夜中1時頃だろうか、そろそろ寝ようかと思っていると、外でパトカーのサイレンが鳴り響き、マイクで警官がなにやら指示したようだ。
前は鎌倉街道なので、めずらしいことではないが、なんとなくベランダにでて眺めてみた。夜空は星が見えてきれかったが寒い。しょーもない野次馬な私である。
さて、警官は黒い車を停車させていた。窓も黒のスモークでいかにも怪しい車ではある。トランクを開けたり、後部座席まで丹念に何か調べてたようなので、単にスピード違反や信号無視ではなさそうだ。
物騒なこって・・・。
部屋にもどろうとしたとき、黒い車とパトカーに並んで、一台のタクシーが止まった。
降りたのは一組のカップル。くっついてゆっくりと歩いている。行く先はラブホテルか?なーんて下世話に想像してしまった。
が。。。
なんとその二人、3階建ての小さなビル(とある小さな会社の自社ビル)に入ろうとしてるではないか! 夜中である。当然ビルのフロアーは電気が消されて人のいる気配はない。
男は作業着にジャンパー姿。その会社は内装、施工関係専門の会社なので、関係者であることはまず間違いなさそうだ。女性はブーツに赤系のコートを着て髪はロング。
入り口は電子ロックのようで、パカッと蓋を開けてコード入力する「ピ、ピ、ピ」という音が聞こえてきた。
(こ、こいつら、だれもいないビルに入って、なにすんねん)
この男、彼女を誘って駅前で飲んでたら、こんな時間になっちまった。今日はどうしよっか?まぁちょっといつもとちがって会社でちゃっちゃっちゃ。
一階は駐車場。一階の入り口から階段で2階、3階に上るが、ガラス張りなので階段はよく見える。2階のフロアーに明かりが灯った。明かりをつけるとは大胆な(大汗
2階の窓は隙間だらけのぼろっちいブラインドが下げられている。見えちゃうだよこれがホントに。赤いコートが、、、
ってすぐ明かりが消えた。おお!ついに!
どうなっちまうんだ~!
と思ったら、お二人ともあっけなく出てきた。ありゃりゃ。男は手に何かコードを巻き取るようなものをもっている。1階の駐車場に車を置いてたようで、トランクを開けて荷物を入れて、あっという間に見えなくなった。はあ、さては荷物を取りに来たんっすね。変に期待させんなよおまえら。
いつの間にかパトカーも黒い車もいなくなっていた。
裏切られた私は寒々と部屋にもどったのだった。