★弁天喜楽会囲碁★

     

キリの研究

2006-07-06 10:16:04 | 切断
2006/7/6/(木) 浦安 曇り

切断 第5題 (切る技術)
黒先

白の姿はまことに薄い。
しかし薄いようでいて、いざ手をつけてみると一間にとんだ白△が利いて、なかなか切れない。切れないとすれば、それは技術に何か欠けるものがあるからである。

失敗例をいくつかあげる。
1図

まず黒1.3.5と一歩一歩きりにいく手。残念ながら牛の歩みに似たこの手段では、白6まで切断の目的は達することは出来ない。足が遅すぎるのだ。

2図

黒1.3と打つような手も、白4まででどうにもならない。

3図

黒1と切る苦心の筋も、白2と応じられて実を結ばない。白2を、い、と抱えてくれるなら黒、ろ、という手が成立するのだが・・・

4図

(ハネコミ)黒1とハネコむのがこの形の急所に当たる。一歩一歩の遅さを解決するのがこの筋と知られたい。

5図

(正解)黒1に対して白2と逃げるなら、黒3とそって、これが2子にアタリとなるのが自慢。白4なら黒5と打ってよく、又4を5なら、黒4で切断に成功する。
二つの切を見合いにしたのが面白い。

6図

黒1に対して白2とじかに応じれば、黒と3とついでいてよろしい。前図とまったく同じく、二つの切が見合いとなって白石は繋がらないのである。
黒1のハネコミは1図1.3に比べれば一ぺんに2手打った勘定になり、それが白の形の薄さをついて手筋としてピタリ決まるのである。そのへんのところをとくと鑑賞していただきたい。

7図

黒1に白2とこの方から切るなら、黒3と伸びて2子がアタリとなる。白4なら黒5と抜き、同じく二つの切が見合いになって白助からない形である。

8図

なお念のためにいっておくが、5図の切断の後白1と打っても隅の石は活きない。黒2以下6までで死、1を6に打っても黒5の筋でやはり死。
これは死活の常識に過ぎないが、とまれ4図1のような筋がピンとくればしめたものである。

キリの研究

2006-07-05 09:04:36 | 切断
2006/7/5(水) 東京 曇りのち雨

切断 第4題 白先

上方の白4子を助けたい。
俗に、“タケフがきれる”ということがあるが、それはうっかり手抜きして、というケース手抜きによらず全うな手段で切断することも出来るのである。

1図

拙いのが白1とこちらをで、黒2の時白3の打ち込みを狙う手段。黒4の取りのあと次図

2図

白5と当てて見たって黒6と継がれて何事も起らない。こういう手を狙っているようでは、永久にこの問題は解決できませんである。

3図

白1、黒2から、白3とここを出てみた。惜しいかな準備工作が足りなさ過ぎる。黒4ともとを継がれて、この形ではタケフは切れない。


(キリから)まともに考えてはタケフは切れない。これが成功するのはダメズマリの筋に頼る以外にないのである。まず白1,3と出切って様子をきく。

5図 (正解)

ついで黒4と切るよりなく、ここで白5,7とタケフを攻める。
切れるはずのないタケフが見事に切れているではないか。これを大ダケフキリの術という。

キリの研究

2006-07-04 09:23:15 | 切断
2006/7/4(火) 東京 曇り  

切断 第3題

二間ヒラキからケイマに打った黒の薄い姿に眼を止められたい。周囲さえ強ければ強行手段が成立する。知ってもらいたい手筋である。

1図

白1にツケたのはいいが、黒2に白3,5と打つようではいけない。見当はずれの筋違いであり、黒の安定をお手伝いしたようなものである。

2図

白1から3とハネダすのも筋違いである。黒4,6と打たれ不発におわる。

3図

白1のツケはヨセの筋。黒2に引かれて、同じく相手の石の収まりに協力しただけの話である。こういうことでは白3本の厚みはとても活きてこない

4図

(ツケ切り)3子の勢力を十分活用するには、白1,3の手段でなければならない
碁の弱い時代にはこういうキリでさんざ泣かされたものだ。今度は自分がいじめる立場にまわらねば割が合わぬというものである。

5図

(大成功)ついで黒1子をカカエるならば、白2,4と分断してしまう。黒を小さく隅で生かし、外の1子を置き去りにせしめて大成功である。まだ、い、のいじめのあるところが何ともいえない。

