第5回読書会を市立図書館ミーティングルーム4にて開催しました。
今回の作品は 庄野潤三「プールサイド小景」です。
ある日突然職を失った青木氏とその家族。妻は先行きに対して静かに不安を抱き、何も知らない子どもたちは、父親の「休暇」に大喜びする。ゆく当ての無い青木氏は毎日近所の学校のプールを訪ねる日々を重ね・・・。
そんな、淡々とした日常に潜む不穏な気配が、さりげないタッチで描かれています。
【印象に残った参加者の感想】
・この本が芥川賞を受賞した作品であることを知った時は(読めるかな?)と心配になりました。芥川賞を受賞した作品は難しくて読み切れないという印象があったからです。でもこの作品はぐんぐんと引き込まれていきました。心理描写が素晴らしい作品に出会えて楽しかったです。
・夫が突然勤めている会社を退職処分になった。このとき、それまで信頼関係で結ばれていて言葉などいらなかった夫婦の絆が改めて問い直されるということが、短編小説「プールサイド小景」で描かれている。
・初めての小説だった。日常生活の中にひそむ闇というか裂け目を描くのが主題かなと思ったけど、作者が何を言いたいのかよくは理解できなかった。
・良かったです。物語の背景(青木さん、奥様)を見つめてゆくことから、あるある、とか苦しいだろうとか、考えさせられてゆきました。
・青木氏は一週間前に会社の金を使い込んで辞めさせられてしまい、日常的に裕福で何不自由なく暮らしていた家族に突然不幸が舞い降りてしまう。なぜ青木氏はそのような行動に走ってしまったのだろうか。妻や子どもたちがかわいそうになってしまった。
第6回の読書会は
9月25日(金)小島信夫『アメリカン・スクール』です。
資料は市立図書館でご用意しています。
市立図書館ミーティングルーム4でお待ちしております。