しいエネルギー基本計画の焦点となっている2040年度の電源構成について経済産業省は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを初めて最大の電源とするシナリオを示す方向で検討していることがわかりました。
ただ、将来が見通しづらいことも踏まえ、複数のシナリオを示すことを検討しています。
エネルギー基本計画 将来の電源構成は
日本の電力政策の骨格となる「エネルギー基本計画」は、経済産業省の審議会で3年ごとの見直しに向けた議論が進められています。
この中で焦点のひとつとなっている将来の電源構成について、経済産業省が、いまの計画で2030年度に「36%から38%」としている再生可能エネルギーの割合を2040年度の時点ではさらに引き上げ、初めて化石燃料による火力を上回る最大の電源とするシナリオを示す方向で検討していることがわかりました。
このシナリオでは、2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという政府の目標に沿って、再生可能エネルギーの導入を拡大していく想定です。
ただ、各電源の将来的なコストや技術革新の進み具合などは現段階では見通しづらいことも踏まえ、複数のシナリオで異なる電源構成を示す異例の対応も検討しています。
経済産業省は今後、原子力発電の位置づけなども含めて、大詰めの議論を行った上で来月中には素案をとりまとめることにしています。
これまでの電源構成
「エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーや火力、原子力など各分野での取り組みの方向性が示されてきました。
2010年に決定されたエネルギー基本計画では、「原子力発電の新増設」が明記された一方で、東京電力・福島第一原子力発電所の事故後の2014年に決定された「第4次エネルギー基本計画」では、「原発の依存度を可能なかぎり低減する」という方針が明記されました。
2018年に公表された「第5次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーについて「経済的に自立した主力電源」にすることを目指す方針が盛り込まれました。
現在のエネルギー基本計画は
3年前に決定された現在の「第6次エネルギー基本計画」では、温室効果ガスを2030年度には2013年度に比べて46%削減するという政府の目標に沿って、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底する方針が明記されました。
一方、エネルギー基本計画には、将来の発電量に占める各電源の割合を示した「エネルギーミックス」も盛り込まれています。
いまのエネルギー基本計画では、2030年度のエネルギーミックスは、
▽原子力は20%から22%
▽再生可能エネルギーは36%から38%
▽火力は41%という数値が掲げられています。
ただ、直近の2022年度の実績は、
▽火力が72.8%
▽再生可能エネルギーが21.7%
▽原子力が5.5%と、
LNGや石炭を燃料とする火力発電に大きく依存しているのが実情で、エネルギー基本計画で掲げられた数値が達成されるメドは立っていません。
再エネ導入ペースはピーク時の半分程度に
再生可能エネルギーのさらなる拡大に向けては、新たな技術の実用化がカギとなります。
2022年度の時点ですべての電源のうち、再生可能エネルギーによる発電量が占める割合は21.7%と、固定価格で買い取る制度が開始される前の2011年度と比べると2倍程度に増えています。
ただ、再生可能エネルギーを新たに導入するペースは、ピークだった2014年度の半分程度に落ち込んでいます。
その背景のひとつとして指摘されているのが、再生可能エネルギーによる発電設備を設置するのに適した土地が国内では限られる点です。
太陽光発電では、現在、主流となっている「シリコン型太陽電池」は重みがあり、一定の広さがある平地を中心に設置されてきましたが、普及が進むにつれて適した土地は減ってきています。
また風力発電では
▽陸上は、安定して強い風が吹く場所が沿岸部や山間地に集中し設置に適した場所が限られるほか
▽海上も現在、主流となっている風車の土台を海底に固定する「着床式」と呼ばれるタイプに適した遠浅の海域は国内では限られます。
注目
再エネ拡大のカギは新技術
ペロブスカイト太陽電池
こうした課題の解決策として期待されているのが「ペロブスカイト太陽電池」と「浮体式」洋上風力です。
ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く折り曲げられるのが特徴で、建物の壁面などにも設置できます。
また、主な原料のヨウ素は国内で調達できることから、サプライチェーンを海外に依存する必要がなく、経済安全保障の観点からもメリットがあると指摘されています。
一方、「浮体式」洋上風力は、風車の土台を海底に固定するのではなく、海に浮かべるタイプで、遠浅ではない海域でも設置できます。