6図

黒1とこちらにアテるなら、白2,4と打って隅を取る。黒の損がはなはだしく、これも大成功である。

7図

7図、5図、6図ともに黒損とあって、考えられるのが黒1の引き。白2,4とポン抜かれ、あまりほめられた姿とは言いがたいが、大損するよりはましであろう。

8図

1,3、とここを切るのは、ツケ違い、筋違いである。4,6と応じられて黒にかすり傷一つ負わせることが出来ない。

キリの研究

2006-07-03 11:19:22 | 切断
2006/7/3(月) 東京 曇りのち晴れ

本日よりキリの研究です。
切らなくちゃ話にならない、と言うのがある。

第一題 (はずみ)黒先

白の一部を切断すと言うもの。まず形の急所を探していただきたい。そして白の応手も検討して、一筋縄ではいかぬことが知られよう。目的のためには多少の犠牲もやむを得ないのだ。

1図

まず失敗例から。黒1とハネ出すのは白2と切られて拙い。黒イ、白ロまでで、切られた一子が生還できないことを知るのみである。

2図

黒1のオキが手筋らしく思われるが、白2と打たれてこれも失敗。黒3、白4で連絡してしまう。

3図

黒1は白2,4と応じてもらうことを期待し、黒5で切断できると思ったかって読みである。白には前図2のハネの好手がある。

4図

(俗筋で)黒1、白2と打ち、此処で黒3と切る俗筋でないと成功しないのだから、皮肉な形ある。筋や急所に明るい人は、俗筋に暗いと言うこともあろう。

5図 (正解)

ついで白1と一子をカカエさせ、黒2,4と突破する。やっと白7子が取れた。外の1子をポン抜かせた犠牲はすく無しとはしないが、大事の小事。少々のことには目をつむろう。

6図

いうまでもないが、黒1のキリに白2と継ぐなら黒3と引いてよい。白もこう大きくして取られてはかなわないから、前図の如く打つのを最善とする。


第二題 (即決)黒先

白の形の弱点を突きたいのだが、急所はどこであろうか?もたもたしていると、かえって自分の方が苦しいことになってしまうので注意されたい。

1図

悪いのが黒1とブツカリ、3とハネコむ手。白6と継がれ、黒7と切っては見たものの、白8と出られて大悪。裂かれ形となって、とても白を攻めるどころの話ではない。白2がよい手である。

2図

黒1に対して白2と受けてくれるなら、黒3以下7とうまく切断できるが、前図の如くこれは甘い夢。

3図

黒1に白2の突き当たりなら、黒3,5でこれも理想形だが、いずれも白の応手について期待の誤りである。

4図

(ワリコミ)いきなり黒1と急所を突くのが、即戦即決の手方である。これ以外に打開の道はないと知られたい。

5図 (正解)

白2と受けた時、黒3と下にツケルのがうまい筋で、切断に成功する、白4なら黒5,7までである。黒1、3がいわゆる両バネの形となっているが、犠牲子を先に放たないことには道は開けない。そのところにご注意いただきたい。

6図
黒1の下ツケに白2とハネダすなら、黒3と遠慮なしに突っ込む。白4には黒5と引くのがよく、白6のハイのとき黒7と継いでしまう。このツギが白石にアタリになるところがよく、白は2子をシチョウにとることができない。

7図
黒1,2と受けた時、黒3と此処から決め込むのは正確ではない。白4と抜かれ、黒5のハネの後、白イ、黒ロ、白ハのコウを狙われるからである。黒3はやはり下にツケて打たねば切断の目的は達し得ない。

8図 (正解)

黒1に対して白2,4と受ければおとなしいが、黒5,7とノビて白3子を大きく分断した形なので、これは成功である。ともあれ1のワリコミがこの形の急所である。



三々に強くなろう

2006-07-01 19:44:28 | NHK囲碁講座

2006/7/1(土) 曇り

NHK2月27日放送
講師 石倉 昇8段
司会 林 芳美アマ6段

テーマ図B黒先

こんな強いところに入ってくるなんて、白は無理な三々です。相手が強いからといって、おびえると手が伸びずうまくいきません。弱気は禁物、おそれず攻めましょう。
1図

黒は堂々と2と継ぎましょう。白が3からフトコロを広げてきても、外から閉じ込めるように黒4,6と受けます。白7までと広げてきました。この白を殺すだけなら正解はたくさんあります。しかし。Aに切がありますので、なるべく手数を少なくして殺すのがいいのです。


2図

8とすぐに出ます。黒10のツケが(イタチの腹ヅケ)と呼ばれる手筋で、白は参っています。


3図

白11とツゲば黒12とわたります。白は三手しかありません。


4図

白1のコスミツケには、黒2とへこんで受けましょう。ナナメは眼形が豊富になりますし、白からAとハネツグのが後手になります。


5図

4図の黒2を怠ると白1のハサミツケが厳しい。


6図

白7から13までとなると、黒は低くひしゃげていて白大儲けです。