前半は女の記憶の話から…
後半は男の記憶の話で…
事の裏側から見ると…ひとつの出来事も、あてる光が違うと、まったく別の話に!!
その中で、見ながら「あれ??」と、思ったのは
女の話では、ことが成就して幸せそうにしている男の部屋にあったのは、りんごとナイフで
男の話では、それがみかんに…当然ナイフはない!!
ちょっと、違和感を感じながら…そのうち謎解きがあるだろうと…思っていたら、やっぱり
最初の現代に戻って(啄木の碑ができた頃の)、二人がそれぞれの記憶と思いを語り終わって、ちょっとした齟齬もあるものの
二人とも今の暮らしは、まずまず満足みたいで…啄木に対しても優しい気持ちをもって語っている。(その昔の散々だまされた時も
置いてきぼりにされて…その後、北海道から親、妻子を呼び寄せて一緒に暮らし始めた時も、恨んではいないみたい)
そこへ、後ろから(奈落から、歌舞伎のすっぽんみたいに、飛び上がって…)出てきた藤原さん!!
幽霊なので、二人にはみえない…ここからの藤原竜也が、もの凄い!!やっぱり、彼は舞台の上に一番光る役者さんだね…映像の世界より。
ここで彼の独白が…日々の生活の行き詰まり、北海道から妻子がやってくると言う切羽詰まってきた状況、肉体をさいなむ病魔、書いても書いても
世に認められない葛藤、愛人への想い、自由人テツさんへのねたみ…そんな諸々の想いを語る、長台詞
自分勝手な話だけど、すっかりどつぼにはまって、自分の人生ここまでと、死に場所求めてここまで来たけど…
しょせん意気地なしの自分のこと、自死する勇気もないので、二人を怒らせて、自分を刺し殺してもらおうと仕組んだ今回の出来事。
あのナイフも自分で置いておいた小道具(それを女はナイフがあったのだから、あるのは林檎だと勘違い
テツさんは、ナイフは女が持ってきたものと思っていたと…)
そして、二人がだまされ金を取られたと知って、自分への怒りで…ナイフを振り上げるどころか、二人してこれからの夢を語っているのを
障子の影で聞いた啄木は…もう、二人の前から消えるしか手がなかったと!!すべてを知っているのは、あの日の朝日だけ…と、3人の台詞でエンド!!
なかなかおもろかった、前回の『ベッジ・パードン』もよかったけど
『ろくでなし啄木』も、勝るとも劣らない出来でした!!
勘太郎さん、本当にお父さんに(おじいさんにも)似て来ている。
先日の『勘三郎のドキュメント』でも、感じたけど…立派になられて
でも、勘三郎さん、まだまだ伝えてほしい事があるので、これからもお身体を大切に…初孫さんも誕生された事だし
あ~ぁ、長くなっちゃったね。あんまり面白かったので…。さぁ、夕飯…なににしようかな