陸地から離れた海域でも設置できることから、風車を大型化し1基あたりの発電量を大きくすることもできます。
政府は、浮体式洋上風力をEEZ=排他的経済水域にも設置できるようにするため、来年の通常国会に「再エネ海域利用法」の改正案の提出を予定しています。
ただ、いずれの技術もまだ実証試験の段階で、性能の向上や量産技術の確立、コストの低減など実用化に向けては課題もあります。
政府は資金面や人材育成などで実用化を後押ししていて、新たなエネルギー基本計画では、こうした新技術の導入目標を盛り込むことも検討しています。
専門家「再エネをフルに使う時代がやってきた」
エネルギー政策に詳しい国際大学の橘川武郎学長は、エネルギー基本計画の見直しの議論について「ロシアによるウクライナ侵攻で、化石燃料のコストが上昇するという問題がはっきりしたことが今回の大きな特徴だ。太陽光や風力は、ランニングコスト自体はほぼかからないため、いまこそ再生可能エネルギーをフルに使う時代がやってきた」と指摘しています。
その上で、再生可能エネルギーの普及に向けては「太陽光では、メガソーラーはあまり発展の余地がないが、屋根の上はまだまだあるので、ペロブスカイトが普及した場合には伸びる可能性がある。また風力で言うと洋上風力が一番伸びしろがあると思うが、着工から発電まで8年ほどかかるのが問題で、これを短くするのがポイントだ」と述べ、ペロブスカイト太陽電池と洋上風力発電の普及がカギになるという考えを示しました。
火力や原子力の今後も焦点に
エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーだけでなく火力や原子力の今後の方向性をどう示すかも焦点です。
【火力発電】
現状で発電量の7割を占める火力発電は、二酸化炭素の排出量をできるだけ抑える形に転換していく方向で議論が進められています。
石炭火力については、減少させつつ、電力が不足した場合に備えた予備的な電源としての役割を検討する一方で、石炭よりは二酸化炭素の排出量が少ないLNG=液化天然ガスは、当面、重要性は変わらないとして長期契約などで安定的に確保していくことなどが議論されています。
また、発電の過程で排出される二酸化炭素を回収し、地中に埋めるなどの「CCUS」と呼ばれる新たな技術の活用も検討されています。
【原子力発電】
原子力発電は、3年前に閣議決定された現在の計画では「安全性を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能なかぎり依存度を低減する」と明記しています。
ただ、その後、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰したことなどを受けて、去年2月に岸田政権のもとで閣議決定された「GX=グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針」では、エネルギーの安定供給に向けて、原発を最大限活用する方針が打ち出されました。
既存の原発の再稼働に加え、廃炉となる原発の建て替えを念頭に、次世代型の原子炉の開発と建設を進めるとしたほか、これまで想定していなかった原発の新設や増設も検討することが盛り込まれました。今回の計画では、原発をめぐってどのような方針が明記されるかが焦点になります。
欧米各国では脱炭素見直す動きも
欧米各国では、気候変動対策と経済成長を両立させる難しさから、脱炭素の取り組みを見直す動きも出ています。
EU=ヨーロッパ連合は、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする目標を掲げています。
ただ加盟国の国内では、このところ気候変動対策や環境規制が生産コストの増加と国際競争力の低下につながっているとして反発も強まっています。
こうした中でEUが、ヨーロッパ中央銀行の総裁を長く務めたマリオ・ドラギ氏に作成を依頼し、ことし9月に発表された通称「ドラギレポート」では、脱炭素目標の達成に向けて、EUの産業界がアメリカや中国などに比べ、多額の投資を強いられ、大きな負担となっていると指摘しました。
そのうえで「脱炭素化が、ヨーロッパの産業空洞化につながる場合、その政治的な持続可能性が危うくなる可能性がある」として、従来の温暖化対策の見直しの必要性を迫りました。
トランプ氏勝利でエネルギー・環境政策転換の見方強まる
アメリカでは、大統領選挙でトランプ氏が勝利したことで、エネルギー・環境政策が転換されるとの見方が強まっています。
トランプ氏はエネルギー価格を引き下げるため石油や天然ガスなどの化石燃料の増産を支援し、海外への輸出も増やす考えを示しています。
トランプ氏は「1年以内、遅くとも1年半以内に、エネルギー価格や電力価格を少なくとも半分にするという野心的な目標に取り組む」と表明しています。
また、バイデン政権下でアメリカが復帰した「パリ協定」について、大統領に返り咲けば再び離脱する方針を明確にしています。