第5回読書会を市立図書館ミーティングルーム4にて開催しました。
今回取り上げた本は、筒井康隆「夢の木坂分岐点」です。
主人公である平凡なサラリーマンの虚構と現実が複雑に入り混じった日常世界を描いた、筒井康隆ワールド全開の実験的な長編です。昭和62年第23回谷崎潤一郎賞受賞作品。
【印象に残った参加者の感想】
・筒井ワールドにどっぷりと浸かった。夢と現実の狭間がいつしかわからなくなる。登場人物の名前が一文字ずつ変わってくる。いやはや感想として一言ではうまくいえないが、不思議な脳内覚醒作用のある小説でした。
・初めて読んだが、ストーリーが無いに等しく、読みづらくて、無理して最後まで読んだが、感想を書く以前の状態のままである。ためになった訳でも楽しく読んだ訳でもなく、正直、感想が出てこない。
・筒井康隆の長編作品の中でも特に内容が難解だった。物語中の虚構と現実の境目がまったく分からず、読み進めていくうちにどんどん頭が混乱してくると同時に高揚してくる。まるでジェットコースターのような作用を持つ作品だと思う。冒頭で描かれている場面が、ラストシーンで再度登場するという演出は、映画や音楽の構成を彷彿とさせる印象的なものだった。