前回の題名は「自由民主党 日本国憲法改正草案を読んでみる。(その11)第98条」でした。
この後、題名が長いので自由民主党→自民党、日本国憲法改正草案→改憲案、読んでみる→読むへ変更、シリーズ番号を後に移動を行います。
新設された第98条の内容に吃驚しました。もう一度読み直し、修正したいが、先に進みます。
自民党改憲草案の条項を赤字、条文を「茶色」で示す。
現行日本国憲法は青字で示す。
自民党改憲案
(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
【懸念点1】 内閣総理大臣を選出した政党が衆議院、参議院の過半数が握れば、内閣総理大臣は自由に「緊急事態の宣言」できることになり、その宣言が国会で承認されることが可能になる。
【懸念点2】 「緊急事態の宣言」が発せられれば内閣が「治安維持法のような政令」を制定できることになる。
【懸念点3】 「緊急事態の宣言」が発せられれば基本的人権に関する規定は最大限の尊重で済み、必ず守るべき項目でなくなる。つまり基本的人権を侵すことも有り得るということになる。
(尊重でなくきちんと基本的人権を守ることを明記する必要があると考える。)
【懸念点4】 「緊急事態の宣言」が発せられれば、衆議院が解散されることが無くなるため、新たな国民の信を問われることがなくなるということである。衆議院決議優先があるので、内閣総理大臣を輩出した与党が反対しない限り、内閣が作る精霊の基に何をやっても良いことになり、反対議員を拘束することさえ可能となることが懸念される。
やはり、歯止めとして「緊急事態の宣言」への『国民投票』が必要と考える。
【参考】 日本国憲法改正草案Q&A (自由民主党 憲法改正推進本部 増補版 平成25年10月発行)
Q40に緊急事態の宣言移管する制度の概要説明があります。
内容の無断転載が禁じられていますので詳しくは原文をお読みください。またこのため、短くまとめましたが疑問があれば、上記原文をお試しください。上記原文も自民党の都合で読めなくなる可能性がありますので、ご注意ください。 2005年の新憲法草案は読めなくなっています。前回取り上げた98 条は緊急事態の宣言の根拠規定や手続を定め、今回取り上げた99 条でその効果を定めています。
本題に入りますが同Q&Aの(緊急事態の宣言の効果)の答えを読んで
この説明文では「この条文の具体的内容は法律で規定するので内閣総理大臣が何でもできるようになるわけではありません。」書かれているが、その法律案を参照できないので単なる口約束でしかない。
また、その例として「緊急政令が現行法に災害対策基本法と国民保護法(「武力攻撃事態等における
国民の保護のための措置に関する法律」をいう。以下同じ。)をあげて、憲法上の根拠が必要ではありませんが、第99条に織り込んだ。」とあるが、自民党は国会は現行憲法で根拠がない法律を成立させている証しである。つまり憲法改正がなされたら緊急事態を宣言することで、内閣が制定する政令で憲法違反する根拠のない政令を発することが懸念される。また、緊急の財政支出の具体的内容を宣言後に新たな法律が作られる。予備費があれば、先ず予備費
で対応するのが原則です。どうもこうも緊急事態の宣言が発せられれば、Q&Aの答えに「緊急の財政支出は、承認が得られなくても既に支出が行われた部分の効果に影響を与えるものではないと考えます。」とあり、戦争継続するためにどんな予算も建てられるということでその責任を取る必要が無いと言っています。
ところで集団自衛権で国防軍(現自衛隊)出動して、報復に相手国が攻めてきた場合、内閣総理大臣は緊急事態宣言を出すことができる。同盟国が挑発して、その結果戦争に巻き込まれる可能性があることを示す。イラク戦争の理由に『時核兵器が隠されている』ということで、同盟国のアメリカが戦争を仕掛けている。日本は国連の要請で出動となったが、核兵器がないことがわかっても総括していない、間接的にであるが、軍事費を提供し、自衛隊も派遣している事に対し、まとめを行っていないことは国会が機能を果たしていないことになる。
元に戻ると「地方自治体の長に対する指示」について、もともと内閣が政令を出せばすれば憲法上の根拠がな
くても可能です。草案の規定は、憲法上の根拠があることが望ましいと考えて、念のために置いた規定です。したがって、この規定を置いたからといって、緊急事態以外では方自治体の長に対して指示できないというわけではありません。
同Q&Aでは99 条 2 項で、「1 項の緊急政令の制定」は、「事後に国会の承認を得ることがを規定した」とあるが実効性があるのか疑問である。「緊急の財政支出」上記の通り不満である。「緊急政令」は、承認が得られなければちに廃止と一応規定されている。
同Q&Aでは99 条 3項で緊急事態の宣言の効果として、「国民保護のための国等の指示に従う義務」を規定とある
同Q&Aでは99 条 4項で「衆議院の解散の制限」や「国会議員の任期及び選挙期日の特例」を規定
3個、4項も上記の疑問点が残るのでアンサーになっていない感がする。
『問題点』 話題を変えて、憲法改正のための国民投票法を見ると「国民投票は、国会が憲法改正を発議した日(国会法(昭和二十 二年法律第七十九)第六十八条五第一項の規定により国会が日本国憲法第九十六条第一項に定める日本国憲法 の改正の発議をし、国民に提案したものとされる日をいう。)から起算して六十日以後百八十日以内にて、国会の議決した期に行う」と規定され、国民は提示されてからわずか最短で60日長くて180日で投票することになる。これまで自民党改憲案の変更された条文の一部を読むだけで20日以上かかっている。自民党の意図を見過ごしている間に国民投票法はあまりにも投票期間を短く設定されてしまった感がある。
判り易くするため文章を短くしたいので悩んでいるやじさん
【拡散希望】いつの間にか変わってしまったことが無い様に議論を盛り上げるためです。
昨日(22日)に書いたのであるが、読み直したら大幅加筆、またQ&Aについても織り込んだので長文となる。誤字脱字文法的にに誤りがあるのは、先に進みたいのでご承知ください。