シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫) | |
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小学館 |
「本書は現時点における、プロ自転車競技の薬物問題に関する最も包括的で誰もが入手できる報告である」(NYタイムズ紙)
元プロ自転車選手のタイラー・ハミルトンへの60回にもおよぶインタビューによってノンフィクション作家のダニエル・コイルが描いた傑作ノンフィクションです。
読んで思ったことは、
私が思っていたドーピングとは少し違ったものでした。
おもにしていたドーピングは赤血球をエリスロポエチンを使って増やしていくということでした。エリスロポエチンは腎性貧血などの治療に使用するくすりです。
赤血球は酸素を運ぶ役割があり、増加すればそれだけ酸素運搬能力が増し、長丁場のレースでは有利な状況になるそうです。
例えて言うなら大学入試で1点の差で合否が決まる状況でエリスロポエチンを使うことによって、ボーナスポイントの5点が追加され、合格を勝ち取るようなものだとおもいました。勿論、とことん勉強した上でのことであるのだが、、、。
また自己血輸血も行っていました。自分の血液をパックに保存しておいて、何日にもおよぶツール・ド・フランスの途中で自己血を輸血してパフォーマンスを上昇させるという方法でした。
本当にストイックな世界だとおもいました。
自転車の練習ばかりしているため歩くのが苦手になるとか、、、
そんな世界で癌を克服してツール・ド・フランスで7連覇したランス・アームストロングは怪物であり、人力だけでは有り得ない存在だったのでしょう。本書を読んでその存在感を実感してください。
タイラーハミルトンの心理が克明に描写されていて、真実をマスコミに語りはじめる前後では思わず涙しそうになります。
ハミルトンがいつも両親に言われていた言葉はあまりにも深いです。
“真実は、人を自由にする。”
読了して思うことは
ドーピングをする人≠悪人ということです。