R56のタイミングチェーンについて
現在の自動車エンジンは、ゴム製のタイミングベルトか金属製のタイミングチェーンを使って、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝え、バルブ開閉のタイミング合わせ、ウォーターポンプの駆動など行っているのが主流です。
国産車では一般にそれらの交換時期は、タイミングベルトなら10年もしくは10万キロ、タイミングチェーンなら20万キロなどと言われます。
これが欧州州では一部の車種を除いて、タイミングベルトも20万キロが交換の目安とマニュアルに書いてあったりします。
一部とは、アルファ・ロメオなどで、4万キロで交換指定です。
タイミングベルトに限ると、10万キロと20万キロの目安の差は日本と欧州の走行環境の違いによるものでしょうが、4万キロと言うのは、実はベルトの耐久性の問題でなく、ベルトの回転を保持しているプーリーやテンショナーの耐久性の問題とのことです。
実際、今時(10年落ちくらい)のフォルクスワーゲンやアウディのタイミングベルト交換を行っておりますと、ベルト自体が劣化して切れそうになっていたのはなく、プーリーベアリングの破損やウォーターポンプの軸がずれたりしてベルトに傷が入り、危ない状況に陥っていたものが何度かありました。またウォーターポンプなどは5万キロそこらで漏れ出してしまったのもありますね。
そのようなことで、欧州車も国産車と同じ目安での交換がお勧めということです。
前置き長くなりました。
BMWミニは、タイミングチェーンが使われています。初代ミニは、クライスラー傘下製のエンジンで、シングルカムタイプ。VANOSなど特にバルブタイミングやリフト可変の装置がついていないので、チェーンが伸びて調子が悪いエンジンにはまだ出くわしてません。
ところが第2世代の平成19年以降のミニは、BMW設計でプジョー・シトロエンとの共同開発で、ツインカムでVANOS付き。去年くらいからエンジントラブル大発生で、中古車屋もディーラーも泣いてます。
いろんな要因があるのですが、とにかくカムチェーンが5万キロも走れば確実に伸びてます。エンジンの調子に影響がでるのが7万から10万キロでしょうか、、。伸びた上に内部の部品を壊してしまったのが写真です。音はガラガラするし、エンジンは調子悪いし。ひどいもんです。
そういったことで、R56系はいろいろと対策部品に変わってますから、カムチェーンとその周辺部品は推奨5万キロ、7万キロ超えた車両は絶対に交換したほうが良いです。
ちなみに、プジョー308も同じエンジンが載っていますから、もちろん同じトラブルが発生してます。しかし、ミニのほうが絶対数が多いですね。特にR56はミニの中で一番数が売れたそうですから。
この2月からエンジンやエアバッグの警告灯が消えない車両は一切車検が通らなくなりました。厳しい通達が全国の車検場に届いてます。
そのせいか、オークションにエンジン警告の点いたR56の出品が増えているような気がします。
R56エンジンは、故障原因が多岐にわたるため、その修理を専門にやっている当店提携工場でさえ、毎度毎度頭を悩ませられてますので、専門に触っていない業者さんは、下手に手を出さないほうが無難でしょうね。
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